GOTS 8.0 WORKSHOP
WARM-UP / GLOSSARY MATCHING

GOTS 8.0・GX 用語マッチング

略語と正式名称をつないで、本日のセミナーに登場する言葉をウォームアップしましょう。
左側の略語と、右側の正式名称を選んでください。正しく結ぶと、日本語での意味と実務上の注意点が表示されます。 これは英単語テストではなく、GOTS・GX・DPP・GHG・トレーサビリティの用語を、セミナー開始前に理解するための導入演習です。 収録用語は全 77 項目(配布資料「略語・用語集(註釈つき)」と同一の内容)。
MODE
CATEGORY
LEVEL
ROUNDROUND 1 正解0 誤答0 連続正解0 ヒント0 学習済み0 / 77 SCOPEおすすめ/LEVEL 1
略語
英語正式名称
✓ 完成した組み合わせ
3 MINUTES WARM-UP 3:00 3分ウォームアップ。時間切れでもゲームは終了しません。
PRE-OPENING / 3 MINUTES

2026年8月12日。
包装から、“説明できる企業”が選ばれる。

PPWR は GOTS の直接根拠ではありません。
しかし、製品・包装・原料をデータで説明する方向は共通しています。
REGULATORY CONTEXT CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
0:00 – 0:45 STEP 1 / 問い掛け
8月12日以降、あなたの会社は EU 向け包装について、
素材・重量・リサイクル性をすぐに説明できますか?
挙手、または手元のメモに 1 行だけ書いてください。“できる”と答えられた方は、 その根拠になる書類の名前も書いてみてください。
0:45 – 1:30 STEP 2 / PPWR の事実
REGULATION
Regulation (EU) 2025/40
発効
2025年2月11日
適用
2026年8月12日から原則適用
対象
EU 市場に出される包装および包装廃棄物
論点
包装の最小化・リサイクル性・表示・データ管理
注意。PPWR は包装規則であり、GOTS の直接的な根拠ではありません。 GOTS 8.0 §4.3.15 の包装要求について、Manual が PPWR への対応として説明している箇所はありますが、 「PPWR が原因で GOTS が改訂された」と断定できる資料は確認できていません。
出典:Regulation (EU) 2025/40、欧州連合(EUR-Lex)、2025年 — eur-lex.europa.eu/eli/reg/2025/40/oj
1:30 – 2:15 STEP 3 / GOTS との共通方向
PPWR
包装の素材・量・リサイクル性を説明する
GOTS 8.0
原料・化学物質・水・エネルギー・GHG・人権リスクを説明する
共通方向
“実施している” から
データと証拠で説明できる” へ
2:15 – 3:00 STEP 4 / ミニワーク
自社の出荷用包装について、いま提出できる証拠を 3 つ挙げてください。
180 グループで挙げた 3 つを、そのまま手元に残してください。本編の CASE 08(包装)で答え合わせをします。
進行のお願い。このスライドは自動で次に進みません。 発表者が右下の「→」またはキーボードの → で本編(オープニング)へ進めてください。
IDFL JAPAN / GOTS 8.0 Practical Workshop

GOTS 8.0 改訂ポイント
企業は何を準備すべきか?

規格改訂を「読む」から「現場で対応する」へ。
本日は解説を聞くだけでなく、自社ならどう証明するかをグループで考えます。

🧪 Chemical Management 🔗 Traceability 🌿 Environmental Requirements 👥 Social Compliance 🗂️ Digitalisation / DPP
🧪
CHEMICAL
化学薬剤の要求が新設 Section 7 に集約。PFAS限度値は 各 <25 ppb・合計 <25 ppb に厳格化。
🌿
ENVIRONMENT
水・エネルギー・化学薬品の 原単位測定+削減目標 が必須に。GHGはScope 1・2を 年1回以上 算定。
👥
SOCIAL & TRACEABILITY
気候リスクと労働安全が接続(4.4.7.15/16)。内部監査は 年1回以上、繊維は Global Fibre Registry へ。
FROM
GOTS 7.2
Chemical Input Criteria は 4.2/環境要求は概括的/PDF中心の証跡
2026年5月15日 発行 / 2027年1月1日 適用
Procedure & Template for Issuance of
Scope Certificates – GOTS V4.0
GTB統合/永久 Certification Number/SC版番号/再認証期限別ルールの明確化
TO ・ 2026年3月2日 発行
GOTS 8.0
Section 7 新設/環境要求を 4.3.9–4.3.15 に細分化/内部監査・データ管理を明文化
2027年3月1日 全面適用
企業の実務対応
移行期間は発行から1年。2027/3/1以降の監査はすべて v8.0 で実施。早期適用は推奨。
出典:GOTS v8.0 表紙/効力規定「officially released in March 2026 and is effective for all Certified Entities and approved chemical inputs beginning on 1 March 2027. The transition period starts on the day of release and lasts one year.」
本日のメインメッセージ
GOTS 8.0 は、書類を増やすための改訂ではありません。すでに存在している環境・人権・品質・取引リスクを、測定し、追跡し、証明できる状態にするための改訂です。
本日は「何が増えたか」ではなく、「どのリスクが見落とされていたのか」「そのために何を測るのか」「企業・ブランド・調達担当・消費者にどんな利点があるのか」の順で見ていきます。
About us

IDFL — 五大陸をつなぐ品質・持続可能性・信頼

1978年 米国ユタ州ソルトレイクシティ創業。羽毛試験所から、繊維・寝具のグローバル認証機関へ。

ISO/IEC 17025 認定試験所 IDFB 認定 TAF 認定
FOUNDED
1978
ソルトレイクシティ(米国ユタ州)で創業
GLOBAL NETWORK
25+
世界25以上のオフィス・ラボ
SERVING
45+
45を超える国・地域のお客様へ
JAPAN OFFICE
大阪・本町
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町1-6-21
シャンクレール本町2階
IDFL JAPAN のサービス — 日本語で、準備から監査後まで
1GOTS / OCS(オーガニック繊維)
2GRS / RCS(リサイクル)
3RWS(責任あるウール)
4FSC CoC
5DOWNPASS / JTAS
6ダウン・フェザー試験
大阪城
日本の拠点は大阪。関西・中部・関東いずれも日帰り圏です。
日本のお客様の位置づけ。GOTS認証事業所は世界で 17,800拠点(2026年1月1日時点、前年比 +15.3%)。 上位はインド 27.8%・中国 17.3%・トルコ 11.7%・バングラデシュ 9.3%。 日本は上位20カ国には入っていません。つまり日本企業の多くは「自社工場で作る側」ではなく 調達側・ブランド側・商社であり、GOTS 8.0では 海外サプライヤーから証拠データを引き出す力が問われます。
なぜ今、日本で「グループディスカッション」なのか
STEP 1
規格を読む
改訂条項を知る
STEP 2
自社に翻訳する
どの工程が該当するか
STEP 3
証拠を設計する
監査員に何を見せるか
STEP 4
運用に載せる
記録が毎月出る仕組み

GOTS 8.0 の不適合の多くは「知らなかった」ではなく「やっていたが証明できなかった」で起きます。 本日は STEP 3 を、皆さんの実務知識を持ち寄って設計します。

出典:IDFL 会社案内資料/GOTS Annual Report 2025(2026年5月公開)/ idfl-japan.com
Agenda

本日の流れ

カードをクリックすると、そのセクションへ移動します。

⏱ 想定 90–120分/1グループ 5–6名
本日の目的
理解する
UNDERSTAND
考える
THINK
議論する
DISCUSS
対応につなげる
ACT
今日の目的は、条文を覚えることではなく、背景を理解し、考え、議論し、実際の対応につなげることです。
ディスカッションの進め方
1ケースと現場の状況を読む
目安:1分
2個人で「リスク・不足している管理・必要な証拠」を整理する
目安:30秒
3グループで判断根拠を言葉にする
目安:60〜90秒
4分類・マッチング・並べ替え・関連付けの演習に取り組み、「監査員に提出する証拠」を3つ決める
5参考回答・監査ポイント・調達側の視点を確認する
本日のゴール
正解を覚えることではなく、証拠を設計できること
「supplierがそう言っている」で止まらず、検証可能な証拠まで降りる習慣をつける。
新しい書類を増やすのではなく、既にある記録を要求条項に紐づける
2027年3月1日までに、1年分のデータが揃う仕組みを今から回し始める。
重要な時間軸:GOTS 8.0 は 2026年3月2日発行、2027年3月1日から全面適用。 水・エネルギー・GHGは「年1回以上のレビュー」「ベースラインとの比較」が求められるため、 2026年内に測定を始めていないと、初回監査で比較データが存在しないことになります。
Certificate Procedure Update

2027年から変わる SC・TC 発行ルール

GOTS 8.0 の発効とは別に、証明書の発行・更新・再認証を管理する手続 V4.0 が先に始まります。

SC / TC V4.02027-01-01 適用
2027年1月1日以降に発行される SC・TC から必須
基準は「発行日」です。2026年中の監査・出荷であっても、証明書の発行が2027年1月1日以降なら V4.0 を適用。CB は任意で早期適用できます。
01GTB が必須化
従来:中央データベースは将来構想として記載。
V4.0:全 SC・TC を GTB に統合。CB が原則14暦日以内にデータ/PDFを登録。
02永久 Certification Number
従来:各 CB が License Number を付与。
V4.0:GTB が永久番号を付与。CB変更・認証の空白後も同じ番号を使用(規格ごとに別番号)。
03Business Registration ID
従来:SC の統一必須欄ではない。
V4.0:法人登記書類と照合し、会社名・住所とともに SC/GTBへ記録。
04SC・TC の版番号
従来:統一された連番管理なし。
V4.0:初版「-0」、更新・認められた修正は「-1」「-2」へ。撤回・無効化は必ずしも新版PDFを発行しない。
05認証 B2C 小売の TC
従来:一定の表示条件下では TC の取得・保管を免除。
V4.0:認証 B2C 小売事業者も TC を受領し、保管することが必須。
06停止・撤回の管理
従来:SC Policy に統一理由コードなし。
V4.0:SC理由コードを導入。SC状態は3営業日以内、TC状態は7営業日以内にGTB更新。
特に重要:再認証の「遅延期間別の結果」が明確になります
V3.0:原則90日以内に再認証を完了/空白が180日以内なら従来の認証の有効期限(月日)を維持/180日超は新規認証
期限前に完了
旧 Valid Until の前に完了。新SC発行日は旧期限の31日前より早くできません。認証は連続し、TC発行も継続可能。
満了後 0~90日
空白期間中は非認証で、TC発行不可。90日以内に新SCが発行されれば、空白期間中の関連する生産・出荷品を認証品とみなせる場合があります。
満了後 90日超~180日
新しい Date of Issue から有効。空白期間の製品は非認証でTC不可。従来の認証の有効期限(月日)は維持。
満了後 180日超
INITIAL(新規)認証として扱い、Date of Issue・認証の有効期限を新たに設定。CB移管にも適用。
公式根拠: Procedure & Template for Issuance of Scope Certificates – GOTS V4.0(§1.1、§1.3、§2.6、§2.7、§3.1.3–5、§3.1.9.5)/ Procedure & Template for Issuance of Transaction Certificates – GOTS V4.0(§1.1、§1.3、§2.7.3、§2.9、§2.10、§3.1.2.1)。最終判断は発行CBの移行手順も確認してください。
Detailed Recertification Timeline

SC 再認証期限ルール 4段階の図解

旧 SC の Valid Until を基準に、再認証の完了時期によって認証状態・TC 可否・新 SC の有効期間が変わります。

§3.1.9.52027-01-01 適用
GOTS Scope Certificate 再認証期限ルール。期限前、満了後90日以内、90日超180日以内、180日超の4段階。
用語:本資料では Anniversary Date を「認証の有効期限(月日)」として説明しています。注意:0~90日の期間中は非認証・TC発行不可ですが、新SC発行後に該当品を認証扱いとできる場合があります。
公式根拠:Procedure & Template for Issuance of Scope Certificates – GOTS V4.0 §3.1.9.5–§3.1.9.5.3。正式な認証・TC可否は、適用条項と発行CBの判断を確認してください。
Section 01 / 02

GOTS 8.0 特に注意したい改訂ポイント

9つのテーマを1枚ずつ見ていきます。カードをクリックすると、そのテーマのスライドへ移動します。

全9テーマクリックで各スライドへ
その他、押さえておきたい改訂(抜粋)— 本セミナーでは深掘りしませんが、確認をおすすめします
§3.1 GMO試験法:ISO/IWA 32 → ISO 5354-1/-2。 2027年3月(v8.0発効)までは併用可、以降は ISO 5354-1/-2 のみ。未加工(原綿・生機)のみ有効
§3.2.10 表 Row 7:リサイクル合成繊維について ソックスは30%以下繊維to繊維リサイクルは30%以下の例外を追加。
§5.2.7.2/5.2.8.1 新規残留パラメータ: ビスフェノール類(BPA ≦10 mg/kg、BPB/AF/F/S 各 ≦1000 mg/kg)、 難燃剤(合計 ≦50 mg/kg、個別 各 ≦10 mg/kg、EN ISO 17881-1/-2)。pH は 4.0–7.5 に統一。
§5.2.6 Table 7:Fastness/Durability・Robustness/Other の3区分に再編。 SpiralityVisual Inspection After Wash を追加。耐久性試験は原則5回洗濯後に実施 (ESPR等の規制が別の回数を明示的に要求する場合を除く)。
§5.3 Circularity of GOTS Goods(新設):修理・リパーパス・再販など 循環的取引に置かれるGOTS製品の条件を規定。これらの活動と事業者はGOTS認証の範囲に含める必要があります。
§4.3.15 Packaging Criteria(新設):すべての包装材の情報を 材質別・数量で記録。プラスチック包装はポストコンシューマー再生材35%以上を目標 (EU PPWR (EU) 2025/40 対応)。酸化型分解性プラスチックは禁止
§2.6.2.2:最終GOTS製品の小売包装における バージンプラスチックハンガーの使い捨ては禁止。リサイクル・生分解性ハンガーは使用可。
§4.4.8.9/4.4.8.10:信頼できる生活賃金(Living Wage)推計を年次で実施し、 自社の報酬データと比較してLiving Wage Gap を算出ギャップを埋める計画の策定も要求。
§4.4.11.2:移住労働者からいかなる採用・雇用関連費用も徴収してはならない。 リクルート費用、渡航費、ビザ、健康診断、出発前研修を含めすべて雇用主負担
出典:Changelog GOTS version 7.0 to 8.0(2026年1月)/Change Log Manual for the Implementation of GOTS 7.2→8.0(2026年3月)/GOTS v8.0 本文
🧪
改訂ポイント 01 / 09 ・ CHEMICAL MANAGEMENT ・ 1 / 4

4.2 から 7 へ ― 実際に何が変わったのか

Section 4.2Section 7 GOTS 公式資料
GOTS DIRECT BASIS 図をクリックすると拡大表示されます
BEFORE / v7.2
Section 4.2 の中に「繊維加工」と「化学品承認」が混在
工場が守る要求と、化学品メーカーが通す承認の要求が、同じ章の中に並んでいました。
AFTER / v8.0
責任者ごとに 2 つの章へ分離
Section 4.2
Textile Processors
= 工場の加工・使用管理
Section 7
Chemical Inputs & Formulators
= 化学品の審査・承認
押さえる点は 3 つだけ
1要求はなくなっていません。移動しただけです。工場が守るべき内容は残っています。
2条文番号の付け替えだけでもありません。誰が責任を負い、どんな証拠を出し、どう審査されるかが分けられました。
3自社がどちらかを見分ける基準はシンプルです。化学品を使うなら Section 4.2、化学品を作って申請するなら Section 7 です。
要求の削除ではなく、
誰が何を管理するかを分けた改訂
GOTS 8.0 では、化学品を使用する繊維加工事業者と、化学品を開発・申請するフォーミュレーターの責任を、 Section 4.2 と Section 7 に分離しました。
出典:GOTS v8.0 §4.2(Textile Processing Criteria)/§7(Chemical Input Approval Criteria)、 Changelog GOTS v7.0→v8.0、GOTS Webinar 8.0 p.21
🔀
改訂ポイント 01 / 09 ・ CHEMICAL MANAGEMENT ・ 2 / 4

Certification と Approval を混同しない

Scope CertificateLetter of Approval
⚗️LANE 1
Chemical Formulator / Supplier
化学品メーカー・供給者
  • 化学品を開発する
  • 必要資料を提出する
  • GOTS Approval を申請する
📋LANE 2
Scope 4 Approved Certification Body
化学品審査を行う認証機関
  • 成分・SDS・MRSL 等を評価する
  • 承認された製品に LOA を発行する
  • 承認状態を管理する
🏭LANE 3
Textile Processor
繊維加工事業者(工場)
  • 使用する製品を確認する
  • 有効な LOA を確認する
  • Recipe・購入・在庫・投入を管理する
1 本の流れとして見る
Chemical Formulator / 化学品メーカー
Section 7 による評価
Letter of Approval(LOA)の発行
Textile Processor が確認
Section 4.2 に従って使用・記録
LOA = Letter of Approval/化学投入資材承認書 | SDS = Safety Data Sheet/安全データシート | MRSL = Manufacturing Restricted Substances List/製造制限物質リスト
GOTS Certification
対象:工場・加工者・事業者
代表的証拠:Scope Certificate(SC)
根拠:Section 4.2 ほか
GOTS Approval
対象:特定の化学投入資材(製品そのもの)
代表的証拠:Letter of Approval(LOA)
根拠:Section 7
言い方に注意してください。「化学品会社が GOTS 認証を取得する」という説明は正確ではありません。 正しくは Textile Processor は GOTS CertificationChemical Input は GOTS Approval、 そして主な証拠は Letter of Approval です。
出典:GOTS v8.0 §4.2/§7、GOTS Webinar 8.0 p.21 (Textile processors vs. chemical formulators/GOTS certification vs. GOTS approval)
🔍
改訂ポイント 01 / 09 ・ CHEMICAL MANAGEMENT ・ 3 / 4

実例 ― SDS があれば使用できる?

実例Section 4.2 × Section 7LOA
柔軟剤「SOFTENER A」を GOTS 製品の加工に使えますか?
SITUATION
ある染色工場が柔軟剤「SOFTENER A」を購入しました。
・最新版の SDS はある
・Supplier は「GOTS 対応品」と説明している
・Recipe と購入記録もある
・しかし Letter of Approval は先月で期限切れ
QUESTION
この化学品を GOTS 製品の加工に使用できますか?
ASDS があるため使用できる
BSupplier が GOTS 対応と説明しているため使用できる
C有効な Approval を確認するまで使用できない
DISCUSSION
60 問い:この工場が今日中に確認すべきことを1つ挙げてください。
正解 ― C
有効な Approval を確認するまで使用できません。 SDS は安全情報であり、GOTS Approval の証明ではありません。
確認が必要な証拠 — 5 つ
CHECK 01
製品名
CHECK 02
製造者・供給者
CHECK 03
有効な LOA
CHECK 04
Approval の対象製品との一致
CHECK 05
Recipe・購入・在庫・投入記録
AUDITOR VIEW 01
承認されているか
AUDITOR VIEW 02
実際に正しく使用されたか
§7(承認されているか)と §4.2(実際にどう使用したか)は別の要求です。いずれか一方の証拠だけでは両方の要求を説明できません。実際の確認方法・範囲は、監査時のリスク評価に応じて認証機関が決定します。
根拠:GOTS v8.0 §4.2(Textile Processing Criteria)/§7(Chemical Input Approval Criteria)、 §4.3.9.4(Chemical Use の記録)。Approval の有効性は Section 7、使用実態の記録は Section 4.2 側の要求です。
改訂ポイント 01 / 09 ・ CHEMICAL MANAGEMENT ・ 4 / 4

企業が明日から確認する 5 項目

0 / 5 完了
クリックでチェックできます
Chemical Inventory を最新版にする 全投入薬剤の一覧。製品1kg あたりの消費量まで出せる形に(§4.3.9.4)
製品名とメーカー名を LOA と照合する 現場のドラム缶の表示と、承認書に書かれた製品名が一致しているか
LOA の有効期限を確認する 期限切れは多く見られる指摘です。有効期限を継続的に管理している状態を示せると説明がしやすくなります(実際の判定は監査時に確認できる記録に基づきます)
Recipe・購入・在庫・投入記録を一致させる 「承認されているか」だけでなく「実際に正しく使ったか」を示す記録です
製品変更・Supplier 変更時の事前確認ルールを作る 変更してから承認を探すのではなく、変更前に確認する手順にします
SECTION 7
この化学品は使用してよいか
SECTION 4.2
工場がどのように使用・管理したか
Approval + Actual Use Records = GOTS 8.0 の化学品管理
承認された化学品であること(Section 7)と、実際にどう使ったかの記録(Section 4.2)。 この2つがそろって初めて説明できます。
📖 詳細を見る ― Section 4.2 / Section 7 の条文の要点
条文の要点
§4.2 の名称変更:「Chemical Input Criteria」→「Textile Processing Criteria」。 化学投入資材と化学薬剤製造者に関する要求はすべて Section 7 に集約されました。
§4.3.9.4 Chemical Use(新設): a) chemical inventory list を維持し、製品1kgあたりの化学薬品消費量を示すこと。 b) GOTS製品の加工に使用した承認済み化学投入資材を記録すること。 c) 工程別(漂白・染色・仕上)に分解することが望ましい。
§4.3.9.4.2:原単位ベースで 化学薬品消費量の削減目標と手順を設定。
§4.3.9.4.3:湿式加工設備は、化学薬品・エネルギー・水の消費量/未処理排水データ/ETP後の汚泥試験データ/ 汚泥処分を含む排水処理データについて 完全かつ正確な記録を保持。
§7.2.4.1 内分泌かく乱物質:CLP規則 (EC) No 1272/2008 の EUH 380/EUH 381(内分泌かく乱のおそれ)が禁止ハザード文言に追加。
§用語変更:「Permanent AOX」→「Non-hydrolysable Halogens」。 排水AOXは下流の検証パラメータであり、上流=処方段階での置換が最も有効と明記。
§4.2.2.5 B(Manual):塩素系漂白(次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素等)は禁止。 酸素系漂白剤のみ使用可と明確化。
§4.2.2.2 B:繊維・糸に直接塗布されるパラフィンは化学投入資材とみなされ、Section 7 の承認プロセス対象。
🔎 詳細を見る ― 監査実務(証拠の厚み・準備する書類・漂白工程)
監査で提示すべき証拠の「厚み」
承認品リストのみ不足
+ SDSまだ不足
+ LOA / MRSL適合基礎
+ Recipe・投入記録良好
+ kg原単位・削減目標v8.0 水準
※ バーは要求充足の概念図であり、GOTSが定める配点ではありません。
明日から準備するもの
書類チェックポイント
Chemical Inventorykg製品あたりの消費量が出せる形か
SDS最新版か。改訂日と入手日を台帳管理
LOA有効期限切れが最頻出の指摘
Recipe/投入記録在庫の増減と突合できるか
削減目標ベースライン・期限・数値が書かれているか
🌏 詳細を見る ― 背景・調達側の視点・国内の関連制度
2. WHAT PROBLEM DOES IT SOLVE? / 何を解決するのか GOTS DIRECT BASIS
  • 承認薬剤リストは「持っているか」だけを見られてきたため、実際にどれだけ投入したかは誰も追えなかった。
  • その結果、レシピ外の薬剤混入、在庫と使用量の不一致、排水への負荷増が見落とされる。
  • 調達側は「承認品を使っています」という回答を受け取るだけで、量も工程も検証できない。
4. JAPAN CONTEXT / 国内の関連制度 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 化学物質の管理は化学物質排出把握管理促進法(PRTR/SDS 制度)や労働安全衛生法(SDS 交付義務)が国内の枠組みです。
  • ただし、これらは投入量の原単位管理を求めるものではありません。GOTS §4.3.9.4 は GOTS 独自の要求です。
6. PROCUREMENT VIEW / 調達側の判断 PRACTICE
  • 投入薬剤の chemical inventory(kg/製品)を、様式を指定して四半期ごとに提出させる。
  • LOA の有効期限管理表を取引条件に入れる(期限切れは最頻出の指摘)。
  • レシピ変更・薬剤変更時の事前通知を契約に入れる。
MERIT / 企業にとってのメリット
  • 薬剤コストの把握と削減余地の可視化
  • 化学事故・品質事故の予防
  • 顧客照会(RSL/MRSL 質問票)への迅速な回答
  • 不適合・返品リスクの低減
出典:GOTS v8.0 §4.2/§4.3.9.4/§7.2.4.1、Changelog GOTS 8.0(2026年1月)4.2→7、 Manual for the Implementation of GOTS v8.0 §4.2.2.2 B/§4.2.2.5 B
💧
改訂ポイント 02 / 09 ・ PFAS & FLUORINE

PFAS・フッ素管理

撥水剤防汚剤 アウトドア加工Total Fluorine
Manual §5.2.7 / 5.2.8 が定める PFAS 分析の段階的アプローチ
STEP 1
Total Fluorine スクリーニング
EN 14582:2016 / ASTM D7359:2023 / EN 17813:2023
STEP 2
判定ルール
≦50 mg/kg → 適合とみなし得る
>50 mg/kg → 個別分析へ
STEP 3
PFAS個別分析
EN 17681-1:2025(LC–MS/MS、アルカリ加水分解)
何が変わったか

意図的使用の禁止に加え、Total Fluorine によるスクリーニングという段階的手順が Manual に明記されました。 撥水・防汚・アウトドア加工は最重点です。

Why it matters:限度値が 各 <25 ppb・合計 <25 ppb に厳格化。 サプライヤーの「PFAS Free」という説明だけでは、要求を満たしていることの説明が困難です。§5.2.7.2/5.2.8.1 は限度値を定めており、試験報告などの検証可能な証拠が求められます。
条文の要点
§残留限度値(5.2.7.2/5.2.8.1):PFAS は 「Each < 25 ppb (μg/kg)」「Sum < 25 ppb (μg/kg)」に改定。試験法は DIN EN 17681-1:2025 に更新。
§4.2.2.8:PFAS for oil, water, and stain repellency」が明示的に追記され、 撥油・撥水・防汚用途が対象であることが明確化されました。
§7.2.3 (17):PFAS物質の個別リストは本文から削除され、参照リストとして AFIRM Appendix B, Version 11, 2026 が指示されました。
Total Fluorine の読み方(概念図)
~ 数十 ppm≦50 適合域
50 ppm 閾値暫定基準
低数百 ppm非意図でも到達し得る
意図的処理著しく高濃度
※ Manual の記述(“low-hundreds ppm range” / “significantly higher concentrations”)を可視化したもので、 GOTSが数値区分を定義しているわけではありません。
ここが実務の落とし穴です。
① ラボは燃焼試料中の有機フッ素と無機フッ素を確実に区別できません。 Total Fluorine 値は両者の合計であり、PFAS含有量の直接的な指標ではないと Manual が明記しています。
② 「意図的にPFAS処理していない製品でも、Total Fluorine が数百ppm台になり得る」とも記載されています。 つまり 「50ppm超=PFAS使用」ではなく、個別分析に進むトリガーと理解してください。
③ この 50 ppm は「provisional threshold」「interim approach」と明記された暫定値で、 有機/無機フッ素を区別する検証済み手法が普及するまでの運用です。社内説明で押さえておくと混乱を防げます。
2. WHAT PROBLEM DOES IT SOLVE? / 何を解決するのか GOTS DIRECT BASIS
  • 「PFAS Free」という宣言だけが流通し、誰も検証していない状態が続いていた。
  • 難分解性物質が製品・排水・環境に残り、後から回収も是正もできない。
  • 米国州法や EU 規制で問題化したとき、日本企業は自社製品の含有状況を答えられない。
4. JAPAN CONTEXT / 国内の関連制度 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 環境省が PFAS に対する総合戦略検討専門家会議を設置し、PFOS・PFOA 等について対応の方向性を整理しています。
  • ただし対象は主に水環境・水道水であり、繊維製品中の PFAS 含有量を直接規制する国内法令は確認できません
6. PROCUREMENT VIEW / 調達側の判断 PRACTICE
  • 撥水・防汚加工品は Total Fluorine 試験報告書の提出を発注条件にする。
  • 50 mg/kg 超のときは EN 17681-1:2025 の個別分析まで求め、それまで量産承認を保留する。
  • 米国向けがある場合は州法の total organic fluorine 基準も同時に確認する。
MERIT / 企業にとってのメリット
  • 化学事故・回収リスクの低減
  • サプライヤー間の比較可能性
  • ブランドからの PFAS 照会への即応
  • 将来の DPP における化学物質情報への備え
出典:GOTS v8.0 §4.2.2.8/§5.2.7.2・§5.2.8.1、Manual v8.0 §5.2.7・5.2.8 “Guidance on the Analysis of PFAS”、 Changelog GOTS 8.0 5.2.7.2 & 5.2.8.1、Changelog Manual 7.2.3 (17)
改訂ポイント 03 / 09 ・ GLITTER & MICROPLASTIC

Glitter・プラスチック装飾

Glitter printDecorative coating Plastic particlesmulesed wool も追加
何が変わったか

Glitter やプラスチック由来装飾について、原材料の確認と管理が必要になりました。 禁止リストに新たに明記されています。

Why it matters:「小さな装飾だから」で見逃されがち。 試験方法まで指定されているため、後付けで証明するのが難しい項目です。
条文の要点
§3.3.2「Allowed and Prohibited Accessories」:禁止リストに 「decorative glitter composed of insoluble and non-biodegradable plastics」と 「mulesed wool」が追加されました。
§Manual 3.3.2 A:使用可能なのは 可溶性・生分解性・天然・無機のグリッターのみ。
§試験方法まで指定:
可溶性 → Regulation (EC) No 1907/2006 Annex XVII Appendix 16、OECD Guideline 120
生分解性 → Regulation (EC) No 1907/2006 Annex XVII Appendix 15、OECD Guideline 301B
§用語変更:「Microplastics」→「Synthetic Microplastics Polymers (SMP)」。 REACH の合成ポリマーマイクロ粒子規制に沿った3つの除外規定(技術的封じ込め/使用中に物性が恒久変化/固体マトリクスへの恒久的組込み)が追加。
§関連:4.3.13.11「Microfibre Management at Processors」が新設され、 加工業者はリスクアセスメント手法でマイクロファイバー放出を考慮することが求められます。 Table 7 にも「Microfibre Shedding / Fibre fragmentation」(ISO 4484-1/2/3、AATCC TM 212、TMC法)が追加。
可否と必要な証拠
グリッターの種類可否必要な証拠
不溶性・非生分解性プラスチック禁止
可溶性グリッターOECD 120 溶解性試験報告
生分解性グリッターOECD 301B 生分解性試験報告
天然・無機グリッター原材料仕様・組成証明
確認の流れ
1製品に装飾が使われているか棚卸しする(プリント・コーティング含む)
2サプライヤーに組成を照会する(「グリッター」だけでは不十分)
3プラスチック由来なら OECD 120/301B の試験報告を求める
該当しない代替(天然・無機)への切替も選択肢に
SMP の除外規定は覚えておく価値があります。REACH に沿って、 ①技術的手段で封じ込められ環境放出が防止されるもの ②使用中に物性が恒久的に変化しポリマーが定義外になるもの ③固体マトリクスに恒久的に組み込まれるもの——は SMP の定義から除外されます。 装飾がどれに当たるかで判断が変わります。
2. WHAT PROBLEM DOES IT SOLVE? / 何を解決するのか GOTS DIRECT BASIS
  • 装飾は「小さいから」と扱われ、組成が誰にも把握されていないまま量産に入る。
  • 洗濯や廃棄でマイクロプラスチックとして環境に出る。子供用製品では特に注目されやすい。
  • 名称だけで流通するため、後から証明しようとしても代替が間に合わない。
4. JAPAN CONTEXT / 国内の関連制度 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律により、環境配慮設計と排出抑制が求められています。
  • 環境省は海洋プラスチック・マイクロプラスチックに関する調査ガイドラインを公開しています。
  • ただし装飾用グリッターの組成を直接規制する国内法令は確認できません
6. PROCUREMENT VIEW / 調達側の判断 PRACTICE
  • 「グリッター」という名称ではなく組成を、自社指定の様式で照会する。
  • プラスチック由来なら OECD 120/301B の試験報告を必須条件にする。
  • ロット変更・メーカー変更時の再確認手順を取引条件に入れる。
MERIT / 企業にとってのメリット
  • 採用後の不適合・回収リスクの低減
  • ブランドリスクの低減
  • 副資材の比較可能性
  • DPP における材料情報への備え
出典:GOTS v8.0 §3.3.2、Manual v8.0 §3.3.2 A、Changelog GOTS 8.0 3.3.1→3.3.2/7→8(SMP定義)、 Changelog Manual 3.3→3.3.2
🧵
改訂ポイント 04 / 09 ・ PVA FIBRE

PVA Fibre の回収

最低回収率 50%GOTS承認PVAのみ 刺繍用バッキングは禁止
何が変わったか

紡績工程で溶解除去する PVA について、初めて明示的な例外規定が置かれました。 ただし条件付きで、回収率の下限が数値で規定されています。

Why it matters:PVAを使っている紡績工場は多いのに、 回収システムの有無が可否を分ける点が見落とされがちです。
条文の要点
§4.2.2.2 d):PVAの管理された使用に対して特例が認められる。条件は次の通り。
i紡績工程で溶解させる目的のPVA繊維は、 PVAのリサイクル/回収システムが設置され、水溶液の重量比で最低50%の回収率を達成している場合に限り使用可。
iiGOTS承認済みのPVA薬剤のみを使用すること。
iii回収されたPVAは量の制限なく工程内で再利用してよい。
§4.2.2.2 c):後工程で溶解させることを意図した合成繊維は、原則使用禁止(PVAはその例外)。
§4.2.2.3(Manual):PVA shall not be used as a backing material for embroidery」= 刺繍のバッキング材としてのPVA使用は禁止。用途で可否が分かれます。
§参考・糊剤(4.2.2.3 c):合成サイズ剤も、脱糊排水から 80%超の比率で回収・再利用される場合は総糊量の制限なく使用可。「回収率で可否が決まる」という同じ設計思想です。
工程イメージ
1綿 + PVA
2紡績(PVAが強度を補助)
3温水でPVAを溶解除去
!PVA含有排水が発生
回収・再利用(最低50%) ← ここが要求事項
回収率と適合の関係
回収なし不適合
回収 30%不適合
回収 50%最低ライン
回収 80%適合
※ 50% は 水溶液の重量比(by weight of the aqueous solution)で算定。測定方法と算定境界を文書化しておくこと。
2. WHAT PROBLEM DOES IT SOLVE? / 何を解決するのか GOTS DIRECT BASIS
  • 溶解除去された PVA は、回収しなければ排水に流れる。「排水処理をしている」で議論が終わっていた
  • 資源として回収されているかを誰も見ておらず、薬剤コストも排水処理負荷も改善されない。
  • 調達側は工程の実態を知らないまま発注している。
4. JAPAN CONTEXT / 国内の関連制度 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 水質汚濁防止法により特定施設の排水基準が定められていますが、これは水質の規制です。
  • PVA の回収率を求める国内法令は確認できません。GOTS 独自の認証要求です。
6. PROCUREMENT VIEW / 調達側の判断 PRACTICE
  • 回収システムの実在を写真・設備台帳・設置日で確認する。
  • 回収率の算定式(分母・分子)と測定頻度を書面で提出させる。
  • 刺繍バッキング材への PVA 使用がないことを確認する(Manual §4.2.2.3 で禁止)。
MERIT / 企業にとってのメリット
  • 薬剤コストの把握・削減
  • 排水処理負荷とコストの低減
  • サプライヤーの比較可能性
  • 出荷停止リスクの低減
出典:GOTS v8.0 §4.2.2.2 d) i–iii/§4.2.2.2 c)/§4.2.2.3 c)、Manual v8.0 §4.2.2.3、 Changelog GOTS 8.0 4.2.6.2→4.2.2.2、Changelog Manual 4.2.6.3→4.2.2.3
🌡️
改訂ポイント 05 / 09 ・ CLIMATE × WORKER SAFETY

気候変動と労働安全

4.4.7.15 新設4.4.7.16 新設 年1回以上の見直し
因果の連鎖 — なぜ「環境」が「労働安全」の章に入ったのか
CLIMATE
猛暑
FACILITY
工場温度上昇
RISK
熱中症リスク
CONTROL
休憩・給水・作業時間調整
何が変わったか

GOTS 8.0 で新設された2条項。環境問題が労働安全衛生(OHS)に直結する項目として明文化されました。 日本の夏の工場は、まさに対象です。

Why it matters:「環境の話」だと思って社会項目の担当が見ていない、 という縦割りが最も危険。OHS章に入っているのがポイントです。
条文の要点
§4.4.7.15(新設):異常気象によるリスクが特定された場合、 その重大性と発生可能性を考慮して緊急対応計画を策定・実施すること。 計画は猛暑・洪水・暴風などの事象を対象とし、 作業中止の手順、安全な場所への避難、必要な場合の即時医療アクセスを含めること。
§4.4.7.16(新設):作業区域の温度・湿度など環境条件を監視する適切なツールを使用すること。 異常気象時には作業スケジュールの調整、PPEの要否判断、適切な休憩の確保を行うこと。 これらの措置は少なくとも年1回、状況が大きく変わればより高頻度で見直し・更新すること。
§Manual:4.4.7.16 について気候緩和計画のテンプレートと、 労働者に影響し得る各種環境リスクの情報が提供されています。
§参照文献の追加:C120(商業・事務所衛生条約)、C148(作業環境:大気汚染・騒音・振動)、 C174/R181(重大産業災害防止)、C187(労働安全衛生促進枠組)、R205 などが Manual の参照文献に追加。
「水が飲める」だけでは何が足りないか
要素よくある状態4.4.7.15 / 16 の要求
給水あり必要だが一要素にすぎない
環境条件の監視記録なし温度・湿度を適切なツールで監視
リスク評価未実施重大性と発生可能性を考慮
休憩ルールなし適切な休憩の確保
作業時間調整なし作業スケジュールの調整
PPE 判断未検討PPE の要否を決定
緊急対応計画なし作業中止・避難・即時医療アクセス
年次見直しなし少なくとも年1回レビュー・更新
日本の現場での読み替え。厚生労働省の熱中症対策(WBGT測定、暑熱順化、休憩・水分塩分補給、緊急連絡体制)を 既に実施している工場は多いはずです。GOTS 8.0で必要なのは新しい活動ではなく、 それを「4.4.7.15/16 に対する証拠」として記録・年次レビューの形に載せることです。 具体的には ①測定値を記録として残す ②手順書として文書化する ③年1回レビューして更新日を記録する の3点です。
2. WHAT PROBLEM DOES IT SOLVE? / 何を解決するのか GOTS DIRECT BASIS
  • 高温環境が「環境の話」として扱われ、労働安全の担当者が見ていなかった
  • 温度計はあるが記録がなく、対策の有無を後から検証できない。熱中症は重篤化すると死亡災害になる。
  • 調達側は納期を優先し、繁忙期の労働環境を確認していない。
4. JAPAN CONTEXT / 国内の関連制度 REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
  • 2025年6月1日、改正労働安全衛生規則が施行され、職場における熱中症対策が罰則付きで義務化されました。「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が事業者の義務です。
  • 日本企業は既に WBGT 測定・休憩・水分塩分補給・緊急連絡体制を運用していることが多く、必要なのは新しい活動ではなく、記録化・手順化・年次レビューです。
6. PROCUREMENT VIEW / 調達側の判断 PRACTICE
  • 作業区域の温湿度(可能なら WBGT)測定記録を月次で提出させる。
  • 緊急対応手順(作業中止基準・搬送先・連絡体制)の文書を取得する。
  • 夏季の増産依頼を出す前に、休憩・給水・シフト調整の運用を確認する。
MERIT / 企業にとってのメリット
  • 労働災害の防止
  • 国内法令対応と GOTS 対応の一体化(二重管理の回避)
  • 生産停止リスクの低減
  • ブランドリスクの低減
出典:GOTS v8.0 §4.4.7.15・§4.4.7.16、Changelog GOTS 8.0 N/A→4.4.7.15/4.4.7.16、 Changelog Manual 4.4.7.15/N/A→4.4.7.16、Manual v8.0 §4.4.1.3 参照文献
🚰
改訂ポイント 06 / 09 ・ WATER MANAGEMENT

水使用量と削減

MeasureCompare TargetReduce
要求される管理サイクル(§4.3.9.2)
01
MEASURE
水源の記録+総使用量
02
NORMALIZE
L / kg 生産量
03
COMPARE
ベースラインと比較
04
TARGET
定量・期限付き目標
05
REVIEW
年1回以上・文書化
何が変わったか

単に使用量を記録するだけでは不十分。 原単位化 → ベースライン → 目標 → 年次レビューという管理サイクルが要求事項になりました。

Why it matters:「毎月メーターを読んでいます」は測定であって管理ではない、 というのが 4.3.9.2 の趣旨です。
条文の要点
§4.3.9.2.1 a):水源(地下水・上水・再生水など)の記録を文書で維持。
§4.3.9.2.1 b):繊維製品1kgあたりの総水使用量を監視・記録すること(shall)。
§4.3.9.2.1 c):可能な場合、工程別(染色・洗浄など)に分解することが望ましい(should)。
§4.3.9.2.2 a):定義されたベースラインに対し、 定量的・期限付き・達成可能な原単位削減目標(litres/kg of output)を設定 (節水技術、低浴比機械、工程最適化、リサイクル・再利用戦略など)。
§4.3.9.2.2 b):目標に対する進捗は少なくとも年1回レビューし、文書化し、更新すること。
§関連(排水 4.3.13):外部ETPを使う場合は 有効な引渡契約(最大排水量・パラメータ・限度値を明記)と、ETP事業者の法的許認可の確認が必要。 直接排水設備を持たない事業者は ZDHC Wastewater and Sludge Guidelines に従うことも可(4.3.13.8)。
よくある状態と v8.0 の要求水準
現在よくある状態v8.0 判定不足しているもの
水道料金だけ管理不適合使用量そのものの記録
毎月の総使用量を記録不十分生産量での原単位化
L/kg まで算出まだ不十分ベースライン・削減目標
L/kg + 目標 + 年次レビュー適合
同じ構造がエネルギー・化学薬品にも適用されます。 エネルギーは kWh/kg(4.3.9.3)、化学薬品は chemical inventory + kg単位の消費量(4.3.9.4)。
「測る単位を生産量で割る」「ベースラインを決める」「目標と期限を書く」「年1回見直す」—— 水・エネルギー・化学薬品は、いずれも同じ4つの動作を求められています。記録の様式をどう設計するかは各社のご判断ですが、要求の構造は共通しています。
時間の問題があります。「ベースラインとの比較」「年1回以上のレビュー」が要求されるため、 2026年中に測定を始めていないと、2027年3月以降の初回監査で比較すべき過去データが存在しません
2. WHAT PROBLEM DOES IT SOLVE? / 何を解決するのか GOTS DIRECT BASIS
  • 総量だけを記録していたため、生産が増えたのか効率が落ちたのかを区別できない
  • 比較できないので改善の優先順位もつけられず、取引先の質問にも答えられない。
  • 水源の内訳がなく、渇水・取水制限時のリスクも見えない。
4. JAPAN CONTEXT / 国内の関連制度 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 経済産業省「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン 第1版」が、水使用量を含む環境情報の開示のあり方を整理しています。
  • ただし原単位管理や削減目標を義務づける国内法令は確認できません
6. PROCUREMENT VIEW / 調達側の判断 PRACTICE
  • 水使用量は総量ではなく L/kgで提出させ、分母(出来高)の定義も明記させる。
  • 水源別の内訳(上水/地下水/再生水)を求める。
  • ベースラインと削減目標・期限、年次レビュー記録を契約更新時に確認する。
MERIT / 企業にとってのメリット
  • 水コスト・排水処理コストの把握
  • サプライヤー間の比較可能性
  • 情報開示・顧客照会への即応
  • 水リスクの早期把握
出典:GOTS v8.0 §4.3.9.2.1・§4.3.9.2.2・§4.3.13、Manual v8.0 §4.3.13.3/4・§4.3.13.8、 Changelog GOTS 8.0 4.3→4.3.9〜4.3.15
改訂ポイント 07 / 09 ・ ENERGY & GHG

エネルギー・GHG管理

kWh / kgGHG Protocol ISO 14064Scope 1・2 年1回以上
何が変わったか

再エネ導入の有無ではなく、使用量データ・削減計画・GHG算定体制そのものが要求事項になりました。 Scope 1・2 は年1回以上の算定が必須です。

Why it matters:「一次データを出した=検証済みPCF」ではないと Manual が明記。 用語の誤用がそのまま不適合になり得ます。
エネルギー(§4.3.9.3)
§4.3.9.3.1:境界内で使用するエネルギー源(電力・熱・燃料種)の記録を維持し、 製品1kgあたりのエネルギー消費量(例:kWh/kg output)を監視・記録。 電源種別(系統電力・自家再エネ・化石燃料・バイオマス)で分類し、 算定方法・境界・裏付け証拠(計量、契約、証書)を文書化することが望ましい。
§4.3.9.3.2:ベースラインに対する定量的な省エネ目標と期限を設定・実施。 実行可能な範囲で再エネ比率を高める定量目標も設定。進捗は年1回以上レビューし文書化。
§Manual 4.3.9.3.2 (b)(新設ガイダンス): 再エネ比率の算定方法(証書などの購入手段の取扱いを含む)と境界(電力/熱)を文書化すること。
大気排出(§4.3.10 新設)

WHO が特定する重要大気汚染物質(PM10/PM2.5、O₃、NOx、SOx、CO)、VOC/TOC、NH₃、 重金属(Cd, Pb, Hg)、GHG 7種、POPs・ナノ粒子などの排出源インベントリを文書化。 法規制がない場合はその旨の宣言+外部の認知されたガイドラインに沿った自主戦略が必要です。

GHG(§4.3.11)
§4.3.11.2.1:GHG Protocol または ISO 14064 に沿って Scope 1・2・3 に分類し、組織的・運用的境界を特定。
§4.3.11.2.4:使用した排出係数(EF)とデータソースを列挙 (例:IPCC 国別温室効果ガスインベントリガイドライン)。
§4.3.11.3/4.3.11.4:Scope 1・2 排出量を計画に定めた方法・データ・排出係数で算定し、 少なくとも年1回算定すること。
§4.3.11.2.6:Scope 3 は中長期計画として、関連カテゴリの特定・優先順位付け、 データ品質の段階的向上、上下流アクターとの連携能力構築を進めること。
!4.3.11.6/Manual:一次データを提供することは検証済みPCFではない」。 認められたPCF規格で算定され(必要に応じ検証された)ものだけを「検証済みPCF」として提示できます。
GHG 算定の到達段階
電気代の請求書のみ不足
使用量 kWh を記録測定段階
kWh/kg 原単位化管理の入口
Scope 1・2 年次算定v8.0 必須
+Scope 3 中長期計画v8.0 期待水準
2. WHAT PROBLEM DOES IT SOLVE? / 何を解決するのか GOTS DIRECT BASIS
  • 再エネ契約の有無だけが語られ、算定境界・排出係数・原単位が定義されていなかった
  • 「PCF」という語が、一次データの提供から第三者検証済みの算定まで、違うレベルを指して使われている。
  • 誤用がそのままブランド側の誤った主張になり、グリーンウォッシング指摘の起点になる。
4. JAPAN CONTEXT / 国内の関連制度 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 経済産業省・環境省「カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド」が、算定の手順・境界設定・データ収集の考え方を示しています(任意の手引き)。
  • GX リーグでは GX-ETS の排出量に登録確認機関による確認(第三者検証)が義務ですが、対象は直近3年度の平均直接排出量 10万 t-CO₂ 以上の事業者です。
  • 経済産業省「繊維製品の資源循環に向けて」(資料3、2025年12月1日)は、p.5 で繊維産業について「設計・製造の工程において、特に温室効果ガスの排出や水の使用量等の観点から、国内外から環境負荷の高さが指摘」されていると整理しています。
  • 同資料 p.8 で紹介される「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン(第1版)」は、開示が期待される項目の第1番目に「製造工程におけるエネルギー使用量又は温室効果ガス排出量」、第2番目に「製造工程における水使用量」を挙げています。GOTS §4.3.9.3・§4.3.11 が求めるデータと同じ種類の情報です。
  • 同ガイドラインは2026年を目途に国内大手アパレル企業での情報開示を徹底し、2030年度に主要アパレル企業の開示率100%を目指すとしています(同資料 p.8)。
出典:「繊維製品の資源循環に向けて」資料3/経済産業省 製造産業局 生活製品課/2025年12月1日(産業構造審議会 繊維産業小委員会)/全34ページ・該当 p.5, p.8
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/textile_industry/pdf/016_03_00.pdf
この資料は、GOTS改訂の直接的な根拠ではありません。日本国内でも同じ課題に対して検討が進んでいることを示す政策的・産業的背景として参照しています。
6. PROCUREMENT VIEW / 調達側の判断 PRACTICE
  • 数値を受け取る前に算定境界・算定方法・排出係数と出典の開示を条件にする。
  • 「PCF」「検証済み」という語を、どのレベルで使っているかを確認する。
  • サプライヤー比較は、境界と係数を揃えてから行う。
MERIT / 企業にとってのメリット
  • エネルギーコストの把握
  • 顧客照会への正確な回答
  • グリーンウォッシング指摘リスクの回避
  • 将来の情報開示対応
出典:GOTS v8.0 §4.3.9.3・§4.3.10・§4.3.11.2〜§4.3.11.6、 Manual v8.0 §4.3.9.3.2 (b)・§4.3.11.1・§4.3.11.6、Changelog Manual 4.3.11.1/4.3.11.6
🔗
改訂ポイント 08 / 09 ・ TRACEABILITY & DIGITALISATION

デジタルトレーサビリティ

SCTCGTB APIDPP
データの流れ(方向性)
認証
SC
Scope Certificate
取引
TC
Transaction Certificate
集約
GTB
Global Trace-Base
接続
API
system-to-system
EU規制
DPP
Digital Product Passport
※ 右端 DPP への接続は、現時点で GOTS が公式に確約したものではありません。根拠と限界は「GTB → DPP」セクションで整理します。
何が変わったか

PDF 管理から構造化されたデータ管理へ。GOTS 8.0 では Global Fibre Registry の使用が義務化され、証明書は Global Trace-Base に集約されていきます。

Why it matters:この流れの先に EU DPP があります。 詳細は専用セクション(ナビの「05 GTB → DPP」)で扱います。
トレーサビリティ(§2)
§2.1.6/2.1.7(新設):受入れる認証繊維材料の要求が明確化され、 トレーサビリティのための Global Fibre Registry の使用が義務(mandatory)と規定されました。
§2.5.8/2.5.9:トレーダーが扱う原料オーガニック繊維は、 物理的にも、対応するすべての請求書・輸送書類上でも明確に識別されること。 GOTS製品はバリューチェーン全体のすべての請求書上で明確に識別されること。
§Manual 2.7.8:「小売製品にGOTSラベルがない場合、 GOTSに関するいかなる主張・広告・言及も認められない」と明確化。
情報管理・内部監査(§4.1)
§4.1.6(新設):デューデリジェンスに必要な正確かつ最新の情報を保持するため、 機能する情報管理システムを確立すること。
§4.1.11/4.1.12(新設):文書化された内部監査システムを確立・維持。 内部監査員は力量があり、評価対象業務から独立していること。内部監査プログラムはリスクベースで、 関連する各プロセスを少なくとも年1回監査すること。記録は保持しアクセス可能にすること。
§Manual 2.2.5:リモート監査のガイダンスが新設。 ①オフサイト書面レビュー ②バーチャル監査 ③ライブ映像ストリーミング の3方式が定義され、 「partial」「full」の区分も明記されました。データが整理されている企業ほどリモート対応しやすくなります。
日本企業への実務的な含意。日本の認証事業者の多くはブランド・商社・調達側です。 GFR や GTB の整備が進むほど、数量突合(volume reconciliation)が効くようになり、 TCの数量と請求書・入出庫が合わない状態は早期に発見されます
まずは 製品データを「列」として持つ(組成・原産地・工程・サプライヤーID)ことから始めてください。 PDFの中にしか情報がない状態は、どの制度にも接続できません。
2. WHAT PROBLEM DOES IT SOLVE? / 何を解決するのか GOTS DIRECT BASIS
  • SC・TC が PDF で個別保存され、SKU・ロット・サプライヤー・拠点のデータがつながっていない
  • 照会が来るたびに手作業で探すため時間がかかり、記載の食い違いも起きる。
  • EU 側でデータ提出が求められたとき、機械可読な形で出せる企業とそうでない企業の差が出る。
4. JAPAN CONTEXT / 国内の関連制度 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 経済産業省が繊維製品の資源循環環境配慮情報開示に関するガイドラインを公表しています。
  • ただし、日本には DPP に相当する製品パスポート制度は確認できません。EU の ESPR に基づく DPP が先行しており、日本企業は「輸出先の要求」として直面します。
6. PROCUREMENT VIEW / 調達側の判断 PRACTICE
  • TC・SC を製品マスターと紐づけて保管する仕組みを、取引開始時に決める。
  • サプライヤーに ID(事業者・拠点)とロット単位の情報を求める。
  • PDF は当面残る前提で、並行してデータ項目を揃える
MERIT / 企業にとってのメリット
  • 照会対応の時間短縮
  • 記載の食い違いの防止
  • 将来の DPP 対応の前倒し
  • 調達判断の透明性
出典:GOTS v8.0 §2.1.6・§2.1.7・§2.5.8/2.5.9・§4.1.6・§4.1.11/4.1.12、 Manual v8.0 §2.2.5・§2.7.8、Changelog GOTS 8.0 / Changelog Manual
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改訂ポイント 09 / 09 ・ CIRCULARITY

サーキュラリティ — 修理・再販・用途変更

§5.3 新設Repair Resell / ReuseRepurpose
GOTS DIRECT BASIS 図をクリックすると拡大表示されます
何が変わったか

これまで GOTS は「作るところまで」の規格でした。v8.0 で §5.3 Circularity of Final GOTS Goods が新設され、 販売した後の製品に手を入れる行為——修理・用途変更・再販/再利用——が規格の対象に入りました。

Why it matters: 修理した服・買い取って再販した服を「GOTS 認証品」として売り続けたいのであれば、 その介入を行う事業者にも要求がかかります。逆に、認証ステータスを維持しない前提なら、 §5.3 は自動的にかかるものではありません。どちらを選ぶかで扱いが変わります。
最も多い誤解

✕「§5.3 ができたので、修理やリセールをする会社は全部 GOTS 認証が必要になった
◯ 公式ウェビナーは “Not an automatic extension of mandatory certification” と明記しています。 必要かどうかは ①ブランドが repair / resell / repurpose の計画を持っているか②認証ステータスを維持しようとしているか(例:GOTS として再販するか)の 2 点によります。

条文の要点(§5.3) GOTS DIRECT BASIS
§5.3.1 誰が対象か: 最終 GOTS 製品の所有者(例:ブランドオーナー、小売事業者)で、認証品を循環利用の実務に投入する者が、 本セクションの要求に従う。
原文:“Owners of final GOTS Goods (e.g. brand owners or retailers) that place certified products into circularity practices shall comply with the requirements set out in this section.”
§5.3.2 何が対象か: 認証済み最終製品への介入。修理(repair)・用途変更(repurposing)・再販/再利用(resell/reuse)などの加工を含むが、これらに限らない。
!5.3.3 認証の要否: §5.3.2 の循環実務として GOTS 製品に介入する事業者は、 認証製品としての完全性・GOTS への言及・GOTS に関する主張を維持するために、有効な GOTS 認証を保持しなければならない
原文:“…shall hold a valid GOTS certification to maintain certified product integrity, references and claims to GOTS.”
§5.3.4 手順の文書化: 循環プロセスを GOTS 製品に適用する際、本規格への継続的な適合を確保する手順を実施し文書化すること。
§5.3.5 情報の準備: 該当する循環実務に関する関連情報をすべて準備・文書化し、提示できるようにすること。
Manual が具体化していること GOTS DIRECT BASIS
認証範囲に含める。 製品寿命を延ばす循環活動(修理・用途変更・refurbishment・再販など)と、 それを行う事業者は GOTS 認証の適用範囲に含めること。§5.3 に適合する事業者だけが 製品の完全性を維持し GOTS に言及できる。
認証にあたって追加で求められる 3 点: a) 修理・用途変更・refurbishment・再販などの全活動の記録/ b) 詳細な材料情報と化学品情報の維持/ c) 継続的な適合を示すトレーサビリティ
交換材料: 修理などで行う繊維材料の変更は関連する GOTS の各セクションに適合すること。 交換材料は元の材料と同一である必要はないが、該当する GOTS 要求を満たすこと。 裏地・ボタン・ファスナー等の付属品の交換は、付属品の規定が適用される。
化学品: 修理・refurbishment などで使用する洗剤・仕上剤・接着剤等の化学投入資材も GOTS の要求に適合すること。
包装・トレーサビリティ: 循環実務で使う包装も GOTS の最低要求に適合すること。 循環実務に投入される GOTS 製品のトレーサビリティは、Transaction Certificate を用いて維持することが望ましい(should)。
循環システムの記述: 修理サービス・回収(take-back)・リユース・refurbishment などの内部/外部インフラについて、 採用している循環型ビジネスモデルと、それを支えるシステムを文書に記述することが望ましい。
判断のながれ
修理・再販・用途変更を行う(または委託する)
その製品を「GOTS 認証品」として扱い続けたいか?
はい → 介入する事業者に有効な GOTS 認証が必要(§5.3.3)
+ 活動記録・材料/化学品情報・トレーサビリティ(Manual)
いいえ → §5.3 は自動的には適用されない。
ただし GOTS への言及・主張はできません
GOTS が挙げている利点(公式資料 p.51)
1Safe & compliant circularity processes — 修理・再販・用途変更のすべてが GOTS の安全性・材料基準を満たす
2Product integrity maintained — 製品ライフサイクル全体で品質と安全性が保たれることを認証が確認する
3Third-party verification — 最初の販売時点を越えて第三者による監視が継続する
4Continued GOTS claims — 修理・アップサイクルした製品を、介入後も GOTS 認証品として訴求できる
※ 上記は GOTS 公式ウェビナー資料が挙げる導入の狙いであり、認証の取得を推奨するものではありません。
この条項が解決しようとしている問題 GOTS DIRECT BASIS
  • 修理・買取再販が増えているのに、介入後の製品を GOTS と呼べるのかのルールがなかった。
  • 修理で使う糸・ボタン・接着剤・洗剤が GOTS 要求を満たしているか、誰も確認していなかった。
  • 結果として、ラベルの信頼性(label integrity)が販売後に崩れるおそれがあった。
日本の状況との関連 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 国内でも修理・二次流通・回収(take-back)の取り組みは広がっていますが、 それが §5.3 新設の原因だという根拠はありません
  • Manual の REFERENCES には ESPRThe Green Deal が挙げられています。 EU 側の規制動向が背景にあることは、GOTS 自身の資料から確認できます。
  • 日本のブランドが EU 向けに「修理して再販する GOTS 製品」を出す場合、 §5.3 と ESPR/DPP の両方が同時に関わってくる可能性があります。
確認しておくとよいこと PRACTICE
  • 自社(またはブランド顧客)に修理・再販・用途変更の計画があるかを先に確認する。
  • その製品をGOTS 認証品として売り続ける前提かを確認する。ここで扱いが分かれます。
  • 修理で使う材料・化学品が GOTS 要求を満たすかを、事前に確認できる体制にする。
位置づけ / 注意
  • §5.3 は新設セクションです。運用の細部は今後 Manual の改訂で明確化される可能性があります。
  • 本スライドは条文と公式ウェビナー資料に基づく整理であり、個別事業モデルへの当てはめは行っていません
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・公式ウェビナー資料に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用です。個別事案で認証が必要かどうか、どの範囲が対象になるかは、事業モデルと実際の記録に基づいて認証機関が判断します
この 3 つの見分け方は、Discussion セクションの「追加演習 分類(5.3 サーキュラリティ)」で10 の行為を使って練習します。
出典: Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0, §5.3.1–§5.3.5「Circularity of Final GOTS Goods」, p.44 (Global Standard gGmbH、2026年3月2日発行/2027年3月1日全面適用)/ Manual for the Implementation of GOTS Final Version 8.0(2026年1月)「GOTS Section 5.3」GUIDANCE, p.72 / Pres_ GOTS Version 8.0(GOTS 公式ウェビナー資料、2026年5月20日開催)p.49・p.50・p.51。 閲覧日:2026年8月4日
GHG 算定 01 / 02 ・ PRIMARY SOURCE

GOTS §4.3.11 を原文で読む

Standard p.21–22Manual p.38–39 Scope 1・2 年1回以上
条文の構造 — 6つの塊で覚える GOTS DIRECT BASIS
§4.3.11.1 = 手順書をつくる。 Environmental and Chemical Management Policy(§4.3.1)の一部として、文書化された GHG 管理手順と対策を確立・実施する。 含めるのは 運用境界の特定・排出源・定量化の方法・監視の仕組み・削減のための対策の5点です。
§4.3.11.2 = 手順書に何を書くか(6項目)。 2.1 GHG Protocol または ISO 14064 に沿って Scope 1・2・3 に分類し、組織的・運用的境界を特定/ 2.2 算定方法を国際的に認められた枠組みで特定/2.3 データ収集フレームワーク(各 Scope に必要なデータ項目)を確立/ 2.4 使用した排出係数(EF)とデータソースを列挙(例:IPCC ガイドライン)/2.5 監視の仕組み・プロセス・ツールを記述/ 2.6 Scope 3 は中長期計画としてカテゴリの特定・優先順位付け、データ品質の段階的向上、上下流アクターとの連携能力構築。
§4.3.11.3/4.3.11.4 = 実際に計算する。 手順書に定めた方法・データ・排出係数で Scope 1・2 を算定し、少なくとも年1回行う。 ここが v8.0 で「shall(必須)」になった部分です。
§4.3.11.5 = 報告の仕組みを持つ(should)。 気候関連の行動と実績を報告する仕組みを、認められた報告規格に整合させることが望ましい。
§4.3.11.6 = 一次データの提供(may)。 必要な場合、サプライチェーンの相手方に製品レベルの排出量算定に必要な一次データを提供して支援してよい。 提供することと「検証済み PCF」を出すことは別物です。
読み方のコツ: shall(必須)/should(望ましい)/may(してよい)を分けて読むと、監査で問われる順番が見えます。 4.3.11.1〜4.3.11.4 が shall、4.3.11.5 が should、4.3.11.6 が may です。
Manual が補足していること GOTS DIRECT BASIS
§枠組みは「ガイダンス」。 GHG Protocol と ISO 14064 は算定・管理・報告のガイダンスとして使ってよいものであり、 どちらを採るかは事業者が選び、選んだことを手順書に書くのが実務です。
!責任は事業者にある。 「Certified Entities remain solely responsible for their GHG data, methods and any external climate-related claims」—— データも、方法も、対外的な気候関連の主張も、認証事業者自身の責任です。コンサルタントや検証機関に転嫁できません。
§削減は「可能な範囲で、リスクベースで」。 特定した GHG 排出を時間をかけて可能な限り削減することが求められ、 化石燃料由来など排出の大きいところに資源を集中するリスクベース手法が認められています。
!ただし GOTS は現時点で期限も上限値も定めていない。 「While GOTS currently does not set time or emission limits within its supply chain, it encourages all Certified Entities to evaluate their operations and work towards such goals.」—— 何年までに何%という数値目標は規格側にありません。将来的には自社の操業を超えて、 製品関連排出・サプライチェーン排出まで評価を広げることが期待されています。
§報告の仕組みに含めることが望ましい4点(§4.3.11.5 GUIDANCE。should=望ましい要求です)。 (i) 境界の定義と連結範囲・報告期間・基準年と再計算のトリガー/(ii) 活動データの入手元とデータ品質管理(責任者・QA/QC・網羅性・欠損の扱い)/ (iii) 計算ロジックと排出係数(単位・換算・係数の出典とバージョン/日付)/(iv) Scope 1・2 の合計と主要排出源別の内訳。
!最低限の監査証拠。 計算ファイル(またはシステム出力)/主要な活動データの根拠記録(燃料の購入・消費記録、冷媒ログ、購入電力・熱の請求書またはメーター記録)/内部レビュー・承認の記録。 監査での検証は製品カーボンフットプリントの検証にはあたりません(適切な製品フットプリント規格に照らして明示的に評価した場合を除く)。
この規格が解決しようとしている問題 GOTS DIRECT BASIS
  • 「再エネを使っています」という宣言だけがあり、算定境界・排出係数・データ源が定義されていなかった。
  • 数値が出ていても、誰がどの方法で計算したかを後から追えなかった。
  • ブランド側が受け取った数値を、事業者の意図を超えたレベルで使ってしまう。
まだ議論が続いている点 OPEN QUESTIONS
  • 「どこまで減らせば十分か」の答えは規格にありません。GOTS は期限も上限値も設けていないため、 「可能な限り」の解釈が認証機関・ブランド・事業者の間で揺れます。ここは今後の改訂で焦点になり得る論点です。
  • Scope 3 の優先順位付けは各社判断です。§4.3.11.2.6 は「関連カテゴリを特定し優先順位を付ける」としか言っておらず、 繊維でどのカテゴリを先に取るかの業界共通解はまだありません(カテゴリ1 購入した製品・サービスから入るのが一般的ですが、規格上の指定ではありません)。
  • 第三者検証は GOTS の要求ではありません。Scope 1・2 の算定に検証を義務づける条文はなく、 検証はブランド要求や他制度(GX-ETS 等)から来ます。「GOTS が検証を求めている」と説明するのは誤りです。
今日から着手できること PRACTICE
  • 手順書のひな形に「境界・方法・データ源・係数・監視・削減策」の6見出しを先に作る。
  • 係数は出典とバージョン(年度)まで書き残す。翌年の再計算で必ず効きます。
  • 計算ファイルは年度ごとに凍結して保存し、内部レビューの承認記録を1枚残す。
出典:GOTS v8.0 §4.3.11.1〜§4.3.11.6(Standard 本文 p.21–22)/ Manual for the Implementation of GOTS Final Version 8.0(2026年1月)§4.3.11.1・§4.3.11.5・§4.3.11.6(Manual p.38–39)。 引用箇所は本スライドの図をクリックすると原文で確認できます。
🧮
GHG 算定 02 / 02 ・ HOW IT IS CALCULATED

算定の基本 — Scope の切り分けと「活動量 × 排出係数」

GHG ProtocolISO 14064 参考解説
このスライドの位置づけ REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT

ここから先の図は算定の考え方を説明するための解説図です。 GOTS 条文の根拠ではありません。GOTS が求めているのは前ページの §4.3.11 であり、 その要求を満たすためにどう計算するかを、国際的に確立した方法で示したものが以下の図になります。 原典は環境省・経済産業省の公開資料、および GHG Protocol です。

概念① サプライチェーン排出量 = Scope 1 + Scope 2 + Scope 3
1Scope 1(直接排出):自社のボイラー・乾燥機・社用車など、 自社が燃やした燃料から出る分。染色・乾燥工程を持つ工場はここが大きくなります。
2Scope 2(エネルギー起源の間接排出):購入した電力・熱・蒸気の使用に伴う分。 電力会社の排出係数を掛けて求めます。GOTS が年1回以上の算定を求めているのは、この 1 と 2 です。
3Scope 3(その他の間接排出):Scope 1・2 以外で、自社の活動に関連して他社が出す分。 上流8カテゴリ・下流7カテゴリの計15カテゴリに分かれます。繊維ではカテゴリ1(購入した製品・サービス=原材料)が 最大になることが多く、だからこそブランドはサプライヤーの一次データを欲しがります。
概念② 算定式は1つだけ ― 活動量 × 排出原単位

活動量=事業活動の規模を表す量(電気の使用量 kWh、燃料の使用量 L・m³、貨物の輸送量 t-km、廃棄物の処理量 t など)。
排出原単位(排出係数 EF)=活動量1単位あたりの CO₂ 排出量(kgCO₂/kWh、kgCO₂/t-km、kgCO₂/t など)。
この2つを掛けるだけです。難しいのは計算ではなく、「活動量をどこから取るか」と「どの係数をどのバージョンで使ったか」を残すことです。 GOTS §4.3.11.2.3 が「データ収集フレームワーク」、§4.3.11.2.4 が「排出係数とデータソースの列挙」を求めているのは、まさにここです。

一次データと二次データ: 自社のメーター値・請求書から取った実測値が一次データ、データベースや業界平均から取った値が二次データです。 §4.3.11.6 が言う「primary data points」は前者を指します。
GOTS 監査で実際に見せる証拠 GOTS DIRECT BASIS
計算ファイル(Excel またはシステム出力)— 年度ごとに凍結して保存
活動データの根拠記録 — 燃料の購入・消費記録、冷媒(refrigerant)ログ、 購入電力・熱の請求書またはメーター読み取り記録
排出係数の一覧 — 係数の値・単位・出典・バージョン/日付
内部レビュー/承認の記録 — 誰がいつ確認したか
!監査での確認は境界と方法の整合性チェック・妥当性確認・サンプリングによる限定的な再計算です。 これは製品カーボンフットプリントの検証ではありません(Manual §4.3.11.5 GUIDANCE)。
なぜブランドは「サプライヤーの一次データ」を求めるのか

ブランドにとって、あなたの工場の排出はScope 3 カテゴリ1です。 あなたが Scope 1・2 を減らすと、取引のあるサプライチェーン下流のすべての事業者にとって 「上流の削減」として反映されます。一次データを出せる工場は、ブランドの削減目標に直接貢献できる工場です。 これは規格要求というより、取引上の価値の話です。

出典:解説図はスキルアップGreen「GX ベーシック講座」第5章(©SKILLUP NeXt, Ltd.)p.22・p.24・p.30・p.32・p.33。 各図の原典は環境省「サプライチェーン排出量全般」「温室効果ガス(GHG)プロトコル」、 環境省・経済産業省「サプライチェーン排出量算定の考え方」、GHG Protocol。 これらは GOTS 改訂の根拠ではなく、GOTS §4.3.11 が参照する算定方法を理解するための解説です。 GOTS 側の根拠は §4.3.11.2.1〜2.4 および Manual §4.3.11.1・§4.3.11.5。
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日本の現在地 01 / 02 ・ WHERE JAPAN STANDS

国の目標と、エネルギーの起点

2035年 −60%2040年 −73% 2013年度比
このセクションの位置づけ CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION

ここで扱う日本の政策・統計は、GOTS 8.0 改訂の原因ではありません。 GOTS は国際規格として独自の改訂プロセスを持っています。 このセクションの目的は、皆さまのお客様(ブランド・商社・親会社)がどんな外部要求を受けているかを共有し、 GOTS §4.3.9.3・§4.3.11 で作るデータが国内の要求にもそのまま使えることを確認することです。

① 国の目標 — NDC は「義務」ではないが、国内制度の設計思想になる

NDC(Nationally Determined Contribution = 国が決定する貢献)は、 パリ協定で全ての国に5年ごとの提出・更新が義務づけられている削減目標です。 ただし「Contribution(貢献)」という語が使われているとおり、達成そのものが法的に義務づけられた目標ではありません
日本は 2020年3月に 2030年度 −26%、2021年4月に −46%(50%の高みへの挑戦を表明)と引き上げ、 2025年2月に 2035年度 −60%、2040年度 −73%(いずれも2013年度比)という長期目標を設定しました。

実務への効き方: 国の目標そのものが工場に降ってくるわけではありません。 目標が制度(排出量取引・情報開示)に翻訳され、制度が大企業に適用され、大企業がサプライヤーに要求する—— という順番で届きます。今日の話は、その最後の段階の準備です。
② エネルギーの起点 — 「電気を替えれば減る」が効きにくい構造

主要国の発電電力量に占める再エネ比率(2022年)は、ドイツ 43.8%、スペイン 42.7%、イギリス 42.0%、 カナダ 69.0%(水力 61.1%)に対し、日本は 21.9%(水力 7.7% + 水力除く再エネ 14.2%)でした。 日本の電源は石炭 30.4%・天然ガス 33.8% が中心です。
つまり日本の工場は、同じ kWh を使っても Scope 2 の排出係数が高くなりやすい環境にあります。 だからこそ ①使用量そのものを減らす(省エネ)②再エネ電力を「調達する」 の両方が必要になります。

数字の年次にご注意ください。この比較図は2022年の数値です。 資源エネルギー庁の 2024年度エネルギー需給実績(確報、2026年4月14日公表)では、 再生可能エネルギー(水力を含む)は発電電力量の 23.1%、非化石電源は 32.5% となっています。 「現在の日本は 21.9%」と説明しないでください。
③ 炭素生産性 — 「日本は既に省エネ大国だから伸びしろがない」は半分だけ正しい

炭素生産性(GDP ÷ CO₂ 排出量、ドル/kg-CO₂)の伸びは、主要国の中で日本は下位です。 教材が挙げる要因は、エネルギー集約型産業の国内生産比率が高いこと、 1990〜2015年に石炭火力からの排出が増えたこと、東日本大震災後に石炭火力比率が上がったこと、 省エネ進展が頭打ちであること、エネルギーコスト上昇が GDP を押し下げていること、 そして島国で国際送電網がないという制約を克服するために培われた技術が、国際的に評価され強みに変わりつつあることです。

セミナーでの言い方: 「日本の工場が努力していない」という話ではありません。電源構成と産業構造という、工場単体では動かせない条件が効いています。 だからこそ、工場側でコントロールできる 原単位(kWh/kg、L/kg) を握ることに意味があります。 GOTS §4.3.9.3.1 が製品1kgあたりのエネルギー消費量を求めているのは、この「比較できる形」を作るためです。
出典:解説図はスキルアップGreen「GX ベーシック講座」第3章(©SKILLUP NeXt, Ltd.)p.14・p.20・p.23。 各図の原典は資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2024年度版」、環境省「2023年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」、 資源エネルギー庁「エネルギー白書2024」、経済産業省「通商白書2024」、中央環境審議会地球環境部会「長期低炭素ビジョン」。
2026年8月時点の公式確認: 環境省 日本の NDC(2035年度 −60%/2040年度 −73%、2013年度比)経済産業省 2024年度エネルギー需給実績(確報)これらは GOTS 改訂の直接的な根拠ではありません。
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日本の現在地 02 / 02 ・ FROM POLICY TO REGULATION

政策から制度へ — 自主的な開示が、義務に変わっていく過程

GX リーグ2026年度 排出量取引 10万 t-CO₂ 以上
① 政策の流れ(2020 → 2025)

2020年10月 2050年カーボンニュートラル宣言 → 2020年12月 グリーン成長戦略 → 2021年4月 2030年中間目標(2013年度比 −46%、50%の高みへの挑戦)→ 2021年10月 NDC として国際公約化 → 2022年5月 GX リーグ稼働開始 → 2022年7月 第1回 GX 実行会議 → 2023年2月 GX 実現に向けた基本方針 閣議決定 → 2023年5月 GX 推進法成立 → 2024年5月 GX 推進機構設立 → 2025年2月 GX2040 ビジョン閣議決定。

読み取るべき方向: 宣言 → 戦略 → 法律 → 実施機関 → 制度運用と、5年かけて「言葉」が「制度」になりました。 次の段階は、制度が対象企業を広げる局面です。
② GX リーグ — 自主的な参加の枠組み

2050年カーボンニュートラル達成と産業競争力向上の両立を目指す官民連携プラットフォームで、2023年度から本格稼働。 主な活動は、①自主的な排出削減目標の設定・公表、②排出実績の報告と情報開示、 ③自主的な排出量取引(GX-ETS)の実施、④市場創造とルール形成の4つです。
参加企業は約568社、日本の CO₂ 排出量の約4割をカバー2023年度末時点の教材口径)。 GX-ETS は第1フェーズ(2023〜2025年度)が試行、2026年度から第2フェーズ=本格稼働という段階設計です。

数字の口径にご注意ください。「568社・約4割」は 2023年度末時点の値です。 参加社数は年度で変わるため、対外資料では必ず時点を併記してください。
③ 成長志向型カーボンプライシング — 「いつ、いくら」の設計

民間投資の呼び水として政府が 20兆円規模を支出し、150兆円超の GX 投資を実現するという構想です。 その財源として、排出量取引制度の本格運用(2026年度〜)炭素に対する賦課金の導入(2028年度〜)発電部門の段階的な有償化(2033年度〜)が予定されています。
設計思想は「GX に取り組む期間を設けた上で導入し、最初は低い負担で始めて徐々に引き上げる。 その方針をあらかじめ示すことで GX 投資を前倒しさせる」というものです。

④ 2026年度からの排出量取引制度 — 誰が対象か

2026年度から本格運用が開始された日本の排出量取引制度は、 年間 CO₂ 直接排出量が 10万トン以上の法人が対象です。 教材の推計では対象企業数は 300〜400社程度、日本の GHG 排出量の約60%をカバーします。 運営は GX 推進機構が担い、債務保証等の金融支援・化石燃料賦課金等の徴収と併せて実施されます。

過度に結び付けないでください。 直接排出 10万 t-CO₂ という閾値は非常に大きく、繊維・アパレルの製造事業者で直接の対象になる会社はごく限られます。 皆さまに効いてくるのは対象になった取引先からの要求という間接ルートです。
GOTS 8.0 と重なるところ/重ならないところ CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 重なる:Scope 1・2 の年次算定、活動量データの収集体制、排出係数の出典管理、境界の定義。 GOTS §4.3.11 で収集する活動量・排出係数・境界の情報は、GX-ETS/SHK 制度や ISSB/SSBJ 開示で必要となる情報と重なる部分が多くあります。ただし各制度で求められる境界・検証・報告様式は異なるため、共通部分を土台にしつつ、制度ごとの追加要求は各制度の規定でご確認ください。
  • 重ならない:GX-ETS には登録確認機関による第三者検証が義務ですが、GOTS §4.3.11 は検証を求めていません。 逆に GOTS は削減対策・監視の仕組みを手順書に書くことを求めますが、これは排出量取引制度にはない要求です。
  • 誤解しないでください:日本の GX 政策が GOTS 8.0 の改訂理由になったわけではありません。 両者は別々の経路で、同じ方向(データに基づく管理と開示)に進んでいるだけです。
2026年8月時点の公式確認: 経済産業省 排出量取引制度(2026年度本格稼働/直近3年度の平均直接 CO₂ 排出量 10万トン以上)GX リーグ GX-ETS
これらの制度は GOTS 改訂の直接的な根拠ではありません。日本国内でも同じ方向の検討が進んでいることを示す政策的背景として参照しています。
出典:解説図はスキルアップGreen「GX ベーシック講座」第4章(©SKILLUP NeXt, Ltd.)p.6・p.13・p.18・p.19。 各図の原典は首相官邸「令和2年10月26日 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説」、 内閣官房「我が国のグリーントランスフォーメーション実現に向けて」「GX 実現に資する排出量取引制度の 検討の方向性」、 環境省「成長志向型カーボンプライシング構想について」。 参加社数・対象企業数・カバー率は教材時点の口径による推計を含みます。対外引用時は各公式ページの最新値をご確認ください。
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SECTION 3 / 原料要件 Material Input Requirements

GOTS 混率の説明 — ルールと v8 の変更点

≦5% / ≦30%3.2.6–3.2.83.2.10
3.1 有機繊維の含有量 / 3.2 追加繊維素材

GOTS製品の有機分には、第2.1節で定義された有機認証繊維のみを使用できます(3.1.1)。
GOTS製品には、第3.2.10節に明示された繊維のみを、指定の割合の範囲で混用できます(3.2.1/3.2.2)。

5%
まで許可
「オーガニック」/「オーガニック・イン・コンバージョン」として 販売・表示される製品(3.2.3)
追加繊維素材は最大 5%(≦5%)まで
30%
まで許可
「x% の有機繊維で製造」/「x% の有機転換中繊維で製造」として 販売・表示される製品(3.2.4)
追加繊維素材は最大 30%(≦30%)まで
混率の基本ルール(3.2.6 – 3.2.8)
✔ ALLOWED(3.2.6)
許可された追加繊維素材は、有機繊維または有機・イン・コンバージョン繊維と、 どの製造加工段階でもブレンドできます。追加繊維素材は第3.2.10節に明示されたものに限られます
✗ PROHIBITED(3.2.7 / 3.2.8)
同一タイプの繊維どうしを1製品内でブレンドすることは禁止:
・有機 と 有機転換中(例:オーガニック綿 × 転換中綿)
・有機/転換中 と 同種のコンベンショナル(例:オーガニック羊毛 × 慣行羊毛)
・有機 と リサイクル有機(同種)
・未使用(バージン) と リサイクル(同種、例:バージンPA × リサイクルPA)
コンベンショナル・コットン(未使用・リサイクル・非GMO)は一切混用禁止(3.2.8)。
混率ルールの主な変更点(GOTS 7.0 → 8.0)
1繊維一覧表を16行に番号付けして整理(3.2.10)。 「許可・禁止 追加繊維」表を再構成し、参照しやすいよう全行に番号を付与。
2再生繊維の区分を明確化。 リヨセル/タンパク質系再生繊維=最大30%、ビスコース/モダール=最大10% に分離整理。
3リサイクル合成繊維に例外を追加(3.2.10 行7)。 通常20%までのところ、靴下繊維間(テキスタイル・トゥ・テキスタイル)リサイクル最大30% まで許可。
4エラストレフィン(elastolefin)を合成繊維リストに追加。 リサイクル・未使用の合成繊維の対象に elastolefin を明記。
5コンベンショナル・コットンの除外を明確化(3.2.8/行1・10)。 未使用・リサイクル・非GMO を問わず混用禁止。行1の天然植物繊維から除外。
6同一タイプ繊維のブレンド禁止ルールを詳細化(3.2.7 a〜e)。 オーガニックと転換中・コンベンショナル・リサイクルなど、同種繊維の組合せ禁止を具体例つきで明記。
実務での落とし穴。「オーガニックコットン 80% + コンベンショナルコットン 20%」は 比率の問題ではなく、そもそも禁止です(3.2.8)。 「30%枠に収まっているから大丈夫」という発想では判断を誤ります。 まず「その繊維は3.2.10の表に載っているか」、次に「同一タイプの重複でないか」、最後に「枠に収まるか」—— この順で確認してください。
出典:GOTS v8.0 §3.1.1/§3.2.1–3.2.4/§3.2.6–3.2.8/§3.2.10、 IDFL 資料「GOTS 混率の説明 v8.0」、Changelog GOTS 8.0 3.2.3→3.2.10
📋
GOTS 8.0 / 3.2.10 総括表

GOTS の混率条件 — 許容枠 一覧

対象:有機分 最低70%

対象:有機分 最低70%(Made with organic / organic in-conversion, min 70%)の製品。 下記の追加繊維を、各許容枠の範囲で個別または合計で混用できます。

許容枠対象繊維・材料補足・例
30%
まで許可
1. 天然植物繊維(非GMO・コンベンショナル/未使用・リサイクル)
2. 動物繊維(非GMO・コンベンショナル/未使用・リサイクル)
3. 消費前廃棄物(産業廃棄物)由来の機械的リサイクル・オーガニック天然繊維
4. リヨセル・タンパク質系 再生繊維(非GMO・認証原料由来)
6. PLA(ポリ乳酸)繊維(非GMO/バイオマス由来)
麻(リネン)・ラミー・ヘンプ
※コットンは対象外=禁止
ウール・シルク・カシミヤ
リヨセル(再生セルロース繊維の一種)・大豆/ミルクタンパク繊維
トウモロコシ由来の生分解性合成繊維
20%
まで許可
7. リサイクル合成(ポリマー)繊維(消費前後廃棄物由来):
ポリエステル・ポリアミド(ナイロン)・ポリプロピレン・エラストマルチエステル(エラステレル-p)・ ポリウレタン・エラスタン(スパンデックス)・エラストレフィン
例外 / NEW in v8
靴下繊維間(テキスタイル・トゥ・テキスタイル)リサイクル30%まで許可(個別または組合せ)
10%
まで許可
5. ビスコース/モダール(非GMO・認証原料由来)
8. 未使用(バージン)の合成繊維:ポリアミド・ポリプロピレン・エラステレル-p・ポリウレタン・エラスタン・エラストレフィン
9. ステンレススチール繊維・鉱物繊維
再生セルロース繊維(レーヨン)
※ 未使用ポリエステルとアクリルは禁止(下段参照)
禁止 10. コンベンショナル・コットン(未使用・リサイクル・非GMOを問わず)
11–12. コンベンショナルなアンゴラ獣毛/ミュールジングされたウール
13–14. 未使用(バージン)のポリエステル/アクリル
15. アスベスト・炭素・銀の繊維
16. その他 明白に許可されていない繊維
「非GMOだから大丈夫」は通用しません
ミュールジングウールは v8.0 で禁止リストに新規追加(Changelog 3.3.1→3.3.2 と同趣旨で 追加繊維表にも反映)。
判定の順番(実務のコツ)。
① その繊維は 3.2.10 の表(行1〜16)に載っているか
同一タイプの重複になっていないか(3.2.7 a〜e)
許容枠(30/20/10%)に収まるか(個別 かつ 合計)
④ ラベルグレードは ≧95%=Organic≧70%=Made with x% organic のどちらか(2.7.4.1/2.7.4.2)
算定の前提。割合は ISO 139 の標準試験条件下の繊維組成に基づきます。 「非GMO」=遺伝子組換えでない。
また、アクセサリー(付属品)は上記の混率計算から除外されますが、 アクセサリー自体は §3.3.2「Allowed and Prohibited Accessories」の要求を別途満たす必要があります。
出典:GOTS v8.0 §3.2.10「Table – Allowed and Prohibited Additional Fibres」、§2.7.4.1/§2.7.4.2、 IDFL 資料「GOTS 混率の説明 v8.0」総括表、Changelog GOTS 8.0 3.2.3→3.2.10(Row 7 例外の追加)
🧭
本日の主軸 / GOTS 8.0 SECTION 4.1

SIX STEP DUE DILIGENCE FRAMEWORK

OECD 準拠Section 4.1
なぜこれが「本日の主軸」なのか。 これから扱う10のケースは、化学・環境・社会・トレーサビリティとテーマがバラバラに見えます。 しかし すべて Section 4.1 のデューデリジェンスという1つの枠組みの上に乗っています
「リスクを特定し(2)、優先順位をつけ、止め・防ぎ・緩和し(3)、追跡して(4)、伝える(5)」—— どのケースでも監査員はこの流れを見ています。まず全体像を頭に入れてから、ケースに入りましょう。
1
STEP 1
Embed / 組み込む
責任ある企業行動を方針とマネジメントシステムに組み込む。 ビジネスパートナーに対しても、リスク・デューデリジェンスを実施するという明確な期待を表明すること。
§4.1.4:Policy on Responsible Business Conduct は 「business partners に対する期待」を articulate すること(v8.0 で追加)
2
STEP 2
Identify / 特定・評価
自社および供給網の実際・潜在的な負の影響を特定・評価する。 複数の情報源を用いること。サプライヤー評価はジェンダーに配慮した方法で実施すること。
§4.1.1 (ii):「shall use multiple sources of information」 「shall conduct suppliers' assessment in a gender-sensitive manner」(v8.0 で追加)
3
STEP 3
Mitigate / 停止・防止・緩和
危害を引き起こしている行為は直ちに停止する。 予防措置の策定にあたっては国際基準・ガイダンスを参照すること。緩和計画には期限が必要。
§4.1.1 (iii):「shall cease actions that are causing or contributing to harm and take immediate steps to stop existing adverse impacts」(v8.0 で追加)
4
STEP 4
Track / 追跡
実施状況と結果を追跡する。v8.0 では「verify(検証)」が 「validate(妥当性確認)」に変更是正措置計画の更新外部ガイダンスの活用を通じて進捗を確認する。
§4.1.1 (iv):「including by updating and implementing corrective action plans where appropriate and seeking external guidance」(v8.0 で追加)
5
STEP 5
Communicate / 伝える
人権影響の深刻度に見合った形式と頻度で報告する。 自社の対応の適切性を評価できるだけの十分な情報を提供する。 労働者・労働組合・労働者自身が選んだ代表組織と直接コミュニケーションを取る。
§4.1.1 (v):「in a form and frequency reflecting its human rights impacts」 「shall communicate with its workers, trade unions, and representative organisations of the workers' own choosing」
6
STEP 6
Grievance / 救済
事業所レベルの苦情処理メカニズムを整備する。ただし 司法・非司法を含む地域の救済制度や、労働争議における労働組合の役割を損なってはならない
§4.1.1 (vi):「shall not undermine the role of local grievance mechanisms, including judicial and non-judicial mechanisms and the role of trade unions」(v8.0 で追加)
v8.0 で「レバレッジ(影響力)」の使い方が具体化されました。 Step 3 に6つの新要求が追加され、購買慣行が危害に寄与しないための管理措置、 必要な場合の取引停止(disengagement)の手続——国内法・国際労働基準・労働協約の遵守、 経営層と労働組合への説明、十分な予告期間——までが明記されました。 「サプライヤーが悪い」で終わらせず、自社の買い方そのものを見直すことが求められています。
参照すべき文書。GOTS 8.0 は GOTS Due Diligence Handbook for Certified Entities(v1.1、2024年9月23日公開) を各ステップに紐づけて参照するよう指示しています(§4.1.10「shall follow guidance and interpretations provided in the GOTS Due Diligence Handbook」)。
あわせて OECD Due Diligence Guidance for Responsible Supply Chains in the Garment and Footwear Sector が 強制労働・児童労働・ハラスメント・長時間労働などの各条項で参照文献として追加されています。
出典:GOTS v8.0 §4.1.1 (i)–(vi)/§4.1.4/§4.1.10、 Manual for the Implementation of GOTS v8.0 §4.1.1 (i)–(vi)、Change Log Manual 7.2→8.0(Step 1〜6 の追加要求)、 GOTS Due Diligence Handbook for Certified Entities v1.1(2024年9月23日)
🗂️
GOTS 8.0 / SECTIONS 4.1.6, 4.1.9, 4.1.11–12

情報管理システムと内部監査

Objective AssuranceRisk Prioritization Data Foundation

デューデリジェンスを「回す」ために、v8.0 は3つの土台を新たに明文化しました。 次のスライドで、実際の資料がどれに当たるかを分類する演習を行います。

① Objective Assurance
客観的保証 / §4.1.11 – 4.1.12
  • 文書化された内部監査システムを確立・維持する。
  • 監査員は力量があり、かつ評価対象業務から独立していること。
  • プログラムはリスクベースで、関連するすべてのプロセスを少なくとも年1回監査すること。
  • 内部監査の記録は保持し、適合性評価・検証の要求に従ってアクセス可能にすること。
② Risk Prioritization
リスクの優先順位づけ / §4.1.9
  • セクター・サブセクターの既知のリスクと、それを高める要因を考慮する。
  • 自社の事業と供給網における最も重大なリスクを特定し、優先順位をつける
  • 優先順位は2つの厳密な指標に基づく:危害の発生可能性(likelihood)危害の深刻度(severity)
  • 優先順位に応じて適切な行動をとる。
③ Data Foundation
データ基盤 / §4.1.6
  • 機能する情報管理システム(IMS)を確立する。
  • デューデリジェンスに必要な情報を正確かつ最新の状態で保持する。
  • 対象はサプライチェーン全体にわたるデータ。
  • これが①②の前提。データが無ければリスク評価も内部監査も成立しません。
3つはこの順に積み上がります。
③ Data Foundation(正確で最新のデータがある)
  ↓
② Risk Prioritization(そのデータで、発生可能性×深刻度を評価できる)
  ↓
① Objective Assurance(評価が妥当だったかを、独立した目で年1回以上検証する)

監査でよくあるのは、①だけ形式的に用意して②③が無い状態です。 「内部監査はやっています」と言えても、何を根拠にその工程を選んだのかを説明できなければ、 リスクベースの要求(4.1.12)を満たしていないと判断され得ます。
4.1.12 の「独立性」は日本の中小企業にとって難所です。 条文は「internal auditors are competent and independent of the activities they assess」と明記しています。 人員が限られる場合の現実的な選択肢は、 ①部門間の相互監査(染色課が縫製課を監査する)②本社・別拠点の担当者が監査する③外部の第三者に内部監査を委託する——のいずれかです。 「自分の部署を自分で監査した記録」は、そのままでは不適合になり得ます。
出典:GOTS v8.0 §4.1.6/§4.1.9/§4.1.11/§4.1.12、 Changelog GOTS 8.0(4.1.6・4.1.9・4.1.10・4.1.11・4.1.12 の新設)、 Manual for the Implementation of GOTS v8.0 §4.1.11(内部監査の実施ガイダンス)
SECTION 04+ / CROSS-REFERENCE MATRIX

改訂条項 ↔ 現場ケース ↔ 従来の不足 ↔ 必要な証拠 ↔ 制度背景

行をクリック(またはキーボードの Enter / Space)すると、根拠の位置づけと出典が開きます。
この 1 枚が本日の骨格です
改訂条項は 8 つ、ケースは 10 個ありますが、読み方はすべて同じです。
「どのリスクが見えていなかったか → だから何を測るのか → 何を見せれば説明できるか」。
改訂条項
現場ケース
従来の現状・不足
必要な証拠
日本政府・EU・国際機関
PFAS・フッ素管理
§4.2.2.8 / §5.2.7 / §7
撥水加工剤を継続使用
Supplier の「PFAS Free」宣言のみ。試験も投入記録もない
LOA・SDS・Total Fluorine 試験報告・投入記録
環境省 PFAS 関連情報/EU REACH 附属書XVII
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
根拠の位置づけ CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 日本の PFAS 対応は水環境・水道が中心で、繊維製品中の含有を直接規制する法令は確認できません。GOTS の各 <25 ppb・合計 <25 ppb は GOTS 独自の要求です。
環境省 有機フッ素化合物(PFAS)についてECHA REACH 法令
この行の読み方
  • 左から右へ「条項 → 現場 → 不足 → 証拠 → 制度背景」の順に読んでください。
  • 不足欄が赤いのは、そこが不適合の起点になるためです。
  • 証拠欄は、そのまま Supplier への要求リストとして使えます。
気候変動 × 労働安全
§4.4.7.15 / §4.4.7.16
夏季の染色工場が 38℃
水は飲めるが、WBGT 評価も手順書も記録もない
WBGT・温湿度記録/リスク評価/緊急対応手順/教育・周知記録/年次レビュー
厚生労働省 職場における熱中症対策(2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則)
REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
根拠の位置づけ REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
  • 日本では罰則付きで義務化されており、既に作っている記録をそのまま GOTS の証拠に使えます。ただし「日本の法改正が原因で GOTS が改訂された」ことを示す資料はありません。
厚生労働省 基発0520第6号ILO Heat at work (2024)
この行の読み方
  • 左から右へ「条項 → 現場 → 不足 → 証拠 → 制度背景」の順に読んでください。
  • 不足欄が赤いのは、そこが不適合の起点になるためです。
  • 証拠欄は、そのまま Supplier への要求リストとして使えます。
Glitter・Microplastic
§3.3.2 / §8(SMP)
プラスチック由来 Glitter を使用
「環境配慮型」という名称のみで材質が不明
組成情報・SDS・OECD 120/301B 試験報告・Supplier 情報
環境省 プラスチック資源循環促進法/マイクロプラスチック対策
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
根拠の位置づけ CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 国内法は環境配慮設計と排出抑制の枠組みで、グリッターの可否は定めていません。GOTS の判定は EU REACH 附属書XVII の Appendix 15/16 を参照した GOTS 独自の要求です。
環境省 プラスチック資源循環法関連
この行の読み方
  • 左から右へ「条項 → 現場 → 不足 → 証拠 → 制度背景」の順に読んでください。
  • 不足欄が赤いのは、そこが不適合の起点になるためです。
  • 証拠欄は、そのまま Supplier への要求リストとして使えます。
水管理
§4.3.9.2
水道料金のみ記録
生産量原単位・ベースライン・目標・年次レビューがない
水源/総使用量/L・kg 原単位/ベースライン/削減目標/年次レビュー記録
環境省 水質汚濁防止法(排水規制)/経済産業省 環境配慮情報開示ガイドライン
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
根拠の位置づけ CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 国内法は排水の水質規制であり、使用量の原単位管理は対象外です。経産省ガイドラインは開示の方向性を示すもので、義務ではありません。
環境省 水質汚濁防止法に基づく排水規制について経済産業省 環境配慮情報開示ガイドライン 第1版
この行の読み方
  • 左から右へ「条項 → 現場 → 不足 → 証拠 → 制度背景」の順に読んでください。
  • 不足欄が赤いのは、そこが不適合の起点になるためです。
  • 証拠欄は、そのまま Supplier への要求リストとして使えます。
エネルギー・GHG
§4.3.9.3 / §4.3.11
再エネ契約はあるが算定境界が不明
Scope・排出係数・原単位が未定義。用語の使い分けもされていない
請求書・メーター記録/排出係数と出典/算定表/境界の定義/年次レビュー
経済産業省・環境省 CFP ガイドライン/GX リーグ(GX-ETS)/GHG Protocol
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
根拠の位置づけ CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • CFP ガイドラインは任意の手引きです。GOTS が算定方法として明示しているのはGHG Protocol または ISO 14064であり、国内ガイドラインではありません。
CFP ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイドGHG Protocol Corporate Standard
この行の読み方
  • 左から右へ「条項 → 現場 → 不足 → 証拠 → 制度背景」の順に読んでください。
  • 不足欄が赤いのは、そこが不適合の起点になるためです。
  • 証拠欄は、そのまま Supplier への要求リストとして使えます。
トレーサビリティ
§2.1.6 / §2.1.7 / §4.1.6
SC・TC を PDF で個別保存
SKU・Batch・Supplier・Facility のデータが接続されていない
取引データ/製品マスター/Supplier ID/拠点 ID/API 連携項目
EU ESPR・DPP/経済産業省 繊維製品の資源循環
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
根拠の位置づけ CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 日本に DPP に相当する制度は確認できません。EU の ESPR に基づく DPP が先行しており、日本企業は輸出先の要求として直面します。GTB が DPP に直接データを供給すると GOTS が公式に宣言した文書も確認できていません。
ESPR (EU) 2024/1781European Commission DPP(繊維・アパレル)
この行の読み方
  • 左から右へ「条項 → 現場 → 不足 → 証拠 → 制度背景」の順に読んでください。
  • 不足欄が赤いのは、そこが不適合の起点になるためです。
  • 証拠欄は、そのまま Supplier への要求リストとして使えます。
QMS・内部監査
§4.1.11 / §4.1.12 / §4.1.9
Procedure はあるが監査記録がない
指摘・是正・フォローアップ・マネジメントレビューがない。独立性も未確保
年間監査計画/チェックリスト/NC/是正処置/フォローアップ/議事録/力量評価記録
GOTS の直接要求。国内で直接対応する制度は確認できず
NOT CONFIRMED
根拠の位置づけ NOT CONFIRMED
  • これは GOTS 独自の認証要求です。考え方は ISO 19011/ISO 9001 と整合しますが、GOTS がこれらを引用しているわけではありません。リスクベースという発想は OECD ガイダンスと同じ方向です。
OECD Due Diligence Guidance (Garment & Footwear)
この行の読み方
  • 左から右へ「条項 → 現場 → 不足 → 証拠 → 制度背景」の順に読んでください。
  • 不足欄が赤いのは、そこが不適合の起点になるためです。
  • 証拠欄は、そのまま Supplier への要求リストとして使えます。
因果関係について。 右端の列は「同じリスクに対して、他の制度も動いている」ことを示すものであり、 その制度が原因で GOTS が改訂されたことを意味しません。 日本政府に直接対応する法令・政策が見つからない項目は「確認できず」と明記しています。
💬
SECTION 04 / GROUP DISCUSSION

Group Discussion — あなたならどう判断しますか?

全10ケース⏱ タイマー内蔵 + 分類演習
すべてのケースは Section 4.1 のデューデリジェンスの上に乗っています。 テーマは化学・環境・社会・混率・トレーサビリティとバラバラですが、監査員が見ているのは共通して 「リスクを特定したか → 優先順位をつけたか → 手を打ったか → 追跡したか → 証拠として残したか」です。 各ケースで 「監査員に提出する資料を3つ」 をグループで決めてください。
ディスカッションの進め方(1ケースあたり 約5分)
1ケースと現場の状況を読む
目安:1分
2個人で「リスク・不足している管理・必要な証拠」を整理する
目安:30秒
3グループで判断根拠を言葉にする
目安:60〜90秒
4分類・マッチング・並べ替え・関連付けの演習に取り組み、「監査員に提出する証拠」を3つ決める
5参考回答・監査ポイント・調達側の視点を確認する
正解を当てることが目的ではありません。どの資料をどう分類したか、どの順番に並べたかより、「なぜそう判断したか」「何を見せれば説明できるか」を言葉にできることが重要です。グループ内で意見が割れたら、それは実務でも判断が割れる論点です。
10ケースの一覧 — クリックでそのケースへ
10ケースの後に「分類演習」があります。 実際の資料10点を Objective Assurance / Risk Prioritization / Data Foundation の どれに当たるか分類します。§4.1.6・4.1.9・4.1.11–12 の理解度チェックです。
全ケースに共通する「監査員の思考パターン」
Q1
記録はあるか
存在の確認
Q2
要求条項に紐づくか
関連性の確認
Q3
検証できるか
第三者性・試験・計測
Q4
継続しているか
頻度・年次レビュー
Q5
現場と一致するか
労働者インタビュー・実地

IDFL の監査経験では、Q1 よりも Q3・Q5 の段階で説明が難しくなる例が多く見られます(統計的な集計値ではありません)。 「書類はあるが検証できない」「書類はあるが現場が知らない」——この2つが最頻出です。

CASE 01撥水加工Chemical / §7
Supplier の「PFAS Free」回答だけで足りるか
SITUATION
ある染色工場では、従来から同じ撥水剤を使用しています。 Supplier からは「PFAS Free」と回答されていますが、試験結果や Total Fluorine の確認はありません。 レシピ記録はあるものの、投入量は工程日報に手書きで残っている状態です。
QUESTION
この状態で、GOTS 8.0 の要求に対して十分でしょうか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:Supplier Declaration だけで撥水剤を承認しますか? 追加で何を要求し、どの証拠が出るまで発注・量産承認を保留しますか?
DISCUSSION
60 問い:この撥水剤について、監査員に出せる証拠を3つ挙げてください。
確認すべき証拠
追加の化学物質確認や証拠が必要。Supplier declaration だけでは、要求事項への適合確認として不十分な場合があります。
証拠の階層 — どこまで積み上げれば要求を満たすか
Supplier 宣言不足
+ SDS不足
+ GOTS LOA/承認薬剤必要
+ Total Fluorine 試験必要
+ 投入記録・使用実績充足
判定フロー(Manual §5.2.7 / 5.2.8)
試験
Total Fluorine
EN 14582:2016 等
判定
≦50 mg/kg ?
YES→適合とみなし得る/NO→次へ
確定
PFAS個別分析
EN 17681-1:2025
各<25 ppb/合計<25 ppb
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • その撥水剤は GOTS承認済み化学投入資材か(Section 7、LOA の有無と有効期限)
  • SDS だけでなく、Total Fluorine の試験報告書が存在するか。試験対象は「薬剤」か「製品」か
  • Total Fluorine が 50 mg/kg を超えた場合、EN 17681-1:2025 による個別PFAS分析を行ったか
  • Chemical inventoryレシピ/投入記録が一致するか。実際に使った量が説明できるか
  • 撥水加工が「oil, water, and stain repellency」に該当する認識があるか(§4.2.2.8)
  • Supplier宣言の日付・対象ロット・署名者が特定できるか(宣言が無価値なのではなく、それだけでは足りない)
REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT 制度・科学的背景
  • EU では REACH 規則 (EC) No 1907/2006 附属書XVII により、PFAS を含む物質群の製造・上市・使用が段階的に制限されています。
  • 日本では環境省が PFAS に関する総合戦略検討専門家会議を設置し、PFOS・PFOA 等について水環境を中心に対応の方向性を整理しています。
  • 米国カリフォルニア州 AB 1817 とニューヨーク州法は、繊維・アパレル中の意図的添加 PFAS を規制しています(total organic fluorine による判定)。
出典:環境省 有機フッ素化合物(PFAS)についてECHA REACH 法令
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 関連性の位置づけ
  • 日本には、繊維製品中の PFAS 含有量そのものを直接規制する法令は確認できません。環境省の取組は主に水環境・水道水を対象としたものです。
  • したがって「日本の規制で GOTS が変わった」とは言えません。方向性が同じ、という整理にとどめてください。
  • GOTS 8.0 の各 <25 ppb・合計 <25 ppb という限度値は、GOTS 独自の要求です。
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • 撥水剤ごとに GOTS LOA の写しと有効期限を提出させ、期限管理表に載せる。
  • Total Fluorine 試験報告書(EN 14582:2016 等)を、薬剤か製品かを明示させたうえで取得する。
  • 50 mg/kg を超えた場合は EN 17681-1:2025 による個別分析を条件とし、それまで量産承認を保留する。
  • 宣言書には発行日・対象ロット・署名者を必ず入れさせる(宣言のフォーマットを自社で指定する)。
  • 米国向けがある場合は、州法の total organic fluorine 基準も同時に確認する。
MERIT 企業にとってのメリット
  • 化学事故・品質事故の予防(意図しない規制物質の混入を早期に発見できる)
  • サプライヤー間の比較可能性(同じ様式の証拠で横並び評価ができる)
  • 顧客照会への迅速な回答(ブランドからの PFAS 問い合わせに即答できる)
  • 不適合・返品・回収リスクの低減
  • 将来の DPP・情報開示対応(化学物質情報はDPPの中核項目)
実務的な落とし穴。Total Fluorine は有機フッ素と無機フッ素を区別できません。 意図的にPFASを使っていない製品でも低数百ppmになり得ると Manual が明記しています。 つまり「50ppm超=PFAS使用」ではなく、個別分析に進むトリガーと理解してください。 この50ppmは暫定値(provisional / interim)である点も、社内説明で押さえておくと混乱を防げます。
根拠:GOTS v8.0 §4.2.2.8、§5.2.7.2/§5.2.8.1(PFAS Each <25 ppb, Sum <25 ppb / DIN EN 17681-1:2025)、 §7(化学投入資材の承認)、§4.3.9.4(chemical inventory)、 Manual v8.0 §5.2.7・5.2.8 “Guidance on the Analysis of PFAS”、Changelog Manual 7.2.3 (17)
EVIDENCE CARDCASE 01 撥水加工・PFASGOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §4.2.2.8/§5.2.7.2・§5.2.8.1/Section 7/§4.3.9.4
GOTS 直接根拠
GOTS 本文および Manual §5.2.7・5.2.8「Guidance on the Analysis of PFAS」で確認できる(GOTS DIRECT BASIS)
解決しようとしている問題
「PFAS を使っていない」という宣言だけでは、実際に含まれていないことを誰も検証できない。難分解性物質が製品と排水に残り、回収・返品・水環境汚染につながる。
代表的な現場事例
撥水・防汚加工を長年同じ薬剤で行っており、供給元が変わっても再確認していない染色工場。
監査証拠
LOA と有効期限/Total Fluorine 試験報告書/必要な場合の個別分析/chemical inventory とレシピ・投入記録の一致
日本の関連法令/政策
環境省 有機フッ素化合物(PFAS)について(水環境が中心。繊維製品の含有規制は確認できず)
EU / 国際的背景
REACH 規則 (EC) No 1907/2006 附属書XVII(PFAS 関連の制限)
調達側の確認事項
LOA・試験報告・投入記録の 3 点セット。宣言書は様式指定。
企業にとっての利点
化学事故予防、サプライヤー比較可能性、顧客照会への即応、回収リスク低減
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0 / REACH 規則 (EC) No 1907/2006 — 法令本文と附属書XVII / 有機フッ素化合物(PFAS)について(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0
Global Standard gGmbH / 2026年1月・3月 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
REACH 規則 (EC) No 1907/2006 — 法令本文と附属書XVII
European Chemicals Agency (ECHA)/欧州連合 / 2006年(累次改正) / REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
有機フッ素化合物(PFAS)について
環境省 水・大気環境局 / 随時更新 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:日本の PFAS 対応は水環境・水道が中心。繊維製品への直接規制は確認できないため、関連性の推定にとどめる。
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
CASE 02PVA Fibre紡績
排水処理設備はあるが、PVA回収システムがない
SITUATION
綿糸の製造工程で PVA Fibre を使用し、後工程で温水に溶解除去しています。 工場は排水処理設備を持っていますが、PVA回収システムはありません。 PVA薬剤はGOTS承認品を使っており、月次の使用量記録もあります。
QUESTION
どのような対応を検討すべきでしょうか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:「排水処理設備があります」という回答で紡績工場を承認しますか? PVA の回収率をどう証明させ、どの数字が出るまで発注を保留しますか?
DISCUSSION
60 問い:回収率50%を「証明する」には、何をどう測りますか?
推奨される対応
PVA回収・再利用方法を検討する。排水処理だけではなく、PVAそのものの回収・再利用が要求事項です。外部専門業者への委託も含めて検討可能。
条文が求めていること(§4.2.2.2 d)
条件内容証拠
iPVA回収/リサイクルシステムが設置され、水溶液の重量比で最低50%の回収率を達成設備仕様書、物質収支計算、測定記録
iiGOTS承認済みPVA薬剤のみを使用LOA、承認リスト、購買記録
iii回収PVAは量の制限なく工程内で再利用可再投入記録
回収率と適合
回収システムなし不適合
回収率 30%不適合
回収率 50%最低ライン
回収率 80%良好
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • 回収システムが物理的に存在するか。写真・設備台帳・設置日で確認されます
  • 50%の算定根拠。分母・分子は何か、測定頻度は、誰が計算しているか
  • 「水溶液の重量比(by weight of the aqueous solution)」という算定基準を正しく使っているか
  • 使用しているPVAが GOTS承認薬剤か(承認外なら回収率に関係なく不適合)
  • 回収PVAの再投入記録と、廃棄した分の行き先
  • 刺繍のバッキング材としてPVAを使っていないか(Manual §4.2.2.3 で明確に禁止)
  • 排水処理データ(4.3.9.4.3:未処理排水データ、ETP後汚泥試験、汚泥処分記録)も別途必要
設計思想を掴んでおくと応用が効きます。GOTS 8.0 は 合成サイズ剤についても「脱糊排水から80%超回収するなら総糊量の制限なく使用可」(§4.2.2.3 c)としています。 つまり「回収率という数値が、使用可否そのものを決める」という共通ロジックです。 自社で溶解・除去している物質があれば、同じ問いを当ててみてください。
REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT 制度・科学的背景
  • 日本では水質汚濁防止法に基づき、特定施設からの排水に対する排水基準と届出が定められています(環境省)。
  • ただし、これは排水の水質に関する規制であり、PVA の回収率を求めるものではありません。
  • 経済産業省「繊維製品の環境配慮設計ガイドライン」は、製造段階での資源循環と副資材の選択に言及しています。
出典:環境省 水質汚濁防止法に基づく排水規制について(令和7年3月)経済産業省 繊維製品の環境配慮設計ガイドライン
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 関連性の位置づけ
  • PVA 回収率 50% という数値要求に直接対応する日本の法令は確認できません。これは GOTS 独自の認証要求です。
  • 水質汚濁防止法は排水の濃度規制であり、資源としての回収・再利用は求めていません。方向性が近い、という整理にとどめてください。
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • 紡績工場に対し、回収システムの有無を写真・設備台帳・設置日で確認する(口頭回答を受け付けない)。
  • 回収率の算定式(分母・分子)測定頻度、計算責任者を書面で提出させる。
  • 使用している PVA 薬剤の LOA を取得する(承認外なら回収率に関わらず不適合)。
  • 刺繍のバッキング材に PVA を使っていないことを確認する(Manual §4.2.2.3 で禁止)。
  • 排水処理データ(未処理排水・ETP 後汚泥試験・汚泥処分記録)を年1回提出させる。
MERIT 企業にとってのメリット
  • 薬剤コストの把握と削減(回収した PVA を再利用すれば購入量が減る)
  • 排水処理負荷の低減(COD 負荷の低減は処理コストにも効く)
  • サプライヤー間の比較可能性(回収率という共通指標で比較できる)
  • 不適合・出荷停止リスクの低減
  • 調達判断の透明性(数値で説明できる)
根拠:GOTS v8.0 §4.2.2.2 d) i–iii、§4.2.2.2 c)、§4.2.2.3 c)、§4.3.9.4.3、 Manual v8.0 §4.2.2.3(刺繍バッキング禁止)、Changelog GOTS 8.0 4.2.6.2→4.2.2.2
EVIDENCE CARDCASE 02 PVA Fibre の回収GOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §4.2.2.2 d) i–iii/§4.2.2.3 c/§4.3.9.4.3、Manual v8.0 §4.2.2.3
GOTS 直接根拠
GOTS 本文で条件と数値(最低 50%)が明示されている(GOTS DIRECT BASIS)
解決しようとしている問題
溶解除去された PVA は、回収しなければ排水に流れる。従来は「排水処理をしている」で議論が終わり、資源として回収されているかは誰も見ていなかった。
代表的な現場事例
排水処理設備は持っているが、PVA 専用の回収系統がない紡績工場。
監査証拠
設備仕様書・写真/物質収支計算/測定記録/LOA/再投入記録/汚泥処分記録
日本の関連法令/政策
水質汚濁防止法(排水基準)— ただし回収率の要求はない
EU / 国際的背景
—(EU に直接対応する規定は確認できず)
調達側の確認事項
回収システムの実在確認、算定式の書面提出、LOA、排水データ
企業にとっての利点
薬剤コスト把握、排水処理負荷低減、比較可能性、出荷停止リスク低減
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0 / 【概要】水質汚濁防止法に基づく排水規制について / 繊維製品の環境配慮設計ガイドライン(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0
Global Standard gGmbH / 2026年1月・3月 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
【概要】水質汚濁防止法に基づく排水規制について
環境省 水・大気環境局 環境管理課 環境汚染対策室 / 令和7年3月24日 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:排水の水質規制。PVA の回収率要求とは直接の対応関係がないため関連性の推定
繊維製品の環境配慮設計ガイドライン
経済産業省 / 令和6年3月 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
CASE 03Climate × Worker SafetySocial / §4.4.7
夏の室温38℃、水は自由に飲めるが評価は未実施
SITUATION
夏場に染色工場の室温が38℃になります。工場では水を自由に飲めますが、 正式な熱中症リスク評価追加休憩ルールはありません。 温度計は設置されていますが、記録は残していません。
QUESTION
GOTS 監査ではどのように考えるべきでしょうか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:生産納期を優先しますか? Supplier にどの労働安全データを要求し、どの記録が出るまで増産依頼を保留しますか?
DISCUSSION
60 問い:自社に既にある熱中症対策の記録を、どう「GOTSの証拠」に変えますか?
実務上の判断
気候リスクとして評価が必要。GOTS 8.0 では OHS(労働安全衛生)の章に新条項として明記されました。C は誤りです。
GOTS 8.0 が示す因果と対応
CAUSE
Climate change
EXPOSURE
Higher temperature
RISK
Occupational health risk
CONTROL
Risk assessment + Breaks
+ Hydration + Working-hour adjustment
「水が飲める」だけでは何が足りないか
要素現状4.4.7.15 / 16 の要求
給水あり必要だが一要素にすぎない
環境条件の監視記録なし温度・湿度を適切なツールで監視(4.4.7.16)
リスク評価未実施重大性と発生可能性を考慮(4.4.7.15)
休憩ルールなし適切な休憩の確保(4.4.7.16)
作業時間調整なし作業スケジュールの調整(4.4.7.16)
PPE 判断未検討PPE の要否を決定(4.4.7.16)
緊急対応計画なし作業中止・避難・即時医療アクセス(4.4.7.15)
年次見直しなし少なくとも年1回レビュー・更新(4.4.7.16)
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • 作業区域の温度・湿度の測定記録が実際に存在するか(測定機器、頻度、記録者)
  • 異常気象リスクの特定と評価の記録。「特定されなかった」なら、その判断根拠
  • 緊急対応計画の文書。猛暑・洪水・暴風を対象に、作業中止基準・避難先・医療アクセスが書かれているか
  • 休憩・給水・作業時間調整のルールが文書化され、労働者に周知されているか
  • 年1回以上のレビュー記録(状況が大きく変化した場合はより高頻度)
  • 労働者インタビューとの整合。「ルールがある」と会社が言い、労働者が知らなければ不適合
REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT 制度・科学的背景
  • 日本では 2025年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され、職場における熱中症対策が罰則付きで義務化されました。「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が事業者の義務です(厚生労働省 基発0520第6号)。
  • ILO は 2024年の報告書『Heat at work: Implications for safety and health』で、高温環境が労働安全衛生上の重大リスクであることを整理しています。
  • IPCC は極端な高温の頻度と強度の増加を報告しています。
出典:厚生労働省 基発0520第6号(令和7年5月20日)厚生労働省 職場における熱中症対策の強化についてILO Heat at work: Implications for safety and health (2024)
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 関連性の位置づけ
  • 日本の義務化と GOTS 8.0 の新条項は同じ時期に、同じ方向で導入されましたが、「日本の法改正が原因で GOTS が変わった」ことを示す資料は確認できません。
  • 実務上重要なのは因果ではなく、日本の事業者は既に法令対応で記録を作っているという点です。その記録を GOTS の証拠として再利用できます。
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • Supplier に対し、作業区域の温湿度(可能なら WBGT)測定記録を月次で提出させる。
  • 熱中症の緊急対応手順(作業中止基準・搬送先・連絡体制)の文書を取得する。
  • 夏季の増産依頼を出す前に、休憩・給水・シフト調整の運用状況を確認する。
  • 労働者への周知記録(教育記録・掲示物の写真)を求める。
  • 年1回のレビュー記録(更新日・承認者)を、契約更新のタイミングで確認する。
MERIT 企業にとってのメリット
  • 労働災害の防止(熱中症による休業・死亡災害の予防)
  • 日本国内の法令対応と GOTS 対応を一体化でき、二重管理を避けられる
  • 生産停止リスクの低減(災害発生時の操業停止・行政対応)
  • ブランドリスクの低減(労働環境に関する報道・監査指摘)
  • 顧客照会への迅速な回答
日本企業にとっての現実的な近道。WBGT測定、暑熱順化、休憩・水分塩分補給、 緊急連絡体制は、既に多くの工場で運用されています。 必要なのは新しい活動ではなく、①測定値を記録として残す ②手順書として文書化する ③年1回レビューして更新日を記録する—— この3点です。「やっているが証明できない」を「証明できる」に変える作業だと考えてください。
根拠:GOTS v8.0 §4.4.7.15(緊急対応計画:extreme heat, floods, storms/stopping work, evacuating workers, immediate medical care)、 §4.4.7.16(温度・湿度の監視/作業スケジュール調整・PPE・休憩/少なくとも年1回の見直し)、 Manual v8.0 §4.4.7.15・§4.4.7.16(気候緩和計画テンプレート)、Changelog GOTS 8.0 N/A→4.4.7.15/16
EVIDENCE CARDCASE 03 気候変動と労働安全GOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §4.4.7.15/§4.4.7.16(いずれも v8.0 で新設)
GOTS 直接根拠
GOTS 本文で新設条項として確認できる(GOTS DIRECT BASIS)。Manual に気候緩和計画のテンプレートあり。
解決しようとしている問題
高温環境は「環境の話」として扱われ、労働安全の担当者が見ていなかった。温度計はあるが記録がなく、対策の有無を後から検証できない。
代表的な現場事例
夏季の室温が 38℃ に達する染色工場。給水は自由だが、リスク評価・休憩ルール・記録がない。
監査証拠
温湿度測定記録/リスクアセスメント記録/緊急対応計画/休憩・給水の手順書と周知記録/年次レビュー記録/労働者インタビューとの整合
日本の関連法令/政策
労働安全衛生規則の改正(2025年6月1日施行)— 職場の熱中症対策が罰則付きで義務化(厚生労働省)
EU / 国際的背景
—(EU に直接対応する規定は確認できず。ILO・IPCC が科学的背景)
調達側の確認事項
温湿度記録の月次提出、緊急対応手順の取得、増産前の運用確認
企業にとっての利点
労働災害の防止、法令対応との一体化、生産停止リスクの低減
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / 基発0520第6号「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について」 / 職場における熱中症対策の強化について / Heat at work: Implications for safety and health(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
基発0520第6号「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について」
厚生労働省 労働基準局長 / 令和7年5月20日 / REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
このケースとの関係:2025年6月1日施行。体制整備・手順作成・関係者への周知が事業者の義務。GOTS §4.4.7.15/16 の証拠として同じ記録を使える。
職場における熱中症対策の強化について
厚生労働省 / 令和7年 / REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
このケースとの関係:WBGT 基準値、報告体制、事業者が行う措置の解説。
Heat at work: Implications for safety and health
International Labour Organization (ILO) / 2024年 / SCIENTIFIC CONTEXT
このケースとの関係:高温環境が労働安全衛生に与える影響の国際的レビュー。GOTS の条文設計と同じ問題認識。
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
CASE 04Water ReductionEnvironment / §4.3.9
毎月の水使用量は記録している。それで十分か
SITUATION
工場は毎月水使用量を記録しています。しかし、 生産量との比較なし前年との比較なし削減目標なし という状態です。 水源は上水と地下水の併用ですが、どちらをどれだけ使ったかの内訳はありません。
QUESTION
十分な水管理と言えるでしょうか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:水使用量の総量だけで工場を評価しますか? 比較可能な指標として何を要求し、どの数字が揃うまで新規取引の判断を保留しますか?
DISCUSSION
60 問い:自社のベースラインは何年の、どの数字にしますか?
推奨される対応
削減計画まで必要。Measurement alone is not management. — 測定は管理ではありません。
GOTS 8.0 §4.3.9.2 が求めるサイクル
1MEASURE 水源を記録し、総使用量を測る(4.3.9.2.1 a, b)
2NORMALIZE 製品1kgあたりに換算する(litres/kg of output)
3COMPARE 定義されたベースラインと比較する
4TARGET 定量・期限付き・達成可能な削減目標を置く(4.3.9.2.2 a)
5IMPROVE 年1回以上レビューし、文書化し、更新する(4.3.9.2.2 b)
管理レベルの評価
水道料金のみ不適合
総使用量の記録のみ不十分
+ L/kg 原単位化管理の入口
目標+年次レビュー適合
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • 水源の記録があるか(地下水/上水/再生水の別)— このケースでは内訳がない点も指摘対象
  • 使用量が生産量で割られているか。L/kg の分母(出来高の定義)が一貫しているか
  • ベースラインが何年・どの数値かが文書で定義されているか
  • 目標が定量的・期限付き・達成可能か。「削減に努める」は目標ではありません
  • 年1回以上のレビュー記録と、更新した痕跡(改訂履歴・承認者)
  • 可能であれば工程別(染色・洗浄)の分解(should 要求)
  • 湿式加工なら、未処理排水データ・ETP後汚泥試験・汚泥処分記録もセットで確認(4.3.9.4.3)
同じ構造がエネルギー・化学薬品にも適用されます。 エネルギーは kWh/kg(4.3.9.3)、化学薬品は chemical inventory + kg単位の消費量(4.3.9.4)。 「測る単位を生産量で割る」「ベースラインを決める」「目標と期限を書く」「年1回見直す」—— この4動作を1枚のフォーマットにして、水・エネルギー・化学薬品で使い回すのが最も効率的です。
REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT 制度・科学的背景
  • 日本では水質汚濁防止法により工場排水の水質が規制されていますが、使用量の原単位化や削減目標を求める法令は確認できません。
  • 経済産業省「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン 第1版」は、水使用量を含む環境情報の開示のあり方を整理しています。
  • UNEP・OECD は繊維産業を水集約型産業と位置づけ、原単位管理の必要性を指摘しています。
出典:経済産業省 繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン 第1版環境省 水質汚濁防止法に基づく排水規制について
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 関連性の位置づけ
  • 水使用量の原単位管理は、日本政府の直接的な義務ではありません。GOTS 独自の認証要求です。
  • ただし経産省の開示ガイドラインが同じ方向を示しており、取引先からの照会も増える見込みです。
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • 水使用量は総量ではなく L/kg の原単位で提出させる(分母の定義も明記させる)。
  • 水源別の内訳(上水/地下水/再生水)を求める。地下水依存は水リスク評価の論点になります。
  • ベースライン(何年・どの数値)と削減目標・期限を書面で受け取る。
  • 年次レビューの記録(改訂履歴・承認者)を契約更新時に確認する。
  • 湿式加工なら、未処理排水データ・ETP 後汚泥試験・汚泥処分記録もセットで要求する。
MERIT 企業にとってのメリット
  • 水コスト・排水処理コストの把握(原単位化して初めて改善余地が見える)
  • サプライヤー間の比較可能性(L/kg なら規模が違っても比べられる)
  • 顧客照会・情報開示への即応(経産省ガイドラインや取引先の質問票に転用できる)
  • 水リスクの早期把握(渇水・取水制限時の操業リスク)
  • 将来の DPP・環境情報開示対応
根拠:GOTS v8.0 §4.3.9.2.1 a)–c)、§4.3.9.2.2 a)–b)、§4.3.9.3(エネルギー)、§4.3.9.4(化学薬品)、§4.3.9.4.3(湿式加工の記録)、 Changelog GOTS 8.0 4.3→4.3.9「Resource Efficiency: Water, Energy and Chemical Use has been added」
EVIDENCE CARDCASE 04 水使用量の管理GOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §4.3.9.2.1 a)–c)/§4.3.9.2.2 a)–b)/§4.3.9.3/§4.3.9.4/§4.3.9.4.3
GOTS 直接根拠
GOTS 本文で新設(Changelog 4.3→4.3.9「Resource Efficiency: Water, Energy and Chemical Use has been added」)
解決しようとしている問題
総量だけでは、生産が増えたのか効率が落ちたのかを区別できない。比較できないため改善の優先順位もつけられず、取引先の質問にも答えられない。
代表的な現場事例
毎月メーターは読んでいるが、生産量との比較・前年比較・削減目標がない工場。水源の内訳も不明。
監査証拠
水源の記録/L/kg の原単位/ベースラインの文書定義/定量・期限付き目標/年次レビュー記録/(湿式加工なら)排水・汚泥記録
日本の関連法令/政策
経済産業省 繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン 第1版(原単位管理の義務ではなく、開示の方向性)
EU / 国際的背景
—(ESPR の下位規則で将来的に関連しうるが、現時点で確定していない)
調達側の確認事項
L/kg での提出、水源内訳、ベースラインと目標、年次レビュー記録
企業にとっての利点
水・排水コストの把握、比較可能性、開示対応、水リスクの把握
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0 / 繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン 第1版 / 【概要】水質汚濁防止法に基づく排水規制について(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0
Global Standard gGmbH / 2026年1月・3月 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン 第1版
経済産業省 製造産業局 生活製品課 / 令和6年6月25日 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
【概要】水質汚濁防止法に基づく排水規制について
環境省 / 令和7年3月24日 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:水質の規制であり使用量管理は対象外。関連性の推定にとどめる。
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
CASE 05GlitterAccessories / §3.3.2
「環境配慮型グリッター」と言われたが、組成表がない
SITUATION
子供向けTシャツにグリッター加飾のプリントを採用予定です。 副資材メーカーからは「環境配慮型のグリッターです」と口頭で説明を受けていますが、 組成表も試験報告書もありません。営業からは「他社も使っているので問題ない」と言われています。
QUESTION
GOTS 8.0 のもとで、この装飾は使用できますか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:「環境配慮型グリッター」という説明で採用を決めますか? 副資材メーカーに何を、どの様式で要求しますか?
DISCUSSION
60 問い:副資材メーカーに何を、どういう文面で依頼しますか?
確認すべき証拠
組成の確認と試験報告がなければ、使用可否を判断できません。「環境配慮型」は規格上の用語ではありません。GOTS 8.0 は可否の基準と試験方法を具体的に指定しています。
3.3.2 が定める可否と、必要な証拠
グリッターの種類可否必要な証拠
不溶性・非生分解性プラスチック禁止—(v8.0 で禁止リストに明記)
可溶性グリッターReg (EC) 1907/2006 Annex XVII Appendix 16/OECD Guideline 120 の溶解性試験報告
生分解性グリッターReg (EC) 1907/2006 Annex XVII Appendix 15/OECD Guideline 301B の生分解性試験報告
天然・無機グリッター原材料仕様書・組成証明
確認の順番
1製品に装飾が使われているか棚卸しする(プリント・コーティング・箔押しを含む)
2副資材メーカーに組成を照会する(「グリッター」という名称だけでは判断できない)
3プラスチック由来なら OECD 120/301B の試験報告を求める
4取得できない場合は天然・無機の代替への切替を検討する
5採否の判断と根拠を記録に残す(これがデューデリの証跡になる)
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • 装飾資材の組成情報が文書で存在するか。「環境配慮型」等の曖昧な表現で止まっていないか
  • プラスチック由来の場合、OECD 120(溶解性)または OECD 301B(生分解性)の試験報告があるか
  • アクセサリー・トリムの一覧が製品ごとに整理されているか(§3.3.2 の対象になる部材の特定)
  • 同じ表で mulesed wool(v8.0 で禁止に追加)を使っていないかも確認されます
  • 4.3.13.11 マイクロファイバー管理との関係。加工業者はリスクアセスメント手法で放出を考慮したか
  • 副資材の変更管理:ロット変更・メーカー変更のときに再確認する手順があるか
REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT 制度・科学的背景
  • EU では REACH 規則附属書XVII により、意図的に添加される合成ポリマーマイクロ粒子の上市が段階的に制限されています。GOTS の判定はこの附属書の Appendix 15/16 を直接参照しています。
  • 日本ではプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)が施行され、環境配慮設計や排出抑制が求められています。
  • 環境省は海洋プラスチック・マイクロプラスチック対策に関する調査ガイドライン等を公開しています。
出典:環境省 プラスチック資源循環法関連環境省 海洋プラスチックごみに関する各種調査ガイドライン等ECHA REACH 法令
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 関連性の位置づけ
  • 日本には、繊維製品の装飾用グリッターの組成を直接規制する法令は確認できません。プラスチック資源循環促進法は設計・排出抑制の枠組みであり、グリッターの可否を定めるものではありません。
  • GOTS §3.3.2 の禁止は EU REACH を参照した GOTS 独自の要求です。
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • 「グリッター」という名称ではなく、組成(ポリマー種/無機種)を書面で照会する。照会文の様式を自社で用意する。
  • プラスチック由来と回答があった場合は、OECD 120 または 301B の試験報告書を必須条件にする。
  • 取得できない場合は、天然・無機の代替材への切替を検討し、その判断と根拠を記録に残す(デューデリの証跡になる)。
  • 副資材のロット変更・メーカー変更時の再確認手順を取引条件に入れる。
  • 同じ照会で mulesed wool の不使用も確認する。
MERIT 企業にとってのメリット
  • 不適合・返品・回収リスクの低減(採用後に発覚すると製品全体が止まる)
  • ブランドリスクの低減(子供用製品での装飾は特に注目されやすい)
  • サプライヤー間の比較可能性(同じ様式で組成を集められる)
  • 将来の DPP 対応(装飾材の組成は DPP の記載候補)
  • 調達判断の透明性(採否の根拠が残る)
用語の落とし穴。v8.0 では「Microplastics」が 「Synthetic Microplastics Polymers (SMP)」に改称され、REACH に沿った3つの除外規定—— ①技術的手段で封じ込められ環境放出が防止されるもの ②使用中に物性が恒久的に変化しポリマーが定義外になるもの ③固体マトリクスに恒久的に組み込まれるもの——が追加されました。 自社の装飾がどれに当たるかで判断が変わります。「プラスチックだから即アウト」でも「固めてあるから即セーフ」でもありません。
根拠:GOTS v8.0 §3.3.2「Table – Allowed and Prohibited Accessories」(decorative glitter composed of insoluble and non-biodegradable plastics / mulesed wool の禁止追加)、§8(SMP 定義と REACH 除外規定)、§4.3.13.11、 Manual v8.0 §3.3.2 A(OECD 120/301B の指定)、Changelog Manual 3.3→3.3.2
EVIDENCE CARDCASE 05 Glitter・装飾の組成GOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §3.3.2「Table – Allowed and Prohibited Accessories」/§8(SMP 定義)/§4.3.13.11、Manual v8.0 §3.3.2 A
GOTS 直接根拠
GOTS 本文の禁止リストに「decorative glitter composed of insoluble and non-biodegradable plastics」と明記(GOTS DIRECT BASIS)
解決しようとしている問題
装飾は小さく、名称だけで流通するため組成が誰にも把握されていない。後から証明しようとしても、既に量産に入っていて代替が難しい。
代表的な現場事例
子供向け T シャツにグリッタープリントを採用予定。副資材メーカーの説明は口頭のみで、組成表も試験報告もない。
監査証拠
装飾資材の組成情報/OECD 120・301B の試験報告/アクセサリー・トリム一覧/変更管理手順/mulesed wool の不使用
日本の関連法令/政策
プラスチック資源循環促進法(環境配慮設計・排出抑制の枠組み。グリッターの可否は定めていない)
EU / 国際的背景
REACH 規則附属書XVII Appendix 15/16(生分解性・溶解性の判定根拠)
調達側の確認事項
組成の書面照会、試験報告の必須化、代替検討と記録、変更管理
企業にとっての利点
回収リスクの低減、ブランドリスクの低減、DPP 対応、判断の透明性
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0 / REACH 規則 (EC) No 1907/2006 — 法令本文と附属書XVII / プラスチック資源循環法関連 / 海洋プラスチックごみに関する各種調査ガイドライン等について(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0
Global Standard gGmbH / 2026年1月・3月 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
REACH 規則 (EC) No 1907/2006 — 法令本文と附属書XVII
European Chemicals Agency (ECHA)/欧州連合 / 2006年(累次改正) / REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
プラスチック資源循環法関連
環境省 環境再生・資源循環局 / 随時更新 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:環境配慮設計・排出抑制の国内枠組み。グリッターの組成規制ではないため関連性の推定
海洋プラスチックごみに関する各種調査ガイドライン等について
環境省 水・大気環境局 / 随時更新 / SCIENTIFIC CONTEXT
このケースとの関係:マイクロプラスチックの科学的背景。
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
CASE 06混率Section 3 / §3.2
オーガニックコットン 80% + 通常コットン 20% の生地
SITUATION
取引先から 「オーガニックコットン 80% + 通常のコットン 20%」の生地を提案されました。 「有機分は70%以上あるので Made with 80% organic materials でラベル表示できるはずだ」というのが先方の説明です。 綿はすべて非GMOであることが確認されています。
QUESTION
この構成で GOTS 認証・ラベル表示は可能でしょうか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:「有機分 70% 以上だから大丈夫」という説明を受け入れますか? 生地仕様書のどこを確認し、どの書類が揃うまで発注を保留しますか?
DISCUSSION
60 問い:なぜ「比率の話ではない」のか、根拠条項を挙げて説明してください。
実務上の判断
不可能です。比率の問題ではなく、そもそも禁止されています。コンベンショナル・コットンは、未使用・リサイクル・非GMO を問わず一切混用できません(3.2.8)。
判定の順番 — この順で見れば間違えません
1① その繊維は 3.2.10 の表(行1〜16)に載っているか → コンベンショナル綿は行10で禁止。ここで終了
2同一タイプの重複になっていないか(3.2.7)→ オーガニック綿 × 慣行綿は同一タイプ。二重に禁止
3許容枠(30/20/10%)に収まるか → ①②を通ってから初めて見る項目
4④ ラベルグレード:≧95%=Organic≧70%=Made with x% organic(2.7.4.1/2.7.4.2)
この生地の何が問題か
論点判定根拠
有機分 80%比率だけを見れば 70% 以上だが、それは4番目に見る条件
コンベンショナル・コットンの混用禁止§3.2.8:未使用・リサイクル・非GMOを問わず混用禁止。§3.2.10 行10でも禁止と明記
同一タイプ繊維のブレンド禁止§3.2.7:有機/転換中 と 同種のコンベンショナルの組合せは禁止
「非GMOだから大丈夫」通用しないv8.0 で非GMO conventional cotton の除外を強調する改訂が入っています
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • 生地仕様書・混率表と、実際の TC(Transaction Certificate)の組成が一致しているか
  • 「非GMO」の証明があれば混用できると誤解していないか(綿は例外なく禁止
  • 同一タイプ繊維のブレンド(有機綿×リサイクル綿、バージンPA×リサイクルPA 等)が無いか
  • 追加繊維が 3.2.10 の表に列挙されたものに限られているか。表にない繊維は使えません
  • ラベルグレードの選択(≧95% Organic / ≧70% Made with)が実際の混率と整合しているか
  • 混率の算定が ISO 139 の標準試験条件下の繊維組成に基づいているか
  • アクセサリーを混率計算から除外している場合、その扱いが §3.3.2 の要求と整合しているか
では何なら混ぜられるのか。30%枠には 麻(リネン)・ラミー・ヘンプなどの天然植物繊維(綿を除く)、ウール・シルク・カシミヤなどの動物繊維、 リヨセル(テンセル™)やタンパク質系再生繊維、PLA が入ります。 20%枠はリサイクル合成繊維(v8 で靴下・繊維間リサイクルは30%まで例外)、 10%枠はビスコース/モダールバージンの合成繊維(ポリエステルを除く)です。 「混率」セクションの総括表に戻って確認してください。
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 制度上の位置づけ
  • 混率ルールは GOTS 独自の認証要求です。日本の家庭用品品質表示法は組成表示の方法を定めていますが、有機繊維との混用可否を定めるものではありません。
  • EU にも、オーガニック繊維製品の混率を定める直接の規則は確認できません。
  • 経済産業省の環境配慮設計ガイドラインは、リサイクル性の観点から素材の単一化に言及しています(混率とは別の観点)。
出典:経済産業省 繊維製品の環境配慮設計ガイドライン
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • 生地仕様書と TC(Transaction Certificate)の組成が一致しているかを、発注前に突き合わせる。
  • 「非 GMO」証明の提出を受けても、綿は例外なく混用禁止である点を社内で共有する。
  • 同一タイプ繊維のブレンド(有機綿×リサイクル綿、バージン PA×リサイクル PA 等)がないかを確認する。
  • ラベルグレード(≧95% Organic / ≧70% Made with)が実際の混率と整合しているかを確認する。
  • 追加繊維が §3.2.10 の表に列挙されたものに限られていることを確認する(表にない繊維は使えません)。
MERIT 企業にとってのメリット
  • 表示不適合・回収リスクの低減(ラベルグレードの誤りは市場回収に直結する)
  • サプライヤー提案の初期段階でふるいにかけられ、開発の手戻りが減る
  • 顧客照会への迅速な回答
  • 調達判断の透明性
  • ブランドリスクの低減(誤表示は景品表示法上の論点にもなり得る)
根拠:GOTS v8.0 §3.2.7(同一タイプ繊維のブレンド禁止 a〜e)、§3.2.8(コンベンショナル・コットンの混用禁止)、 §3.2.10 表 行1・行10、§2.7.4.1/§2.7.4.2(ラベルグレード)、 Changelog GOTS 8.0 3.2.3→3.2.10「Subsection “1” has been modified to emphasize the exclusion of non-GMO conventional cotton」
EVIDENCE CARDCASE 06 混率・オーガニック綿の混紡GOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §3.2.7/§3.2.8/§3.2.10 表(行1・行10)/§2.7.4.1・§2.7.4.2
GOTS 直接根拠
GOTS 本文で明示。Changelog 3.2.3→3.2.10 に「emphasize the exclusion of non-GMO conventional cotton」と記載(GOTS DIRECT BASIS)
解決しようとしている問題
「有機分が何%か」だけで判断すると、そもそも混ぜてはいけない繊維を見落とす。量産後に発覚すると生地ごと使えなくなる。
代表的な現場事例
取引先から「オーガニックコットン 80% + 通常コットン 20%」の生地を提案され、有機分 70% 以上だから可能と説明された。
監査証拠
生地仕様書・混率表と TC の一致/同一タイプ繊維のブレンドの有無/表に列挙された繊維に限られているか/ラベルグレードとの整合/ISO 139 に基づく算定
日本の関連法令/政策
—(家庭用品品質表示法は組成表示の方法を定めるが、混用可否は対象外)
EU / 国際的背景
—(EU に直接対応する規則は確認できず)
調達側の確認事項
仕様書と TC の突合、非GMO の誤解の是正、同一タイプの確認、ラベルグレードの整合
企業にとっての利点
表示不適合・回収リスクの低減、開発手戻りの削減、判断の透明性
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0 / 繊維製品の環境配慮設計ガイドライン(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0
Global Standard gGmbH / 2026年1月・3月 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
繊維製品の環境配慮設計ガイドライン
経済産業省 / 令和6年3月 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
CASE 07Internal Audit§4.1.11 – 4.1.12
品質管理課長が、自部門を含む全工程を内部監査している
SITUATION
ある縫製工場では、品質管理課長が年1回、品質管理課を含むすべての工程の内部監査を実施しています。 チェックリストも監査報告書も整備されており、記録は3年分保管されています。 監査対象工程の選び方については「毎年すべて回っているので特に基準は決めていない」とのことです。
QUESTION
GOTS 8.0 §4.1.11–4.1.12 の要求を満たしていますか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:ISO 認証書だけで品質管理体制を判断しますか? 実際の運用証拠として、内部監査の何を確認しますか?
DISCUSSION
60 問い:人員が限られる工場で、独立性をどう確保しますか?3案挙げてください。
監査ポイント
独立性とリスクベースの2点で、要求を満たしていない可能性が高い。記録の有無ではなく、「誰が」「どういう基準で」監査したかが問われます。
条文と現状のギャップ
要求条項このケースの状態
文書化された内部監査システム4.1.11満たす チェックリスト・報告書あり
記録の保持とアクセス可能性4.1.11満たす 3年分保管
監査員の力量4.1.12要確認 力量評価の記録があるか
監査員の独立性4.1.12満たさない 自部門を自分で監査している
リスクベースのプログラム4.1.12満たさない 選定基準が定義されていない
各プロセスを年1回以上4.1.12満たす 全工程を毎年
独立性を確保する現実的な3つの選択肢
1部門間の相互監査:染色課が縫製課を、縫製課が染色課を監査する。手順書に相互関係を明記する
2本社・別拠点の担当者が監査する。工場長ではなく、本社の品質保証部門が実施する
3外部の第三者に内部監査を委託する。ただし認証機関そのものは利用できない点に注意
4いずれの場合も 監査員の力量評価記録(研修受講歴・資格・経験)をセットで用意する
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • 内部監査手順書に、監査員の力量要件と独立性の規定が書かれているか
  • 監査員が実際に対象業務から独立しているか(組織図・職務分掌と突き合わせ)
  • リスクベースである根拠:どの工程を、なぜ、どの頻度で監査すると決めたのか(§4.1.9 との接続)
  • 関連するすべてのプロセスが少なくとも年1回カバーされているか(監査計画と実績の対比)
  • 監査で挙がった指摘と是正の記録、およびそのフォローアップ
  • 記録が適合性評価・検証の要求に従ってアクセス可能な状態にあるか(4.1.11 末尾)
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 制度上の位置づけ
  • 内部監査の独立性・リスクベースの要求は GOTS 独自のものです。これに直接対応する日本の法令・政策は確認できません。
  • 考え方は ISO 19011(マネジメントシステム監査の指針)や ISO 9001 の内部監査要求と整合しますが、GOTS がこれらを引用しているわけではありません。
  • リスクベースという発想は OECD デュー・ディリジェンス・ガイダンス(発生可能性と深刻度に基づく優先順位づけ)と同じ方向です。
出典:OECD Due Diligence Guidance for the Garment and Footwear Sector
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • ISO 認証書ではなく、直近の内部監査計画・報告書・NC・是正記録の提出を求める。
  • 監査員が対象業務から独立していることを、組織図・職務分掌と突き合わせて確認する。
  • 監査対象の選定基準(なぜその工程を、どの頻度で監査したのか)を説明させる。
  • 指摘に対するフォローアップ記録があるかを確認する(是正報告だけでは不十分)。
  • 監査員の力量評価記録(研修受講歴・資格・経験)を求める。
MERIT 企業にとってのメリット
  • 品質事故の予防(問題が外部監査で初めて出るのを防ぐ)
  • 外部監査の指摘件数の減少(不適合の是正コスト・再監査費用の削減)
  • サプライヤー間の比較可能性(同じ様式で運用状況を比較できる)
  • 調達判断の透明性
  • 取引先・ブランドからの信頼(運用が回っていることを示せる)
「リスクベース」は §4.1.9 とつながっています。 4.1.9 は「セクター・サブセクターの既知のリスクを考慮し、発生可能性と深刻度に基づいて 最も重大なリスクを特定・優先順位づけする」と求めています。 内部監査の対象・頻度は、この優先順位から導かれるべきものです。 「全部やっているから大丈夫」ではなく、「なぜこの工程を重点的に見たのか」を説明できる状態を目指してください。
根拠:GOTS v8.0 §4.1.11(documented internal audit system/records retained and made accessible)、 §4.1.12(competent and independent of the activities they assess/risk-based/at least annually)、§4.1.9(likelihood and severity)、 Changelog GOTS 8.0(4.1.11・4.1.12 の新設)、Manual v8.0 §4.1.11 の実施ガイダンス
EVIDENCE CARDCASE 07 内部監査の独立性GOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §4.1.11/§4.1.12(いずれも v8.0 で新設)/§4.1.9
GOTS 直接根拠
GOTS 本文で新設条項として確認できる(GOTS DIRECT BASIS)
解決しようとしている問題
内部監査が形式だけになり、自部門を自分で監査していても誰も問題にしなかった。結果として、外部監査で初めて問題が出る。
代表的な現場事例
品質管理課長が、品質管理課を含む全工程を年1回監査している。記録は3年分あるが、対象工程の選定基準はない。
監査証拠
内部監査手順書の独立性・力量規定/組織図との突合/リスクベースの根拠/年間計画と実績の対比/指摘・是正・フォローアップ記録/記録のアクセス可能性
日本の関連法令/政策
—(直接対応する国内制度は確認できず。GOTS 独自の認証要求)
EU / 国際的背景
—(直接対応する規則は確認できず)
調達側の確認事項
監査計画・報告書・NC・是正記録の提出、独立性の確認、選定基準の説明、力量評価記録
企業にとっての利点
品質事故の予防、外部監査指摘の減少、比較可能性、取引先からの信頼
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0 / OECD Due Diligence Guidance for Responsible Supply Chains in the Garment and Footwear Sector(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0
Global Standard gGmbH / 2026年1月・3月 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
OECD Due Diligence Guidance for Responsible Supply Chains in the Garment and Footwear Sector
OECD / 2018年 / SCIENTIFIC CONTEXT
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
CASE 08Packaging§2.6.2.2 / §4.3.15
バージンプラのハンガーを付けて小売に出荷している
SITUATION
最終GOTS製品(シャツ)を小売店に出荷しています。 製品にはバージンプラスチック製のハンガーが付いたまま消費者に渡ります。 個包装のポリ袋は再生材ゼロ、包装材の種類と数量は記録していません。 「包装は認証の対象外だと思っていた」というのが担当者の認識です。
QUESTION
GOTS 8.0 のもとで、何が問題になりますか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:包装は「認証の対象外」として発注しますか? 包装材について何を要求し、どの記録が出るまで出荷を承認しませんか?
DISCUSSION
60 問い:包装材の記録は、誰が・どの単位で・どこに残しますか?
参考整理
ハンガー・記録・再生材比率の3点すべてが問題になります。v8.0 で §4.3.15「Packaging Criteria」が新設され、包装は明確に要求事項の範囲に入りました。
3つの論点と根拠
論点判定根拠条項
バージンプラのハンガーを使い捨て禁止§2.6.2.2:最終GOTS製品の小売包装におけるバージンプラスチックハンガーの単回使用は禁止。リサイクル・生分解性ハンガーは使用可
包装材の情報を記録していない不適合§4.3.15.1:認証製品に使用したすべての包装材の情報を記録すること。Manual では材質別・数量で文書化と明記
プラ包装の再生材ゼロ要改善§4.3.15.3.4:ポストコンシューマー再生材を技術的に可能な最大限まで高め、35%以上を目標とすべき(EU PPWR (EU) 2025/40 対応)
§4.3.15 で新たに入った包装要求
14.3.15.1 認証製品に使用したすべての包装材の情報を記録する(材質別・数量)
24.3.15.3.4 プラスチック包装はPCR(ポストコンシューマー再生材)35%以上を目標
34.3.15.3.7 酸化型分解性・酸化型断片化プラスチックは使用禁止(プロオキシダント添加物を含むポリマーを含む)
44.3.15.3.8 非GMOバイオマス由来のバイオプラは、無毒・生分解性・堆肥化可能と認証/検証されていれば使用可
54.3.15.3.9 ハンガーの規定は製品に統合され消費者に渡る場合に適用(中間製品・店頭専用ハンガーは対象外)
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • 包装材リストが存在し、材質(紙・段ボール・プラ種別)と数量が記録されているか
  • ハンガーが消費者に渡るか、店頭に残るか。渡る場合はバージンプラの単回使用が禁止
  • プラ包装の再生材比率の根拠(サプライヤー証明・第三者証明)
  • 酸化型分解性プラスチックを使っていないか(添加剤入りポリ袋に注意)
  • バイオプラを使う場合、非GMO由来かつ無毒・生分解性・堆肥化可能の証明があるか
  • 包装は廃棄物ヒエラルキー(§4.3.14.2:発生抑制→再使用→リサイクル→回収→処分)の手順にも接続されているか
EU規制との接続がここで表面化します。 §4.3.15.3.4 の「PCR 35%」目標は、Manual で EU 包装・包装廃棄物規則 PPWR (EU) 2025/40 への対応として 明示的に説明されています。GOTS が EU 規制を先取りして取り込んでいる典型例です。 EU向けに輸出している企業は、GOTS対応と PPWR 対応を別々の作業にしないほうが効率的です。
REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT 制度・科学的背景
  • EU 包装・包装廃棄物規則 PPWR (EU) 2025/40 は 2025年2月11日に発効し、2026年8月12日から原則適用されます。Manual v8.0 は §4.3.15.3.4 の PCR 35% 目標について、この PPWR への対応として明示的に説明しています。
  • 日本ではプラスチック資源循環促進法により、包装を含むプラスチック使用製品の環境配慮設計と排出抑制が求められています。
  • 容器包装リサイクル法も、包装に関する事業者の義務を定めています。
出典:Regulation (EU) 2025/40 (PPWR) — EUR-Lex環境省 プラスチック資源循環法関連
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 関連性の位置づけ
  • ここは例外的に、Manual が PPWR を明示的に参照しているため、関連性が文書で確認できる数少ない箇所です。
  • ただし日本のプラスチック資源循環促進法と GOTS §4.3.15 の間には、直接の因果関係を示す資料はありません。方向性が同じ、という整理です。
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • 包装材リスト(材質別・数量)を、出荷単位で提出させる様式を用意する。
  • ハンガーが消費者に渡るか、店頭に残るかを仕様書で明確にし、渡る場合はバージンプラ単回使用を禁止条件にする。
  • プラ包装の PCR 比率の根拠(サプライヤー証明・第三者証明)を要求する。
  • 酸化型分解性プラスチックを含む袋を使っていないことを、添加剤情報まで含めて確認する。
  • EU 向けがある場合は、PPWR 対応と GOTS 対応を同じ様式で一度に集める。
MERIT 企業にとってのメリット
  • EU 規制対応と GOTS 対応を一本化でき、二重作業を避けられる
  • 包装コストの把握(材質別・数量が分かって初めて削減余地が見える)
  • 不適合・出荷停止リスクの低減
  • 顧客照会への迅速な回答(ブランドからの包装データ要求に即答できる)
  • 将来の DPP・情報開示対応
根拠:GOTS v8.0 §2.6.2.2、§4.3.15.1/§4.3.15.3.4/§4.3.15.3.7/§4.3.15.3.8/§4.3.15.3.9、§4.3.14.2、 Manual v8.0 §4.3.15.1・§4.3.15.3.4(PPWR (EU) 2025/40 への言及)・§4.3.15.3.9(適用範囲の解釈)、 Changelog GOTS 8.0 4.3→4.3.15
EVIDENCE CARDCASE 08 包装とハンガーGOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §2.6.2.2/§4.3.15.1・§4.3.15.3.4・§4.3.15.3.7・§4.3.15.3.8・§4.3.15.3.9/§4.3.14.2
GOTS 直接根拠
GOTS 本文で新設(Changelog 4.3→4.3.15)。Manual が PPWR (EU) 2025/40 への対応として説明(GOTS DIRECT BASIS + 文書で確認できる制度参照)
解決しようとしている問題
包装は「認証の対象外」と誤解され、材質も数量も誰も把握していなかった。EU 側で包装規制が動き出したとき、答えられるデータが社内にない。
代表的な現場事例
最終 GOTS 製品にバージンプラ製ハンガーを付けて小売に出荷。ポリ袋は再生材ゼロで、包装材の種類・数量は未記録。
監査証拠
包装材リスト(材質・数量)/ハンガーの用途と材質/PCR 比率の根拠/酸化型分解性プラの不使用/バイオプラの証明/廃棄物ヒエラルキーとの接続
日本の関連法令/政策
プラスチック資源循環促進法(環境配慮設計・排出抑制)、容器包装リサイクル法
EU / 国際的背景
PPWR (EU) 2025/40 — 2026年8月12日から原則適用(Manual が明示的に参照)
調達側の確認事項
包装材リストの様式化、ハンガー用途の仕様書明記、PCR 根拠の要求、添加剤情報の確認
企業にとっての利点
EU 規制対応との一本化、包装コストの把握、出荷停止リスクの低減
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0 / Regulation (EU) 2025/40(PPWR:包装及び包装廃棄物規則) / プラスチック資源循環法関連(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0 / Manual v7.2 → v8.0
Global Standard gGmbH / 2026年1月・3月 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Regulation (EU) 2025/40(PPWR:包装及び包装廃棄物規則)
欧州連合(EUR-Lex) / 2025年2月11日発効/2026年8月12日から原則適用 / REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
プラスチック資源循環法関連
環境省 環境再生・資源循環局 / 随時更新 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:国内のプラスチック環境配慮設計の枠組み。GOTS §4.3.15 との直接の因果は確認できず関連性の推定
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
CASE 09GHG / PCF§4.3.11
ブランドに「弊社製品のPCFは○kg-CO2e です」と回答した
SITUATION
EUブランドから「製品のカーボンフットプリント(PCF)を提出してほしい」と依頼がありました。 工場は電力使用量と生産量を集計し、購入電力の排出係数を掛けて計算し、 「弊社製品のPCFは 3.2 kg-CO₂e です」とExcelの表で回答しました。 検証機関のレビューは受けていません。
QUESTION
この回答は適切でしょうか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:「弊社の PCF は○ kg-CO₂e です」という回答をそのまま採用しますか? どの前提条件の開示を要求してから使いますか?
DISCUSSION
60 問い:ブランドに何と書いて返すのが正確ですか?文面を1文で作ってください。
実務上の判断
不適切です。一次データの提供は「検証済みPCF」ではありません。Manual は「providing primary data is not a verified PCF」と明記しています。用語の誤用がそのまま不適合になり得ます。
3つは別物です
LEVEL 1
一次データの提供
電力量・生産量・燃料使用量など
LEVEL 2
PCF の算定
認められたPCF規格に基づく算定
LEVEL 3
検証済みPCF
必要に応じて第三者検証を受けたもの
このケースで何ができていて、何が足りないか
項目状態根拠
電力・生産量の一次データあり§4.3.11.6:製品レベルの排出量算定に必要な一次データの提供は認められた支援行為
Scope 1・2 の年次算定要確認§4.3.11.4:Scope 1・2 は少なくとも年1回算定が必要
算定方法・境界・排出係数の文書化要確認§4.3.11.2.1〜2.4:GHG Protocol/ISO 14064、境界、排出係数(IPCC等)とデータソースを列挙
認められたPCF規格に基づく算定なしManual §4.3.11.6:認められたPCF規格で算定されたものだけを PCF と提示できる
第三者検証なし「verified PCF」と称するには該当する場合に検証が必要
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • GHG管理手順書が存在し、組織的・運用的境界が定義されているか(§4.3.11.1/2.1)
  • 算定方法が GHG Protocol または ISO 14064 のいずれに基づくか明記されているか
  • 使用した排出係数とその出典が列挙されているか(IPCC ガイドライン、各国係数等)
  • Scope 1・2 を年1回以上算定した記録があるか。Scope 3 は中長期計画があるか(§4.3.11.2.6)
  • 対外的な回答文書で「PCF」「検証済み」という語を正確に使い分けている
  • エネルギー側(§4.3.9.3)の kWh/kg 原単位と、GHG算定のデータが整合しているか
REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT 制度・科学的背景
  • 経済産業省・環境省「カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド」が、日本国内での CFP 算定の手順・境界設定・データ収集の考え方を示しています。
  • GHG Protocol Corporate Standard と ISO 14064 が、Scope 1・2・3 の算定枠組みの国際的な基礎です。GOTS §4.3.11.2.1 はこの 2 つを明示しています。
  • GX リーグでは、GX-ETS の排出量について登録確認機関による確認(第三者検証)が義務である一方、削減貢献量については「第三者検証の取得を求めるものではないが、取得有無を明確に記載することは推奨される」とされています。
出典:経済産業省・環境省 カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド(2025年3月)GHG Protocol Corporate StandardGX リーグ 排出量取引制度(GX-ETS)
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 関連性の位置づけ
  • 日本の CFP ガイドラインは任意の手引きであり、GOTS の要求根拠ではありません。ただし算定の考え方は共通しているため、国内で CFP を算定した経験があれば、GOTS §4.3.11 の要求にもそのまま活かせます。
  • GX-ETS の対象(直近3年度の平均直接排出量 10万 t-CO₂ 以上)に該当する繊維企業は限られます。過度に結び付けないでください。
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • 回答を受け取る前に、算定境界・算定方法(GHG Protocol か ISO 14064 か)・使用した排出係数と出典の開示を条件にする。
  • 「PCF」「検証済み」という語を、どのレベルで使っているかを確認する(一次データ提供/規格に基づく算定/第三者検証)。
  • 自社が対外的に使う場合は、検証の有無を必ず併記する。
  • Scope 1・2 の年次算定記録(§4.3.11.4)と、エネルギー側の kWh/kg(§4.3.9.3)の整合を確認する。
  • サプライヤー間で比較する場合は、境界と係数を揃えてから比較する。
MERIT 企業にとってのメリット
  • エネルギーコストの把握(原単位が出て初めて改善余地が見える)
  • 顧客照会への迅速かつ正確な回答
  • グリーンウォッシング指摘リスクの回避(用語を正しく使うこと自体がリスク低減)
  • サプライヤー間の比較可能性
  • 将来の DPP・情報開示対応(製品レベルの排出量は DPP の記載候補)
正確な返し方の例。製品レベルのPCF算定に必要な一次データ(電力使用量・生産量・燃料使用量)を提供します。 これは認められたPCF規格に基づく算定・検証を経たものではないため、Verified PCF ではありません。」—— このように書けば、要求条項にも適合し、ブランド側の誤用も防げます。
逆に「弊社のPCFは○です」と断定して回答すると、ブランド側がそれを「検証済み」として使ってしまうリスクがあり、 グリーンウォッシング指摘の起点になり得ます。
根拠:GOTS v8.0 §4.3.11.1/§4.3.11.2.1〜2.6/§4.3.11.3/§4.3.11.4/§4.3.11.6、§4.3.9.3、 Manual v8.0 §4.3.11.6(「providing primary data is not a verified PCF」の解釈)、 Change Log Manual 4.3.11.1/4.3.11.6
EVIDENCE CARDCASE 09 PCF とブランド要求GOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §4.3.11.1/§4.3.11.2.1〜2.6/§4.3.11.3/§4.3.11.4/§4.3.11.6/§4.3.9.3
GOTS 直接根拠
GOTS 本文および Manual §4.3.11.6「providing primary data is not a verified PCF」(GOTS DIRECT BASIS)
解決しようとしている問題
「PCF」という語が、一次データの提供から第三者検証済みの算定まで、まったく違うレベルを指して使われている。誤用がそのままブランド側の誤った主張につながる。
代表的な現場事例
EU ブランドから PCF の提出を求められ、電力使用量に排出係数を掛けた数値を Excel で回答した。検証は受けていない。
監査証拠
GHG 管理手順書と境界の定義/算定方法(GHG Protocol / ISO 14064)/排出係数と出典/Scope 1・2 の年次算定記録/対外回答文書の用語/kWh/kg との整合
日本の関連法令/政策
経済産業省・環境省 カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド(任意の手引き)
EU / 国際的背景
—(GOTS が直接参照しているのは GHG Protocol/ISO 14064)
調達側の確認事項
境界・方法・係数の開示を条件化、用語レベルの確認、検証有無の併記
企業にとっての利点
エネルギーコストの把握、正確な即応、グリーンウォッシング回避、比較可能性
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド / GHG Protocol Corporate Accounting and Reporting Standard / 気候関連の機会における開示・評価の基本指針(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド
経済産業省・環境省 / 2025年3月 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:国内の CFP 算定手引き。GOTS の根拠ではないが、算定の考え方は共通。関連性の推定
GHG Protocol Corporate Accounting and Reporting Standard
World Resources Institute / WBCSD / 改訂版 / SCIENTIFIC CONTEXT
このケースとの関係:GOTS §4.3.11.2.1 が算定方法の基礎として明示している国際標準。
気候関連の機会における開示・評価の基本指針
GX リーグ(経済産業省) / — / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:削減貢献量について「第三者検証の取得を求めるものではないが、取得有無を明確に記載することは推奨される」と明記。
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
CASE 10Labelling§2.7 / Manual 2.7.8
ラベルは付けていないが、自社サイトで「GOTS認証工場で生産」と表示
SITUATION
ある企業は、GOTS認証工場で生産したシャツを小売で販売しています。 ただし製品にも包装にも GOTS ラベルは付けていません。 一方で自社ECサイトの商品ページには「GOTS認証工場で生産しています」と記載し、 GOTS のロゴ画像もページ下部に掲載しています。
QUESTION
この表示は認められますか?
PROCUREMENT VIEW / 調達側の視点
あなたが調達側なら:「認証工場で作りました」という表現を自社サイトに載せますか? 誰の承認を取り、どの証拠を残してから公開しますか?
DISCUSSION
60 問い:ラベルを付けないという選択をした場合、Webページはどう書き直しますか?
実務上の判断
認められません。ラベルがなければ、GOTS への言及自体ができません。Manual v8.0 は「小売製品にGOTSラベルがない場合、GOTSに関するいかなる主張・広告・言及も認められない」と明記しています。
v8.0 のラベリング・ルール
12.7.1 認証事業者が規格に適合して生産し、承認認証機関が認証した製品のみ「GOTS製品」として表示・広告・販売できる
22.7.2 GOTSラベルの適用は認証事業者のみが行え、事前に認証機関の承認が必要
32.7.4.1 同一認証繊維 ≧95%(アクセサリー除く)→「Organic」/「Organic in-conversion」
42.7.4.2 同一認証繊維 ≧70%(アクセサリー除く)→「Made with (x%) organic materials」
5Manual 2.7.8 小売でのラベリングは必須。ラベルがない場合、いかなる主張・広告・言及も不可
このケースの何が問題か
行為判定根拠
小売製品にラベルを付けていない不適合Manual §2.7.8:小売で販売する GOTS 製品のラベリングは必須
Webで「GOTS認証工場で生産」と記載不可ラベルがない状態での言及(references)そのものが認められない
GOTSロゴ画像の掲載不可2.7.3:GOTS Signs は登録商標。使用には「Conditions for the Use of Signs – GOTS」の遵守が必要
文章だけに変えれば可(B)誤りロゴの有無ではなく「claims, advertisements, or references」すべてが対象
AUDITOR POINT — 監査員はここを見ます
  • 小売向け最終製品に GOTSラベルが実際に付いているか(現物確認)
  • ラベルの内容が認証機関の事前承認を受けているか(承認記録・承認日)
  • ラベルグレード(Organic / Made with x%)が実際の混率と一致しているか
  • Webサイト・カタログ・展示会資料などすべての媒体での表現を確認されます
  • GOTS ロゴの使用が「Conditions for the Use of Signs – GOTS」に適合しているか(サイズ・書体・配置)
  • 組合せ製品(Combined Product)の場合、どの部分が認証対象かが曖昧でない表現になっているか(Manual 1.2.1 d)
REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT 制度・科学的背景
  • 日本では景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)が優良誤認表示を規制しており、消費者庁が所管しています。認証の有無に関する表示は、この観点からも論点になり得ます。
  • 家庭用品品質表示法は繊維製品の組成表示の方法を定めています。
  • EU では環境表示(グリーンクレーム)に関する規制が議論されていますが、確定していない部分があります。
出典:消費者庁 景品表示法経済産業省 繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン 第1版
CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION 関連性の位置づけ
  • GOTS のラベリング規定は、GOTS 独自の契約上の要求です。景品表示法とは制度が別で、「景表法に違反していないから GOTS 上も問題ない」とはなりません(逆も同様です)。
  • 両方を満たす必要がある、という整理が正確です。
PROCUREMENT 調達担当者が Supplier に要求すること
  • Web・カタログ・展示会資料を含むすべての媒体の GOTS 言及を棚卸しする。
  • ラベルを付ける場合は、認証機関の事前承認(承認記録・承認日)を取得してから公開する。
  • ラベルグレード(Organic / Made with x%)が実際の混率と一致していることを、TC で確認する。
  • ロゴを使う場合は Conditions for the Use of Signs – GOTS に適合しているか(サイズ・書体・配置)を確認する。
  • ラベルを付けない選択をした場合は、GOTS への言及をすべて削除する(ロゴを外すだけでは不十分)。
MERIT 企業にとってのメリット
  • 表示不適合・回収リスクの低減
  • ブランドリスクの低減(グリーンウォッシング指摘の回避)
  • 顧客照会への迅速な回答
  • 調達判断の透明性(どの製品が認証対象かが明確になる)
  • 景品表示法対応と GOTS 対応を一体で確認できる
ロゴ承認の実務も v8.0 期に変わります。 「Conditions for the Use of Signs – GOTS(CUS-GOTS)」v4.0 では、 製品外の使用(Webサイト・カタログ・デジタル媒体)も承認が必要ロゴ最小サイズの明確化(直径10mm以上)Frutiger Next Bold ではなく同等の sans-serif が使用可など、 実務に効く変更が入っています。「改訂ポイント 08」のスライドに図解があります。
デザイン審査の前に「適格性チェック(どのTrackか)」を先に確認するのが新しい実務フローです。
根拠:GOTS v8.0 §2.7.1/§2.7.2/§2.7.3/§2.7.4.1/§2.7.4.2、 Manual for the Implementation of GOTS v8.0 §2.7.8(「In the absence of GOTS labels on retail products, no claims, advertisements, or references to GOTS shall be allowed.」)、§1.2.1 d(Combined Product)、 Conditions for the Use of Signs – GOTS v4.0(IDFL 解説資料)
EVIDENCE CARDCASE 10 ラベルと GOTS 訴求GOTS DIRECT BASIS
改訂条項
GOTS v8.0 §2.7.1/§2.7.2/§2.7.3/§2.7.4.1・§2.7.4.2、Manual v8.0 §2.7.8/§1.2.1 d
GOTS 直接根拠
Manual v8.0 §2.7.8「In the absence of GOTS labels on retail products, no claims, advertisements, or references to GOTS shall be allowed.」(GOTS DIRECT BASIS)
解決しようとしている問題
「認証工場で作った」ことと「認証製品である」ことが混同され、ラベルのない製品について GOTS を訴求してしまう。消費者は認証製品だと誤認する。
代表的な現場事例
GOTS 認証工場で生産したシャツにラベルを付けず、EC サイトに「GOTS 認証工場で生産」と記載し、ロゴ画像も掲載している。
監査証拠
最終製品のラベルの現物確認/認証機関の事前承認記録/ラベルグレードと混率の一致/すべての媒体での表現/ロゴ使用条件への適合/組合せ製品の表現
日本の関連法令/政策
景品表示法(優良誤認表示の規制、消費者庁)、家庭用品品質表示法(組成表示)— いずれも GOTS とは別制度
EU / 国際的背景
—(環境表示規制は議論中で確定していない部分がある)
調達側の確認事項
全媒体の棚卸し、事前承認の取得、ラベルグレードと TC の一致確認、ロゴ使用条件の確認
企業にとっての利点
表示不適合・回収リスクの低減、ブランドリスクの低減、景表法対応との一体化
出典
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0 / Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0 / Conditions for the Use of Signs – GOTS / 景品表示法 / 繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン 第1版(詳細は下の Source Drawer)
📚 出典・根拠を開く(Source Drawer)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年3月2日発行/2027年3月1日発効 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Manual for the Implementation of GOTS Version 8.0
Global Standard gGmbH / 2026年 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
Conditions for the Use of Signs – GOTS
Global Standard gGmbH / v4.0 / GOTS DIRECT BASIS
このケースとの関係:ロゴ・ラベルの使用条件。製品外の使用(Web・カタログ)も承認対象。
景品表示法
消費者庁 / 随時更新 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:優良誤認表示の規制。GOTS とは別制度だが、表示リスクとして同時に確認すべき。関連性の推定
繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン 第1版
経済産業省 製造産業局 生活製品課 / 令和6年6月25日 / CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
このケースとの関係:本ケースの根拠条項または背景として参照。
本スライドの位置づけ:ここでの整理は、公表されている GOTS v8.0 本文・Manual・Changelog に基づく IDFL JAPAN の解釈であり、規格制定機関の公式見解ではありません。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用のため、現時点の監査は移行期間の規定に従います。個別事案の適合判定は、監査時に確認される実際の記録・現場の状況に基づいて認証機関が行います。本資料は特定の監査結果を保証するものではありません。
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追加演習 / SECTIONS 4.1.6, 4.1.9, 4.1.11–12

この資料は、どれに当たる?

Objective AssuranceRisk Prioritization Data Foundation 0 / 10 開示
進め方。下の10点は、ある工場が「デューデリジェンスの証拠」として提出した実際の資料です。 グループで、それぞれが ① Objective Assurance② Risk Prioritization③ Data Foundation の どれに当たるかを話し合ってください。決まったら項目をクリックすると答えが出ます。
ポイント:1つの資料が複数にまたがることもあります。「主にどれの証拠として機能するか」で考えてください。
① Objective Assurance
客観的保証 / §4.1.11 – 4.1.12
  • 文書化された内部監査システム
  • 監査員の力量独立性
  • リスクベースのプログラム、各プロセス年1回以上
  • 記録の保持とアクセス可能性
② Risk Prioritization
リスクの優先順位づけ / §4.1.9
  • セクター・サブセクターの既知のリスクの評価
  • 発生可能性(likelihood)深刻度(severity)の2指標
  • 最も重大なリスクの特定と優先順位づけ
  • 優先順位に応じた行動の決定
③ Data Foundation
データ基盤 / §4.1.6
  • 機能する情報管理システム(IMS)
  • 正確かつ最新の情報の保持
  • サプライチェーン全体にわたるデータ
  • ①②が成立するための前提
1品質管理課長ではなく、製造部長が品質管理課を監査する体制を定めた組織図と手順書 監査員が評価対象業務から独立していることを示す証拠。独立性は §4.1.12 の中核要求です。 ① Objective Assurance
2サプライヤー一覧に国・工程・取引額・過去の指摘履歴を紐づけた社内データベース デューデリジェンスに必要な情報を、正確かつ最新に保持するための情報管理システム(§4.1.6)。 ③ Data Foundation
3「染色工程は化学物質リスクが高い」と判断し、監査頻度を年2回に引き上げたという記録 リスクの高さに応じて行動(監査頻度)を変えた記録=優先順位づけの証拠(§4.1.9)。 ② Risk Prioritization
4内部監査員の力量評価記録(研修受講歴・保有資格・過去の監査経験) 「auditors must be competent」(§4.1.12)を裏づける証拠です。 ① Objective Assurance
5発生可能性 × 深刻度の2軸でリスクをスコア化し、上位5件を抽出した一覧表 §4.1.9 が明示する2つの指標「likelihood of harm」「severity of harm」そのものです。 ② Risk Prioritization
6TC・SC・化学薬品投入記録を1つのシステムで横断検索できる状態 サプライチェーン全体のデータを機能する形で保持している=IMS の実装(§4.1.6)。 ③ Data Foundation
7年間内部監査計画(すべての関連プロセスを年1回以上カバーする日程表) 「every relevant process at least annually」(§4.1.12)を計画として示すもの。 ① Objective Assurance
8業界レポートから「移住労働者の採用手数料」をセクターリスクとして特定した調査メモ 「known sector and subsector risks」の評価(§4.1.9)。OECD 繊維・履物セクターガイダンスの活用が推奨されています。 ② Risk Prioritization
9デューデリジェンス情報の更新ルールと責任者を定めた文書(誰が・いつ・何を更新するか) 「retain accurate and up-to-date information」(§4.1.6)を運用として担保する仕組み。 ③ Data Foundation
10内部監査の指摘・是正記録を保管し、認証機関が閲覧できる状態にしている 「Records of internal audits shall be retained and made accessible」(§4.1.11 末尾)。 ① Objective Assurance
答え合わせのあとに、もう一段の問い。 皆さんの会社では、③ Data Foundation は何で実装されていますか? Excelでも構いません。ただし「担当者のPCにしかない」「更新ルールがない」状態は、 §4.1.6 の「functional information management system」とは言い難い状態です。
「機能している」の最低条件は、①誰が更新するか決まっている ②更新頻度が決まっている ③担当者が辞めても引き継げる、の3点だと考えてください。
3つの関係をもう一度。 ③ データがある② そのデータでリスクの優先順位をつけられる① その判断が妥当だったかを独立した目で年1回以上検証する
監査でよくあるのは ①だけ形式的に用意して②③が無い状態です。 「内部監査はやっています」と言えても、なぜその工程を選んだのかを説明できなければ、 リスクベースの要求(§4.1.12)を満たしていないと判断され得ます。
この分類について:「Data Foundation / Risk Prioritization / Objective Assurance」は、§4.1.6・§4.1.9・§4.1.11–4.1.12 の関係を理解するための本資料独自の整理であり、GOTS が定義する区分名ではありません。1つの資料が複数の区分にまたがることもあり、示した答えは代表例です。実際にどの要求の証拠として認められるかは、認証機関が実際の証拠に基づいて判断します。
出典:GOTS v8.0 §4.1.6(information management system)/§4.1.9(sector risks・likelihood and severity)/ §4.1.11(documented internal audit system・records retained and made accessible)/ §4.1.12(competent and independent・risk-based・at least annually)、 Changelog GOTS 8.0(4.1.6・4.1.9・4.1.11・4.1.12 の新設)
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追加演習 ・ CIRCULARITY / §5.3

Repair か Resell か Repurpose か ― 10 の行為を分類する

§5.3分類演習10 カード
この演習のねらい

GOTS 公式資料は循環型の介入を Repair(extend life)/Resell(second life)/Repurpose(new use)の 3 つに整理し、その 3 つを All under GOTS certification(label integrity preserved)で束ねています。
ただし現場では「回収して、直して、売る」のように複数が同時に起きます。 ここではその行為が主にどれに当たるかと、どの介入でも必ずかかる要求はどれかを切り分けます。

切り分けの軸: 製品のが変わるか/用途が変わるか/持ち主が変わるか。この 3 つで 1〜3 番目の箱が決まります。 4 番目の箱は、介入の種類ではなく共通してかかる要求です。
グループで話す問い
1自社(またはブランド顧客)が実際に行っている、または今後行う可能性がある循環活動はどの箱ですか。
2その製品を「GOTS 認証品」として売り続けたいか——ここで扱いが分かれます。どちらですか。
3Repurpose を行う場合、新しい製品として改めて確認が必要になる項目を 3 つ挙げてください。
90 問い:自社の活動を 1 つ選び、どの箱に入るかその理由を 1 文で説明してください。
分類の早見表
区分用途持ち主確認が増える主な点
Repair変わらない変わらない変わらない交換材料・付属品・使用する化学品
Resell / Reuse変わらない変わらない変わる介入する事業者の認証・トレーサビリティ
Repurpose変わる変わる変わることが多い新製品としての混率・付属品・化学品・ラベル
共通の要求—(介入の種類ではない)活動記録・材料/化学品情報・トレーサビリティ(§5.3.4/5.3.5)
※ 「形/用途/持ち主」の軸は理解のための整理であり、GOTS が定める判定基準ではありません。
本スライドの位置づけ:この分類は §5.3 と Manual の GUIDANCE、および GOTS 公式ウェビナー資料(p.49–51)に基づく IDFL JAPAN の整理であり、GOTS が定義する分類名ではありません。実務では 1 つの活動が複数の区分にまたがります。GOTS v8.0 は 2026年3月2日発行・2027年3月1日全面適用です。個別事案で認証が必要かどうか、どの範囲が対象になるかは、事業モデルと実際の記録に基づいて認証機関が判断します
出典: Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0, §5.3.1–§5.3.5, p.44(Global Standard gGmbH、2026年3月2日発行)/ Manual for the Implementation of GOTS Final Version 8.0(2026年1月)「GOTS Section 5.3」GUIDANCE, p.72 / Pres_ GOTS Version 8.0(GOTS 公式ウェビナー資料、2026年5月20日開催)p.49–51。 閲覧日:2026年8月4日
Section 05 / Answer & Action

明日から 何を準備する?

項目をクリックするとチェックできます。自社の対応状況をその場で確認してください。

0 / 24 完了 2027年3月1日 全面適用
🧪
CHEMICAL
Section 7 / §4.3.9.4
6項目
Chemical Inventory 全投入薬剤の一覧。kg製品あたりの消費量まで出せる形に(§4.3.9.4.1 a)
SDS 最新版か。改訂日と入手日を管理台帳に
LOA(Letter of Approval) 有効期限切れが最頻出の指摘。期限管理表を作る
Recipe/投入記録 在庫の増減と投入記録が突合できるか
MRSL 確認 Section 7.2.3 の物質群。EUH 380/381(内分泌かく乱)も確認
PFAS / Fluorine 確認 Total Fluorine ≦50 mg/kg のスクリーニング。超過なら EN 17681-1:2025
🌿
ENVIRONMENT
§4.3.9 / §4.3.11 / §4.3.15
6項目
Water 使用量 水源の記録+L/kg 原単位。工程別分解ができればなお良い
Energy 使用量 kWh/kg。電源種別で分類し、算定境界を文書化
GHG GHG Protocol / ISO 14064 で Scope 1・2 を年1回以上算定。排出係数の出典を明記
Reduction Target 水・エネルギー・化学薬品それぞれに定量・期限付き目標とベースライン
Renewable Energy 再エネ比率の算定方法と境界を文書化(証書の扱いを含む)
Packaging / Waste 包装材を材質別・数量で記録。プラは再生材35%目標。廃棄物ヒエラルキーに基づく手順
👥
SOCIAL
§4.4.7 / §4.4.8 / §4.1
6項目
Heat Stress 温度・湿度の測定記録。休憩・給水・作業時間調整のルール文書(§4.4.7.16)
PPE 異常気象時の PPE 要否判断の記録。支給・着用の証跡
Worker Interview ルールを労働者が知っているか。周知記録・研修記録
Emergency Preparedness 猛暑・洪水・暴風の緊急対応計画。作業中止基準・避難・医療アクセス(§4.4.7.15)
Climate-related Risk リスク特定と評価の記録。年1回以上の見直し・更新日
Living Wage Gap 信頼できる生活賃金推計を年次で実施し、報酬データと比較・ギャップ算出・是正計画(§4.4.8.9/10)
🔗
TRACEABILITY
§2.1 / §2.5 / §4.1.11
6項目
Supplier Master サプライヤー一覧と評価記録。リスクの高い相手を特定できるか(§4.1.9)
SC(Scope Certificate) 取引先SCの有効性・スコープ・製品カテゴリを毎回確認する運用
TC(Transaction Certificate) 数量の突合(volume reconciliation)に耐えるか。請求書との整合
Product Data 組成・ラベルグレード・工程カテゴリを構造化データで保持
GTB / Global Fibre Registry GFR の使用は §2.1.6/2.1.7 で義務。GTB は認証機関側で 2027/1/1 から必須
Internal Audit(年1回以上) 力量があり独立した内部監査員。リスクベースの計画と記録(§4.1.11/4.1.12)
優先順位のつけ方 — リードタイムが長いものから
試験(PFAS等)最優先
設備投資(PVA回収)最優先
ベースライン測定早期着手
サプライヤーへの依頼早期着手
手順書の作成中期
記録フォーマット整備短期で可能
逆算してください。2027年3月1日以降の監査は v8.0 で行われます。 水・エネルギーは「ベースラインとの比較」「年1回以上のレビュー」が要求されるため、 2026年中に測定を始めていないと、初回監査で比較すべき過去データが存在しません。 試験や設備投資には数か月〜1年かかる場合があります。ベースラインとの比較が求められる項目については、測定の開始時期を早めにご検討ください(具体的な着手時期は各社でご判断ください)。
1枚で足りる — 共通フォーマットの考え方
エネルギー化学薬品
測定値kWh・燃料量kg
分母生産量(kg output)— 定義を統一する
原単位L/kgkWh/kgkg/kg
ベースライン基準年と基準値を文書で定義
目標定量・期限付き・達成可能
レビュー年1回以上/文書化/更新日と承認者
根拠条項§4.3.9.2§4.3.9.3§4.3.9.4

3つの資源が同じ構造で要求されています(§4.3.9.2/4.3.9.3/4.3.9.4)。どのような様式で記録するかは各社のご判断です。下表は要求要素の対応関係を整理したもので、特定の様式を推奨するものではありません。

GHG まわりの「順番」を1枚で REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT

GOTS §4.3.9.3・§4.3.11 でやることは、脱炭素経営の一般的な手順のフェーズ①〜③にそのまま対応します。新しい作業を始めるのではなく、すでに世界中で標準化されている順番に沿って進めれば、GOTS 監査にも、ブランドからの照会にも、将来の情報開示にも同じ材料が使えます。以下の3枚は、その順番と選択肢を整理した解説図です(GOTS 条文の根拠ではありません)。

証拠として残すもの(GOTS §4.3.9.3・§4.3.11):電力・燃料の請求書とメーター記録/生産量の記録(kWh/kg・L/kg の分母)/再エネの契約書・証書とその償却記録/排出係数の一覧(値・単位・出典・バージョン)/年次の計算ファイルと内部レビュー記録。調達方式が変わっても、残す証拠の種類は変わりません。
GOTS 8.0 対応で重要なのは
「新しい書類を増やすこと」ではなく、
データ 管理ルール 実際の運用
この3つをつなげること。
多くの企業は既に「実際の運用」を持っています。足りないのは、それを条項に紐づいたデータと文書化されたルールに翻訳する作業です。
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Deep Dive / Digitalisation

GTB は将来 DPP とどうつながるのか

確認済未確定誤解注意
最初に、誤解を避けるための前提。
2026年8月時点で、Global Standard gGmbH / GOTS が 「GTB が EU の Digital Product Passport に直接データを供給する」と公式に宣言した文書は 確認できていません
本セクションでは、①GTB について公表されている事実②EU DPP について法令・EU公式サイトで確認できる事実③その両者をつなぐと何が言えるか(=推測であることを明示)——の順で整理します。
セミナーで断定的に「GTBがDPPになる」と説明することは避けてください。
このセクションの構成(全6枚)
1前提と全体像(このスライド)
2GTB=Global Trace-Base とは何か 確認済
3よくある3つの誤解 誤解注意
4時系列 — GTB 側と EU 側、2つの流れ
5EU DPP が繊維製品に求める内容と技術規格
6言えること/言えないこと、日本企業の行動
なぜ GOTS 8.0 のセミナーで DPP を扱うのか。 GOTS 8.0 の改訂方向——原単位データ、GHG算定、Global Fibre Registry の義務化、構造化された SC/TC、 内部監査、循環性——は、DPP が求めるデータ項目と実質的に重なっています
つまり GOTS 8.0 対応を丁寧にやること自体が、DPP への準備になります。 逆に「書類を増やす作業」として処理してしまうと、次の制度でもう一度作り直すことになります。
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確認済公表資料で確認できる事実

GTB = Global Trace-Base とは何か

1 正式名称は「Global Trace-Base(GTB)」。「GOTS Trust Broker」ではありません。
Global Standard gGmbH が、ドイツの技術会社 Volavis GmbH と協働で開発した 中央集約型データシステムです。開発開始は 2021年
2 扱うのは2種類の証明書
Scope Certificate(SC)=事業者がGOTS基準に適合し、認証品を生産できることを示す
Transaction Certificate(TC)=実際に販売された商品を記載する
加えて工程カテゴリ・製品カテゴリ・製品詳細・組成・ラベルグレードを保持します。
3 Volume reconciliation(数量突合)と、「field to fashion」の エンドツーエンドのトレーサビリティを実現するシステム、と GOTS 年次報告書は説明しています。
4 データ投入経路は3つ:システム間 APIデータインポート(CSV/XML)GTBポータルでの手入力
データの流れ(方向性)
認証
SC
Scope Certificate
取引
TC
Transaction Certificate
集約
GTB
Global Trace-Base
接続
API
system-to-system
EU規制
DPP
Digital Product Passport
※ 右端 DPP への接続は、現時点で GOTS が公式に確約したものではありません。
GTB と並行して進む2つの仕組み
AGlobal Fibre Registry(GFR) — 繊維が加工チェーンに入るの段階のトレーサビリティ。 GOTS 8.0 §2.1.6/2.1.7 で使用が義務化されました。 GOTS 年次報告書2025は「testing and deployment planned for the end of 2026」と記載。
BImpact Monitoring Tool — 同じく2026年末にテスト・展開予定と報告書に記載されています。
⚠️
誤解注意社内説明で間違えやすい3点

よくある3つの誤解

✕ 誤解 1

「GTB は GOTS と Textile Exchange の共同システム」

違います。GTB は Global Standard gGmbH 単独の運営です。

Textile Exchange は別に Trackit™ というシステムを運用しており (TE-TXL-POL-203-V4.0、2026年4月1日公表・2026年10月1日発効)、 「Trackit acts as the single source of truth for scope and transaction certificates」と規定しています。

GOTS と TE で別システムである点は、両方の認証を持つ企業にとって実務上重要です。 証明書の提出先・データ形式・期限が別々になります。

✕ 誤解 2

「GTB になれば PDF 証明書は不要」

違います。GOTS の SC/TC 発行手順 v4.0 は 「The Scope Certificate shall be issued as an electronic document in PDF format」と 依然として規定しています。

TC も同様で、AATL/EUTL の認証局によるデジタル署名が求められます。

つまり GTB登録と PDF発行の二本立てです。 「デジタル化されたから紙の管理は不要」という説明は誤りです。

✕ 誤解 3

「2027年から GTB が企業に義務化される」

正確ではありません。手順 v4.0 が義務づけているのは 認証機関(Approved Certification Bodies)です。

「All Approved Certification Bodies (CBs) shall utilize the Global Trace Base (GTB) for the issuance of Scope Certificates」とあり、発効は 2027年1月1日。 CB は発行・修正・失効から 14暦日以内にデータを GTB へ提出する義務があります。

認証事業者に直接課される期限は、公表資料では確認できませんでした。

ただし、実務上の影響は認証事業者にも及びます。 CB が GTB に SC/TC データを登録するということは、 数量突合(volume reconciliation)が自動的に効くようになるということです。 TC の数量と請求書・入出庫記録が合わない状態は、デジタル化が進むほど早く発見されます。 「CBの義務だから自社は関係ない」ではなく、自社のデータ品質が問われると理解してください。
出典:GOTS「Procedure & Template for Issuance of Scope Certificates - GOTS 4.0」/ 同 Transaction Certificates 4.0(いずれも2026年5月15日公表、2027年1月1日発効)/ Textile Exchange「Policy for Scope and Transaction Certificates」TE-TXL-POL-203-V4.0
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確認済2つの流れ

時系列 — GTB と EU DPP

GOTS / GTB 側
2021
GTB 開発開始
Global Standard gGmbH と Volavis GmbH の協働
2024 Q3
GTB フェーズ1 稼働開始
GOTS Annual Report 2024 に「went live, phase 1」と記載
2026-03-02
GOTS v8.0 発行
§2.1.6/2.1.7 で Global Fibre Registry の使用を義務化
2026-05-15
SC/TC 発行手順 v4.0 公表
2026年末
Global Fibre Registry・Impact Monitoring Tool のテスト/展開予定
GOTS Annual Report 2025「testing and deployment planned for the end of 2026」
2027-01-01
認証機関に GTB 利用が義務化
SC・TC データは発行・修正・失効から14暦日以内に GTB へ提出
2027-03-01
GOTS v8.0 全面適用
以降の監査はすべて v8.0 基準で実施
EU / DPP 側
2024-06-13
ESPR 採択
Regulation (EU) 2024/1781(エコデザイン規則)。持続可能な製品のエコデザイン要求の枠組みを定める
2024-06-28
官報(OJ)掲載
2024-07-18
ESPR 発効
第79条「公示の20日後に発効」。第III章が Digital Product Passport(第8条〜第13条)
2025-04-16
ESPR・エネルギーラベル作業計画 2025–2030 採択
COM(2025) 187 final。繊維(アパレル重点)を優先製品グループに指定。2028年に見直し
2026年(現在)
繊維向け委任法令は未採択
JRC が技術調査とステークホルダー協議を実施中
2026年(進行中)
CEN-CENELEC JTC 24 が DPP 基本規格を発行
標準化要請 M/604 に基づく最初の8規格。うち6規格が官報に引用済み
2027 Q4(予定)
繊維・アパレル向け ESPR 委任法令の採択予定
欧州委員会 DPP textile-apparel ページに明記。作業計画の表では「2027」
2つの流れが交差するのは 2027年です。 GOTS 側は 2027年1月に GTB が認証機関に必須となり、2027年3月に v8.0 が全面適用。 EU 側は 2027年Q4に繊維向け委任法令の採択が予定されています。 つまり 2027年は「GOTSのデジタル化」と「EU規制の具体化」が同時に来る年です。 2026年のうちにデータ基盤を整えておくかどうかで、対応コストが大きく変わります。
🇪🇺
確認済ESPR 第III章 / CEN-CENELEC JTC 24

EU DPP が繊維製品に求める内容

ESPR 第III章「Digital Product Passport」
§ 第8条(DPP)/第9条(一般要求)/第10条(技術設計と運用)/ 第11条(固有識別子)/第12条(識別子の登録簿)/第13条(税関当局のアクセス)
§ 原則:「エコデザイン措置が採択されるすべての製品はDPPを持つ。 ただし同等情報を提供する代替デジタルシステムがある場合を除く」(作業計画 COM(2025) 187 final)
§ 責任主体:EU市場に繊維アパレル製品を上市・供用する 経済事業者(製造者・生産者・輸入者)がDPPを提供。 流通業者・販売業者は、自らが扱う製品についてDPPが利用可能であることを確保する義務。
§ アクセス方法:「オンライン販売時点」および 「製品に付されたデータキャリア(例:QRコード)」の両方から到達可能であること。
§ 想定される記載内容:製品の識別情報と特性/繊維組成/ 使用・修理・メンテナンスを支援する情報/再使用・再販・分解・再生・廃棄など使用後段階の情報/ 原産地/関与する経済事業者の識別情報。
日本企業への含意。DPPの義務は「EU市場に上市する事業者」に課されます。 日本のメーカー・商社がEUブランドのサプライヤーである場合、 法的義務者は原則としてEU側の輸入者・ブランドです。
しかし実務では、そのブランドが必要とする組成・原産地・工程データを供給するよう求められるのは日本側です。 「自社に規制がかからない」ことと「データ提出を求められない」ことは別問題です。
DPP の技術規格(CEN-CENELEC JTC 24/M/604)× GTB × GOTS v8.0 対応表 IDFL 整理

各 EN 規格が DPP で何を担うのか、GTB がどこを受け持つのか、GOTS v8.0 の要求で既に手元にある情報・証拠は何か、そしてそれでも足りないものを並べています。右端の列が、皆さまがこれから設計・確認する必要がある部分です。

規格DPP における機能GTB の役割GOTS Version 8 から提供できる情報・証拠主に対応する DPP 情報不足・追加対応が必要な内容
EN 18216データ交換プロトコル、データ形式SC、TC、認証事業者、認証製品等のデータを API により外部システムと連携する基盤製品カテゴリー、原材料、繊維組成、取引数量、入出荷、水・エネルギー・化学薬剤使用量、GHG、廃棄物等の記録① 製品基本情報
② 原材料・組成
③ 認証・取引
④ 環境・循環性
⑤ 化学物質
GTB の API 仕様、データ形式、必須項目、エラー処理、および EN 18216 への技術的適合の確認が必要
EN 18219製品・事業者・施設の固有識別子認証番号、SC 番号、TC 番号、認証事業者・施設情報を管理SC には製品カテゴリー、製品詳細、加工工程および施設情報が記載される。TC は認証取引を識別する。原料生産者は Global Fibre Registry に登録される① 製品基本情報
② 原材料
③ 認証・取引
SC/TC 番号は証明書・取引の識別番号であり、Product ID・Model ID・Batch ID・Item ID を代替できない
EN 18220QR、Data Matrix、NFC、RFID 等のデータキャリアGTB 内の認証情報へ接続するデータソースとなる可能性GOTS 表示には認証機関および認証事業者の認証番号を関連付けられる① 製品基本情報
② 組成
③ 認証状態
⑤ 安全情報
⑥ ライフサイクル
GOTS 表示は認証表示であり、DPP 用のデータキャリアではない。製品固有 ID を含む QR 等を別途製品に付与する必要がある
EN 18221データ保存、履歴、アーカイブ、永続性SC、TC、認証状態、事業者および製品情報を中央管理原材料の由来・数量、工程、化学レシピ、在庫、出荷先、繊維組成等の記録を最低5年間保存する要求がある② 原材料・組成
③ 認証・取引
④ 環境情報
⑤ 化学物質
DPP では製品の全ライフサイクルにわたる保存、バージョン管理、バックアップ、および企業消滅後のデータ維持が必要
EN 18222DPP の作成、更新、検索およびライフサイクル APIsystem-to-system API による認証・取引情報の検索および外部連携GOTS 8 では修理、用途変更、再販売および再使用等の循環型活動を認証範囲内で管理し、関連情報を文書化する③ 認証状態
④ 循環性
⑥ 製品ライフサイクル
生産、輸入、販売、修理、所有者変更、回収、再製造、廃棄を製品単位で更新できる API 機能の確認が必要
EN 18223システム相互運用性、共通データモデルGTB とブランド ERP、認証機関および外部 DPP システムを連携GOTS では原材料、製品、加工工程および地域の分類用語・コードを標準化して SC・TC に使用する① 製品分類
② 原材料・組成
③ 認証・取引
④ 環境情報
⑤ 化学情報
GTB のコードと EU DPP、ブランド ERP、LCA データベース、他認証制度との意味・単位・分類コードのマッピングが必要
EN 18239アクセス権、情報セキュリティ、営業秘密認証機関、認証事業者等のユーザーごとに情報を管理GOTS 8 ではガバナンス、デューデリジェンス、利益相反、腐敗防止、情報管理等を要求② サプライヤー情報
③ 売り手・買い手
④ 環境情報
⑤ 化学情報
消費者、ブランド、認証機関、行政、修理業者およびリサイクル業者ごとのDPP 閲覧権限を別途設計する必要がある
EN 18246データの真正性、信頼性、完全性認証機関が発行・更新する SC、TC および認証状態を中央管理第三者審査、SC/TC、Volume Reconciliation、原材料・数量記録、化学薬剤承認、残留物試験および環境記録によりデータの証拠性を高める② 原材料
③ 認証・取引
④ 環境データ
⑤ 化学物質・試験結果
電子署名、タイムスタンプ、データ出所、修正履歴、改ざん防止、API 送信時の認証方法等を確認する必要がある
未確定 GTB の公開資料には、これら EN 規格や GS1/EPCIS/W3C Verifiable Credentials/UNTP への言及は確認できていません。GTB の公開 API の仕様書も現時点で公開されていません。技術的な橋渡しがどうなるかは、まだ設計途上と考えるのが妥当です。
また規格番号のうち 18239・18246 は、CEN-CENELEC の公表段階では FprEN(最終ドラフト)として扱われていた経緯があります。発行状況は CEN-CENELEC の最新公表でご確認ください。
この表の「GOTS から提供できる情報」「不足・追加対応」の列は、規格文言そのものではなく IDFL JAPAN による整理です。各社の実装判断は、EN 規格本文と委任法令の確定内容に基づいて行ってください。
出典:EUR-Lex Regulation (EU) 2024/1781 第III章(第8〜13条)/COM(2025) 187 final/ European Commission「Digital Product Passport: textile & apparel」(委任法令の採択予定 2027年Q4)/ CEN-CENELEC「EN in the spotlight: Digital Product Passport」(2026年7月15日)、同 DPP ウェビナー資料(2026年6月25日)
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結論 / 言えること・言えないこと

GOTS は何と言っているか、我々は何をすべきか

GOTS 自身が DPP について述べている、唯一の明示的な記述(2025年7月31日付コンプライアンスレポート):

「…it can be expected that most environmental and product requirements are already covered by GOTS certification and that data gathered during the GOTS certification process (relating e.g., to energy and resource use and efficiency, presence of chemicals / substances of concern, carbon and environmental footprint, waste generation) can be directly used for measuring the environmental footprint of a product and for the Digital Product Passport.」

読み方の注意:ここで「使える」と言っているのは GOTS認証プロセスで集めたデータであって、 GTB という名前は一度も出てきません。同レポートに「Global Trace-Base」「GTB」の語は含まれていません。
GOTS 8.0 に既に入っている「EU規制フック」
1Manual §5.2.6:耐久性試験は原則5回洗濯後。ただし 「ESPR 等の適用規制が明示的に異なる回数を要求する場合を除く」—— GOTS の試験手順がEU規制に従属し得ることを条文で認めた記述です。
2§4.3.15.3.4/Manual:プラスチック包装の ポストコンシューマー再生材35%以上目標は、EU PPWR (EU) 2025/40 への対応と明記。
3§5.3 Circularity(新設):GOTS は 「GOTS製品をエコデザイン原則に整合させるため」に本節を開発したと説明しています。
DPP が求めるデータ vs GOTS が既に持つデータ
DPP 想定項目GOTS 8.0 の対応
繊維組成§3、SC/TC、GTB が保持
原産地§2.5 トレーサビリティ、GFR
経済事業者の識別SC(認証事業者情報)
化学物質情報§7 MRSL、§5.2 残留限度値
環境フットプリント§4.3.9/§4.3.11
修理・メンテナンス情報§5.3 循環性、Manual §5.2.6
使用後・リサイクル情報§4.3.14 繊維廃棄物、§5.3
データキャリア(QR)GOTS に規定なし
固有製品識別子製品単位のIDは未規定
未確定言えること/言えないこと
言えること:GOTS 8.0 の改訂方向は DPPが求めるデータ項目と実質的に重なっています。GOTS 自身が「認証プロセスのデータはDPPに直接使える」と述べています。
言えること:GTB は SC/TC を構造化データで保持し API を持つため、 技術的にはDPPへデータを供給できる位置にあります
言えないこと:GTB が DPP の公式なデータソースになるという確約。 接続方式・スケジュール・データ項目のマッピング。どれも公表されていません。
言えないこと:製品識別子の設計。DPP は モデル単位・バッチ単位・アイテム単位のいずれでも発行し得るとされていますが(UNTP FAQ)、 GOTS の TC は出荷・ロット単位であり、どの粒度で紐づけるかは未決定です。
DPP 対応に向けて実務上よく挙げられる4つの着手点
1製品データを構造化する Excelでも構いません。組成・原産地・工程・サプライヤーIDを列として持つ。 PDFの中にしか情報がない状態は、どの制度にも接続できません。
2SC/TC の管理を先に整える GTBでは数量突合が効きます。TCの数量と請求書・入出庫が合わない状態は、 デジタル化が進むほど早く発見されます。
3環境データを2026年から蓄積 水 L/kg、エネルギー kWh/kg、Scope 1・2。DPPが来る前に、 GOTS 8.0 が既に要求しています。同じデータが両方に効きます。
4EU顧客に「いつ・何を」聞く 委任法令は2027年Q4予定。それまでにブランド側が独自要求を出してくる可能性が高い。 要求が来てから対応では間に合いません。
まとめ。「GTBがDPPになるのか」は、まだ誰にも断言できません。 しかしどちらの制度も、同じものを要求しています—— 構造化された製品データ、検証可能な環境データ、そして追跡可能なサプライチェーン。
GOTS 8.0 への対応を丁寧にやること自体が、DPPへの準備になります。 逆に言えば、GOTS 8.0 を「書類を増やす作業」として処理してしまうと、次の制度でもう一度作り直すことになります。
同じデータが、開示制度にもつながります CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION

DPP は製品の情報開示、ISSB/SSBJ は企業のサステナビリティ情報開示で、制度としては別物です。ただしどちらも「検証可能なデータを、決められた形式で出す」ことを求めます。TCFD 提言は 2023年に ISSB 基準へ引き継がれ、日本では SSBJ が国内基準を策定しました。皆さまのお客様(上場ブランド・親会社)は、この制度のもとでサプライチェーンのデータを集める側に回ります。
GOTS 8.0 で作る Scope 1・2 のデータは、その照会にそのまま答えられる材料です。逆に言えば、GOTS 対応を「書類仕事」として処理すると、同じ質問にもう一度ゼロから答えることになります。

対外資料でお使いになる場合:日本での法定開示の適用範囲・適用開始年度は制度整備の途中にあります。「日本は段階的導入」という教材の表現をそのまま使わず、金融庁および SSBJ の最新公表で対象範囲と年度をご確認のうえ併記してください。
出典: GOTS Compliance Report(2025年7月31日)/ Manual for the Implementation of GOTS v8.0 §5.2.6・§4.3.15.3.4・§5.3/Change Log Manual 7.2→8.0/ UN Transparency Protocol FAQ(UNECE)
References

出典・参考文献

本資料の記述はすべて以下の一次資料に基づいています。数値・条項番号は原文をご確認ください。

最終確認:2026年8月1日
A. GOTS 規格文書(原本 PDF・本セミナー配布資料に同梱)
Global Organic Textile Standard (GOTS) Version 8.0
Global Standard gGmbH、2026年3月2日/全65頁。効力:2027年3月1日
Manual for the Implementation of GOTS v8.0
Global Standard gGmbH/全90頁。規格の不可分かつ拘束力ある一部
Changelog — GOTS version 7.0 to version 8.0
2026年1月/全11頁
Change Log — Manual for the Implementation of GOTS v7.2 to v8.0
2026年3月/全15頁
Pres_ GOTS Version 8.0(GOTS 公式ウェビナー資料)
2026年5月20日開催/全65頁。本ワークショップはこの資料の後続セッションです。本資料では p.21(Section 4.2 Content Structure Update)、p.49–51(Section 5.3 Circularity)ほかを引用
GOTS Annual Report 2025
2026年5月公開。認証事業所 17,800拠点(2026年1月1日時点、前年比+15.3%)/GTB・Global Fibre Registry の進捗
https://global-standard.org/images/260522_RZ_GOTS_Annual_Report_2025_Screen.pdf
B. GTB(Global Trace-Base)関連
GTB Help Centre — About Global Trace-Base (GTB)
運営主体、SC/TC の定義、API/CSV/XML/ポータルの投入経路、Volavis GmbH との協働、2021年開発開始
https://support.global-trace-base.org/hc/en-gb/articles/26528682268573-About-Global-Trace-Base-GTB
Global Standards — GTB: Shaping a more transparent, data-driven future together!
GTB の運営方針、データ投入経路(API/インポート/ポータル)、付加価値データ
https://global-standards.org/news/gtb-shaping-a-more-transparent-data-driven-future-together
Procedure & Template for Issuance of Scope Certificates — GOTS 4.0(署名版)
2026年5月15日公表/2027年1月1日発効。「All Approved Certification Bodies (CBs) shall utilize the Global Trace Base (GTB)…」/PDF発行の継続/14暦日以内のデータ提出
Procedure & Template for Issuance of Transaction Certificates — GOTS 4.0(署名版)
同上。TC も PDF 発行+AATL/EUTL によるデジタル署名を規定
Textile Exchange — Policy for Scope and Transaction Certificates(TE-TXL-POL-203-V4.0)
2026年4月1日公表/2026年10月1日発効。Trackit™ が single source of truth。GOTS の GTB とは別システム
https://textileexchange.org/app/uploads/2026/03/TE-TXL-POL-203-V4.0-...pdf
C. EU ESPR / DPP 関連
Regulation (EU) 2024/1781(ESPR)
2024年6月13日採択/OJ 2024年6月28日掲載/2024年7月18日発効(第79条)。第III章 Digital Product Passport=第8条〜第13条
https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2024/1781/oj
COM(2025) 187 final — Ecodesign for Sustainable Products and Energy Labelling Working Plan 2025–2030
2025年4月16日、ブリュッセル。繊維(アパレル重点)を優先製品グループに指定。2028年に見直し
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=celex:52025DC0187
European Commission — Digital Product Passport: textile & apparel
委任法令の採択予定 2027年Q4。責任主体、データキャリア(QRコード)、記載内容、JRC の技術調査状況
https://single-market-economy.ec.europa.eu/single-market/goods/european-standards/harmonised-standards/digital-product-passport-dpp/textile-apparel_en
CEN-CENELEC — EN in the spotlight: Digital Product Passport
2026年7月15日。標準化要請 M/604、CEN-CLC/JTC 24、EN 18216/18219/18220/18221/18222/18223/FprEN 18239/FprEN 18246
https://www.cencenelec.eu/news-events/news/2026/en-in-the-spotlight/2026-07-15-dpp/
GOTS Compliance Report(Global Standard gGmbH)
2025年7月31日。GOTS認証データが「環境フットプリント測定およびDigital Product Passportに直接使用できる」と記述。GTB への言及はなし
https://global-standard.org/media/com_acymailing/upload/20250731_gots_compliance__report_global_standard.pdf
UN Textiles Protocol(UN/CEFACT・UNECE)— Scope & Transaction Certificates
SC/TC → Digital Facility Record/Digital Conformity Credential/Digital Traceability Event/DPP のマッピング。W3C Verifiable Credentials + JSON-LD。プレビューホストで提供されており草案扱い
https://untp.unece.org/docs/about/FAQ/
D. IDFL 関連 / 注記
IDFL JAPAN 公式サイト
GOTS/OCS、GRS/RCS、RWS、FSC CoC、DOWNPASS/JTAS、ダウン・フェザー試験。日本語での準備〜監査後支援
https://idfl-japan.com/
IDFL 会社案内資料「IDFLのグローバル拠点」
1978年ソルトレイクシティ創業。世界25以上のオフィス・ラボ、45を超える国・地域へサービス提供。日本オフィス:〒541-0056 大阪市中央区久太郎町1-6-21 シャンクレール本町2階
E. GHG 算定・日本の GX 政策 関連(2026年8月追補)
GHG Protocol Corporate Standard / Scope 3 Calculation Guidance
WRI / WBCSD。GOTS v8.0 §4.3.11.2.1・2.2 が名指しで参照。Manual §4.3.11.1 の REFERENCE にも掲載
ISO 14064-1:2018 / -2:2019 / -3:2019 / -4:2025 / -5:2026
組織・プロジェクトレベルの GHG 定量化と、GHG 声明の検証・妥当性確認。Manual §4.3.11.1 REFERENCE 記載
ISO 14067:2018 Carbon footprint of products
Manual §4.3.11.6 が製品レベルの主張の算定規格として参照
IPCC Emission Factor Database (EFDB)
排出係数の出典例。GOTS §4.3.11.2.4 が求める「EF とデータソースの列挙」に使用
日本の NDC(2035年度 −60%/2040年度 −73%、2013年度比)
環境省。2025年2月決定 / env.go.jp。GOTS 改訂の根拠ではありません
排出量取引制度(2026年度 本格稼働)
経済産業省。直近3年度の平均直接 CO₂ 排出量 10万トン以上の事業者が対象 / meti.go.jp
2024年度エネルギー需給実績(確報)
経済産業省 2026年4月14日公表。再生可能エネルギー(水力含む)23.1%、非化石電源 32.5%
GX ベーシック講座 第2章・第3章・第4章・第5章(教材スクリーンショット)
スキルアップGreen / ©SKILLUP NeXt, Ltd.。本資料内の解説図の出所。教育用の整理資料であり、GOTS 条文の根拠としては使用していません。各図の原典(環境省・経済産業省・資源エネルギー庁・内閣官房・首相官邸)を図中に表示しています
IDFL 資料「GOTS 混率の説明 v8.0」(GOTS 混率の説明_v8.pptx)
SECTION 3 原料要件。3.2.10 総括表、30% / 20% / 10% / 禁止 の区分、v8 の6つの変更点
IDFL 作成インフォグラフィック(pics フォルダ)
なぜIDFLを選ぶのか/GOTSロゴ承認 CUS-GOTS v4.0/承認区分と実務フロー/サステナビリティ・GX・DPP 基礎ガイド/ EU DPP・繊維認証の全体像/GX・脱炭素の基本/繊維企業が今から準備すべきこと/GOTS 8.0 漂白工程のポイント/ GOTS 8.0 環境管理のポイント(PCF)/QMS・製品試験 9つの管理ポイント/GOTS製品試験計画(例)
「GOTS グループディスカッション」社内資料
本ワークショップの前段資料。IDFL 会社紹介、ISO/IEC 17025・IDFB・TAF 認定、炭素インベントリ検証サービス
本資料の限界について(正直な注記)。
① 本資料の GOTS 8.0 に関する記述は、上記A群の原本PDFから直接引用・要約しています。
② GTB と DPP の接続に関する記述は、公開情報から確認できる範囲にとどめ、 確認できなかった事項は「未確定」と明記しました。GTB が DPP の公式データソースになるという GOTS の公式声明は、本資料作成時点で確認できていません。
③ EUR-Lex の条文取得が環境制約で一部再現できなかったため、 ESPR 第III章の各条タイトルは官報原文で再確認することを推奨します(章題と第8〜13条という範囲は複数回の確認で一致)。
④ ZDHC による GOTS の取扱いについては、2023年11月時点で「ZDHC MRSL V3.1 の承認規格ではない」との ZDHC 公式記述がある一方、その後変更されたとする二次情報があります。本資料では断定を避けました。
⑤ 数値・条項番号を社外資料に転記される場合は、必ず原本PDFで再確認してください。
ご参加ありがとうございました
GOTS 8.0 の全面適用は 2027年3月1日
(発行:2026年3月2日/移行期間:発行から1年)

個別のご相談・社内研修・ギャップ分析については IDFL JAPAN までお問い合わせください。
IDFL JAPAN(大阪・本町) idfl-japan.com 日本語対応
EVIDENCE LIBRARY

本資料で使用した公式情報源(テーマ別)

一次情報・公的情報のみを掲載しています。すべてクリックで公式ページに移動します。
ラベルの意味。 GOTS DIRECT BASIS=GOTS 本文・Manual・Change Log で直接確認できるもの。 REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT=EU 法・日本政府政策など、同じリスクや政策方向が確認できるもの。 SCIENTIFIC CONTEXT=ILO・OECD・IPCC・ISO 等の科学的・技術的裏づけ。 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION=方向性は整合するが、GOTS 改訂の原因とは確認できないもの。
GOTS GOTS DIRECT BASIS
EU Regulation REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
Japan — 環境省 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
  • 有機フッ素化合物(PFAS)について環境省 水・大気環境局 / 随時更新
    関係:CASE 01。水環境が中心で、繊維製品中の含有規制は確認できず
  • プラスチック資源循環法関連環境省 環境再生・資源循環局 / 随時更新
    関係:CASE 05・CASE 08。環境配慮設計と排出抑制の枠組み
  • 海洋プラスチックごみに関する各種調査ガイドライン等環境省 水・大気環境局 / 随時更新
    関係:CASE 05 の科学的背景
  • 【概要】水質汚濁防止法に基づく排水規制について環境省 水・大気環境局 環境管理課 / 令和7年3月24日
    関係:CASE 02・CASE 04。排水の水質規制であり、回収率・使用量管理は対象外
  • カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド経済産業省・環境省 / 2025年3月
    関係:CASE 09。国内の CFP 算定手引き(任意)
Japan — 経済産業省 CONTEXTUAL LINK — NOT DIRECT CAUSATION
Japan — 厚生労働省 ほか REGULATORY / SCIENTIFIC CONTEXT
ILO / WHO / OECD / IPCC SCIENTIFIC CONTEXT
Standards / Testing Methods SCIENTIFIC CONTEXT
確認できなかった事項。 ① GTB が EU DPP に直接データを供給すると Global Standard gGmbH/GOTS が公式に宣言した文書は確認できていません。 ② 繊維製品中の PFAS 含有量を直接規制する日本の法令は確認できていません。 ③ PVA の回収率、水・エネルギーの原単位管理、内部監査の独立性について、直接対応する日本の法令・政策は確認できていません。 ④ 混率ルールに直接対応する日本・EU の規則は確認できていません。 これらは GOTS 独自の認証要求として説明してください。
CLOSING MESSAGE / IDFL JAPAN

世界へ踏み出し、
視野を広げていきます。

国際基準の現場とつながりながら、日本のお客様と一緒に、より広い視野で next step を考えていきます。
MESSAGE 01

少人数でも、最新情報を届ける

私たちは少人数のチームですが、国内外の最新情報を継続的に確認し、 皆さまに分かりやすい形でお届けしていきます。

2026年には IDFL JAPAN の公式ウェブサイトを開設しました。最新情報、規格改訂、セミナー情報、 実務に役立つ資料やツールを随時更新していきますので、ぜひ定期的にご覧ください。

MESSAGE 02

不備を探すのではなく、背景と解決策を伝える

監査は不備を探すこと自体が目的ではなく、要求事項への適合を客観的に確認する手続です。

認証要求の背景にある国際政策や市場の変化をつなぎながら、「なぜ認証が必要なのか」「何のために取り組むのか」 「国際的な流れはどこへ向かっているのか」「企業はこれからどのように変わる必要があるのか」を、 分かりやすくお伝えする役割を果たしたいと考えています(判定の独立性は常に維持されます)。

MESSAGE 03

国際チームとつながり、世界の動きを持ち帰る

私たち3名は、これからも学び続け、世界で何が起きているかを日本の現場に持ち帰ります。

確認したいことや、判断に迷うことがあれば、IDFL の国際チームとも連携しながら調査します。 その場で答えが出ないご質問も、持ち帰って確認のうえご回答します(個別の適合判定や設計の助言に当たるご質問には、公平性の観点からお答えできない場合があります)。

MESSAGE 04

学び続け、サービスを進化させる

今年は FSC 監査員資格の取得に向けた研修を進め、今後は GHG の検証・監査分野についても、 専門性を高めるための学習を続けていきます。

多くの時間を学習と準備に使っていますが、それは皆さまからの質問に、 より正確で実務的な回答をお届けするためです。

IDFL JAPAN からのお願い

IDFL を選んでいただき、本当にありがとうございます。 これからも皆さまのお役に立てるよう、IDFL JAPAN チーム一同、努力を続けてまいります。

規格条文の解釈に関するご質問は、いつでも IDFL JAPAN までお問い合わせください。なお認証機関である当社は、公平性の要求により、被認証事業者のマネジメントシステムの設計・構築、ギャップ分析、是正策の立案といったコンサルティング業務はお受けできません。
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町 1-6-21 シャンクレール本町 2 階(地下鉄 本町駅 6番出口 徒歩1分)
Thank you for choosing IDFL.
IDFL JAPAN
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